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キャレル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
トロント大学ロバーツ図書館英語版に設置された学習用キャレル

キャレル: carrel)は、主に研究・個人学習[1]のために図書館の書庫・(開架)書架・閲覧室内[2]などに設けられる個室、または個席のことである[3]。元々は、読み書きや自習のために修道院に設けられる、机付きの個室を示していた[1]

個室だけに限定する場合は、クローズドキャレル (closed carrel)[4]、個席だけに限定する場合は、オープンキャレル (open carrel) と言うが、日本においては単にキャレルといえばオープンキャレルを指すことも度々ある[3]。キャレルで使われる机は、キャレルデスク (carrel desk)、またはキャレルテーブル (carrel table) と言う。主として、専門図書館大学図書館、日本で言うところの都道府県立図書館相当の図書館に設置されることが多い[5]

現代のキャレルは照明が完備され、コンピュータを使うためのネットワーク環境が整えられていることもある[1]

クローズドキャレル

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プリンストン大学図書館のキャレル ウェルカム図書館のキャレル内装
プリンストン大学図書館のキャレル
ウェルカム図書館のキャレル内装

クローズドキャレルでは、図書館員が利用状況を確認できるように、小窓かガラス入りドアが採用されている[6]。利用方法は予約制を採る場合が多い[6]。一時的に席を立つときのために、鍵が掛けられるようになっているものもある[4]

オープンキャレル

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プライバシーのため[3]、キャレルデスクには、前方と両側面の3方向、または前方のみに間仕切りが立てられている[2]。3方向に間仕切りが立っているキャレルはプライバシー確保の度合いが高く、側面に間仕切りが立てられていないキャレルでは利用者に開放的な印象を与える[7]。そこまで高いプライバシーを求めていない利用者からは後者のほうが好まれる[8]。キャレルデスクを横に並べて設置する場合は、側面への間仕切りはほとんど必須となる[8]。キャレルは図書館において人気の席であり、利用者がキャレルとそれ以外の座席の選択肢を与えられたとき、殆ど毎回、キャレルを選ぶ傾向にある[8]

前方の間仕切りは簡易的な書棚の役割を担うようにデザインされていることが多いが、書棚がついていないキャレルデスクもあり[2]、後者のキャレルデスクは公共図書館に多く見られる[9]。机面は長方形で、公共図書館のキャレルデスクは横約90センチメートル (cm)[註 1]、縦約60センチメートル[註 2]のものが一般的である[9]。ペンシルベニア州立大学では、92.5 cm×75 cm の机面をもつキャレルデスクを採用しているが、大きすぎるということはない[10]。照明は、書棚下部に備え付けられることが多い[11]

キャレルデスクの新しい利用法として、コンピュータスペースが挙げられる[12]

脚注

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註釈

  1. ^ 出典での表記は3フィート
  2. ^ 出典での表記は2フィート

出典

  1. ^ a b c Joan M. Reitz 2004, p. 118.
  2. ^ a b c 神野清秀 & 竹内悊 1970, p. 101.
  3. ^ a b c 栗原喜一郎, 冨江伸治 & 奥平耕造 1983, p. 146.
  4. ^ a b Ray Prytherch 2005, p. 113.
  5. ^ 図書館問題研究会 図書館用語委員会 編『図書館用語辞典』角川書店、1982年10月30日、93頁。全国書誌番号:83006760 
  6. ^ a b 栗原喜一郎, 冨江伸治 & 奥平耕造 1983, p. 148.
  7. ^ Tish Murphy 2007, p. 23.
  8. ^ a b c William S. Pierce 1980, p. 42.
  9. ^ a b Aaron Coben & Elaine Coban 1984, p. 29.
  10. ^ William S. Pierce 1980, p. 45.
  11. ^ 神野清秀 & 竹内悊 1970, p. 103.
  12. ^ Tish Murphy 2007, p. 2.

参考文献

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