キタヤマオウレン
キタヤマオウレン | |||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
分類(APG III) | |||||||||||||||||||||
| |||||||||||||||||||||
学名 | |||||||||||||||||||||
Coptis kitayamensis Kadota[1] | |||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||
キタヤマオウレン |
キタヤマオウレン(北山黄蓮、学名:Coptis kitayamensis Kadota[1])は、キンポウゲ科オウレン属に分類される常緑多年生の1種[2][3]。奥山春季により原色日本野外植物図譜6 補遺 I(誠文堂新光社,1972)にバイカオウレンの変種(学名:Coptis quinquefolia Miq. var. kitayamensis Okuyama)として発表されていたキタヤマオウレンが、2011年に門田裕一により新種のCoptis kitayamensis Kadotaと記載された[3]。種小名(kitayamensis)は、この標本が採集された当時の分布域の岐阜県山県郡北山村(現山県市)に由来する[4]。
特徴
[編集]地下走出枝をもつ[2]。草丈は高さ5-10 cm、果期に15 cmに達する[2]。葉は3出複葉で越冬し[5]、普通3全裂し、分布域の西部(福井県西部、滋賀県北部、京都府東部)には葉身が掌状に5全裂して一見バイカオウレンに似た個体が出現する[3]。頂小葉は倒卵形で基部はくさび形となって小葉柄が不明瞭であり、側小葉は上半部で3裂するかあるいは中部で2浅裂-深裂する[3]。
-
葉は普通3全裂し、基部の小葉柄は不明瞭
-
越冬する常緑の葉と新たに出現し展開する葉
-
バイカオウレンの葉は5全裂し、基部の小葉柄は明瞭
花茎は暗褐色[2]。花は単生し、放射相称[5]、直径18-24 mm[3]、花弁の舷部は柄杓形[2]。5-6個の大きな萼片は白色で[5]、倒卵状楕円形で、長さ 9–12 mm、幅4.5–5.5 mm で細長く爪(柄)が明瞭に認めらる[3]。萼片より蜜を出す花弁の小さな蜜弁がある[5]。花期は3-6月[2]。
-
暗褐色の花茎に単生する花の蕾
-
白色の大きな倒卵状楕円形の萼片と小さな蜜弁がある
-
花茎と萼片の裏面
-
袋果が集まった集合果
分布と生育環境
[編集]日本固有種で、本州(岐阜県、滋賀県、福井県、京都府の日本海側)に分布する[2]。岐阜県では、飛騨市打保、深洞湿原、天生湿原、万波ゴミ谷、大野郡白川村飯島、天生峠、郡上市銚子ヶ峰、白鳥町阿多岐、関市川浦谷、銚子滝、小ツゲ谷、板取谷[4]、揖斐郡揖斐川町塚、坂内金糞岳、山県市柿野西洞、円原、神崎ガッパ谷、本巣市根尾東谷、東河内などで確認されている[6]。福井県では、勝山市赤兎山、取立山、大師山、今立郡池田町冠山、金草岳、大野市平家岳、姥ヶ岳、越前市権現山、日野山、南条郡南越前町夜叉ヶ池、敦賀市西方ヶ岳、蠑螺が岳、三方山、岩籠山などで確認されている[6]。滋賀県では高島市寒風峠、鵜川越などで確認されている[6]。京都府では、京都府左京区鞍馬山、南丹市美山町京都大学芦生研究林、綾部市阿須須伎神社、京丹後市などで確認されている[6]。基準標本は岐阜県揖斐郡揖斐川町のもの[2]。
脚注
[編集]参考文献
[編集]- 門田裕一「本州産オウレン属(キンポウゲ科)の1新種,キタヤマオウレン」『植物研究雑誌』第86巻第5号、植物研究雑誌編集委員会、2011年10月、265-272頁、NAID 40019038061。
- 清水建美、門田裕一、木原浩『高山に咲く花』(増補改訂新版)山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑8〉、2014年3月22日。ISBN 978-4635070300。
外部リンク
[編集]- キタヤマオウレンの標本 国立科学博物館標本・資料統合データベース
- Coptis kitayamensis Kadota GBIF