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クエーサーの一覧

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

本項は、クエーサーの一覧(list of quasars)である。

クエーサーの正式な名前は、B1950.0を用いたQxxxx±yyかJ2000.0を用いたQSO Jxxxx±yyyyという形の、天体カタログの登録番号である。接頭辞としてはQSRが用いられることもある。現在、裸眼で見えるクエーサーはない。

クエーサーの一覧

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クエーサー 備考
ツインクエーサー 恐らく惑星による重力レンズ効果によって、クエーサーの像が二重に見える。
QSR J1819+3845 星間物質のため、星間シンチレーションが発生
CTA-102 1965年、ソビエト連邦の天文学者ニコライ・カルダシェフは、このクエーサーは異星人文明からの暗号化されたメッセージを送っていると宣言した[1]
CID-42 超大質量ブラックホールが放出されつつあり、いつかクエーサーになると考えられている。

命名されたクエーサーの一覧

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以下は、カタログの記号による名前ではない一般名を持つクエーサーの一覧である。

クエーサー 名前の起源 備考
ツインクエーサー 重力レンズ効果により、同じクエーサーが2つの像が見えることから
アインシュタインの十字架 クエーサーの重力レンズ効果により、重力レンズの概念である「アインシュタインの十字架」のほぼ完全な形が見えることから
トリプルクエーサー 同じクエーサーの重力レンズ効果によって、3つの明るい像が見えることから 実際は4つの像があるが、4つめは暗い。
四つ葉のクローバークエーサー 四つ葉のクローバーに似た形に見えることから。重力レンズ効果によって、ほぼ同じ形の4つの像が見える。

複数の像を持つクエーサーの一覧

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以下は、重力レンズ効果の結果として、地球から複数の像が見えるクエーサーの一覧である。

クエーサー 像の数 レンズ 備考
ツインクエーサー 2 YGKOW G1 最初に発見された重力レンズ天体

像の分離は3番目に大きい(6 ″)[2]

2QZ J1435+0008 2 像の分離が最も大きい (33 ″)[2]
トリプルクエーサー (PG 1115+080) 4 当初は3つの像が発見されたが、暗い4つめの像がある。重力レンズ効果を持つクエーサーとして2番目に発見された。
アインシュタインの十字架 4 Huchra's Lens 初めて発見された「アインシュタインの十字架」
RXS J1131-1231のクエーサー 4 RXS J1131-1231の楕円銀河 RXS J1131-1231は、クエーサーとホスト銀河、レンズ銀河の複合体である。クエーサーのホスト銀河もまたレンズとなっている。クエーサーの4つの像は、環の像の中に埋め込まれている。
四つ葉のクローバークエーサー 4[3] 既知の最も明るい一酸化炭素放出の高赤方偏移源[4]
SDSS J1004+411 5 SDSS J1004+4112 銀河団の重力レンズ効果による複数の像が初めて発見されたクエーサー
像の分離が2番目に大きい (15 ″)[2]
QSO B1359+154 6 CLASS B1359+154その他3つの銀河 6つの像が見える最初の銀河

クエーサーのアソシエーションの一覧

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以下は、二重クエーサー、三重クエーサーの一覧である。複数のクエーサーが近い視線上にあるが、物理的には関連していない。

クエーサー 備考
QSO 1548+115
4C 11.50 (z=0.436)
QSO B1548+115B (z=1.901)
2 [5][6]
QSO B1146+111 8 [7]

物理的なクエーサー群の一覧

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以下は、連星クエーサーの一覧である。クエーサーは、互いに物理的な作用を及ぼしあっている。

クエーサー 備考
LBQS 1429-008 (QQQ 1432-0106) 3 初めて発見された3つからなる連星クエーサー
最初は2つの連星クエーサーとして発見され、後に3つ目が発見された[8]
QQ2345+007 (Q2345+007)
Q2345+007A
Q2345+007B
2 当初は二重の像が見えるクエーサーだと考えられていたが、実際は連星クエーサーであった[9]
QQQ J1519+0627 3 [10]

大クエーサー群

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大クエーサー群 (LQG)は、銀河フィラメントと結びついており、互いには直接結びついていない。

LQG 備考
ウェブスター大クエーサー群
(LQG 1)
5 大クエーサー群として初めて発見された。発見当時は、最も巨大な宇宙の大規模構造であった[11][12]
U1.27(Huge-LQG) 73 2013年時点で、観測可能な宇宙で最大の構造[13][14]

超光速運動を見せるクエーサーの一覧

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以下は、相対論的効果と視線方向のため、超光速運動するように見えるジェットを持つクエーサーの一覧である。このようなクエーサーは、「超光速クエーサー」(superluminal quasars)と呼ばれることもある。

クエーサー 超光速度 備考
3C 279 4c 超光速ジェットを持つことが発見された初めてのクエーサー[15][16][17][18][19]
3C 179 7.6c 最初に発見された、2つのローブを持つクエーサー[20]
3C 273 最初に同定されたクエーサー[21]
3C 216
3C 345 [21][22]
3C 380
4C 69.21
(Q1642+690, QSO B1642+690)
8C 1928+738
(Q1928+738, QSO J1927+73, Quasar J192748.6+735802)
PKS 0637-752
QSO B1642+690

一般的なクエーサーは、後退速度が光速よりも速いことには留意する必要がある。z>1の全てのクエーサーは、我々から光速より速く遠ざかっている[23]。超光速を説明するために、z=2.326またはz<2.4の上限が考えられた[24]。z=1は、我々から光速で遠ざかっていることを意味している。クエーサーの大部分は、z=2とz=5の間である。

最初

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項目 クエーサー データ 備考
最初に発見されたクエーサー 3C 48 1960 最初に光学的同定がなされた電波源
最初に同定されたクエーサー 3C 273 1962 恒星とは異なるスペクトルで高い赤方偏移を持つことが発見された最初の電波"恒星"
最初の電波を放射しないクエーサー QSO B1246+377(BSO 1) 1965 最初に発見された電波を放射しない擬恒星天体(quasi-stellar objects, QSO)は、恒星のように見え、色が青色であったことから、Blue Stellar Objects(BSO)と呼ばれた。これらは、電波を放射する擬恒星電波源(quasi-stellar radio-sources, QSR)と似たスペクトル及び赤方偏移を持つため、クエーサーとされた[17][25][26]
クエーサーが発見された最初のホスト銀河 3C 48 1982
ホスト銀河を持たないと見られる最初のクエーサー HE0450-2958 2005 いくつかの議論のある観測結果が、ホスト銀河その他がないことを示している。
最初の超大質量ブラックホールを含むクエーサー SDSS J0927+2943 2008 2つの光学輝線系が2650km/s離れている。
最初に同定された重力レンズ効果を持つクエーサー ツインクエーサー 1979 2つの像 レンズは、YGKOW G1として知られる銀河
最初の超光速ジェットを持つクエーサー 3C 279 1971 [15][16][17]
最初の二重ローブ構造を持つクエーサー 3C 47 1964
X線源として発見された最初のクエーサー 3C 273 1967 [27]
最初の"塵のない"クエーサー QSO J0303-0019QSO J0005-0006 2010 [28][29][30][31][32][33][34]
最初の大クエーサー群 ウェブスター大クエーサー群
(LQG 1)
1982 [11][12]

極端なクエーサー

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項目 クエーサー データ 備考
地球から光学的に最も明るく見えるクエーサー 3C 273 視等級
~ 12.9
絶対等級: -26.7
光学的に最も明るいと思われるクエーサー APM 08279+5255 絶対等級
-32.2
このクエーサーは重力レンズ効果を受けており、実際の絶対等級は-30.5と推定される。
最も強力な電波源であるクエーサー 3C 273 全ての天体の中でも最も強力な電波源である。
最も変化の大きい電波源としてのクエーサー QSO J1819+3845 (Q1817+387) 最も変化の大きい太陽系外の電波源でもある。
最も遠いクエーサー ULAS J1342+0928 z=7.54[35] 宇宙の再電離以前の時代で初めて見つかった天体[36]
最も遠い電波を放出するクエーサー QSO J1427+3312 z=6.12 2008年6月に発見[37][38]
最も遠いブレーザー QSO J0906+6930 z=5.47
最も近いクエーサー 3C 273 z=0.158
最大の大クエーサー群 U1.27
Huge-LQG
73個のクエーサー [13][14]
最大のブラックホールを有するクエーサー S5 0014+81 全ての天体の中で最も巨大なブラックホールを有する。

早い時期に発見されたクエーサー

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最初に発見された10個のクエーサー
順位 クエーサー データ 備考
1 3C 273 1963 [39]
2 3C 48 1963 [39]
3 3C 47 1964 [40]
3 3C 147 1964 [40]
5 CTA 102 1965 [41]
5 3C 287 1965 [41]
5 3C 254 1965 [41]
5 3C 245 1965 [41]
5 3C 9 1965 [41]
  • 発見され、赤方偏移の値が確定したクエーサー

遠いクエーサー

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z > 6のクエーサー
クエーサー 距離 備考
ULAS J1342+0928 z=7.54 最も遠いクエーサー。
ULAS J1120+0641 z=7.085 赤方偏移が7を超えるクエーサーとして初めて発見された[42]
CFHQS J2329-0301 z=6.43 かつての最も遠いクエーサー[43][44][45][46]
SDSS J114816.64+525150.3 z=6.419 かつての最も遠いクエーサー[47][48][49][46][50][51]
SDSS J1030+0524 z=6.28 かつての最も遠いクエーサー。初めて発見された赤方偏移が6を超えるクエーサー[52][50][53][54][55][56][57]
SDSS J104845.05+463718.3 z=6.23 [51]
SDSS J162331.81+311200.5 z=6.22 [51]
CFHQS J0033-0125 z=6.13 [44]
SDSS J125051.93+313021.9 z=6.13 [51]
CFHQS J1509-1749 z=6.12 [44]
QSO B1425+3326 / QSO J1427+3312 z=6.12 最も遠い電波クエーサー[37][58]
SDSS J160253.98+422824.9 z=6.07 [51]
SDSS J163033.90+401209.6
(QSO J1630+4012)
z=6.05 [51]
CFHQS J1641+3755 z=6.04 [44]
SDSS J113717.73+354956.9
(QSO J1137+3549)
z=6.01 [51]
SDSS J081827.40+172251.8
(QSO J0818+1722)
z=6.00 [51]
SDSSp J130608.26+035626.3
(QSO J1306+0356)
z=5.99 [55][56][57]

[59]

種類毎の最も遠いクエーサー
種類 クエーサー データ 距離 備考
最も遠いクエーサー ULAS J1120+0641 2011 z=7.085 [42]
最も遠い電波を放射するクエーサー QSO B1425+3326 / QSO J1427+3312 2008 z=6.12
発見時に最も遠かったクエーサー
クエーサー データ 距離 備考
ULAS J1120+0641 2011 - z=7.085 発見時に、最も遠い天体ではなかった。赤方偏移が7を超えた初のクエーサー[42]
CFHQS J2329-0301 2007 − 2011 z=6.43 2006年に発見されたIOK-1 (z=6.96)を超えず、発見時に、最も遠い天体ではなかった[43][44][45][46][60][61][62]
SDSS J114816.64+525150.3 2003 − 2007 z=6.419 2002年に発見されたHCM 6A (z=6.56)や同時期に発見されたSDF J132418.3+271455 (z=6.58)を超えず、発見時に、最も遠い天体ではなかった[47][48][49][46][60][63][64][65][66][67]
SDSS J1030+0524 2001 − 2003 z=6.28 発見時には最も遠い天体であった。初めて赤方偏移が6を超える天体となった[52][50][53][54][56][57]
SDSS 1044-0125 2000 − 2001 z=5.82 1999年に発見されたSSA22-HCM1 (z=5.74)を超え、発見時には最も遠い天体であった[68][69][56][57][60][70][71]
RD J030117+002025 2000 z=5.50 MB=-22.7
1999年に発見されたSSA22-HCM1 (z=5.74)を超えず、発見時に、最も遠い天体ではなかった[72][73][69][74][60]
SDSS J1204-0021 2000 z=5.03 1999年に発見されたSSA22-HCM1 (z=5.74)を超えず、発見時に、最も遠い天体ではなかった

[74][60]

SDSSp J033829.31+002156.3
(QSO J0338+0021)
1998 − 2000 z=5.00 初めて発見された赤方偏移が5を超えるクエーサー。1998年に発見されたBR1202-0725 LAE (z=5.64)を超えず、発見時に、最も遠い天体ではなかった[60][68][75][76][77][78][79]
PC 1247+3406 1991 − 1998 z=4.897 発見時、最も遠い天体であった[68][80][81][82][83]
PC 1158+4635 1989 − 1991 z=4.73 発見時に、最も遠い天体であった[68][83][84][85][86][87]
Q0051-279 1987 − 1989 z=4.43 発見時に、最も遠い天体であった[88][84][87][89][90][91]
QSO B0000-26 1987 z=4.11 発見時に、最も遠い天体であった[88][84][92]
QSO B0910+5625 1987 z=4.04 発見時には最も遠い天体であった。赤方偏移が4を超える2つ目のクエーサー[68][84][93][94]
QSO J0048-2903 1987 z=4.01 発見時には最も遠い天体であった。赤方偏移が4を超える初めてのクエーサー[88][84][93][95][96]
QSO B1208+1011 1986 − 1987 z=3.80 発見時には最も遠い天体であった。重力レンズ効果によって、2つの像に見える。発見時から1991年までは、分離角が0.45′と最も小さかった[93][97][98]
QSO J2003-3251 1982 − 1986 z=3.78 発見時には最も遠い天体であった[23][93][99][100]
QSO B1442+101 1974 − 1982 z=3.53 発見時には最も遠い天体であった[101][102][103]
QSO B0642+449 1973 − 1974 z=3.408 発見時には最も遠い天体であった。初めて発見された赤方偏移が3を超えるクエーサー[101][103][104][105][106]
4C 05.34 1970 − 1973 z=2.877 発見時には最も遠い天体であった。それまでの記録より遙かに大きな赤方偏移を持ち、間違いか嘘だと信じられた[23][24][103][107][108]
5C 02.56 1968 − 1970 z=2.399 発見時には最も遠い天体であった[108][109][110]
4C 25.05 1968 z=2.358 発見時には最も遠い天体であった[108][110][111]
QSO B0237-2321 1967 − 1968 z=2.225 発見時には最も遠い天体であった[23][111][112][113][114]
4C 12.39 1966 − 1967 z=2.1291 発見時には最も遠い天体であった[110][114][115][116]
4C 01.02 1965 − 1966 z=2.0990 発見時には最も遠い天体であった[110][114][115][117]
3C 9 1965 z=2.018 発見時には最も遠い天体であった。初めて発見された赤方偏移が2を超えるクエーサー[1][25][114][118][119][120]
3C 147 1964 − 1965 z=0.545 電波銀河3C 295を超え、宇宙で最も遠い天体となった初めてのクエーサー[40][121][122][123]
3C 48 1963 − 1964 z=0.367 赤方偏移が測定された2つ目のクエーサー。1960年に発見された電波銀河3C 295 (z=0.461)を超えず、発見時には最も遠い天体ではなかった[17][23][124][125][126][39][40]
3C 273 1963 z=0.158 赤方偏移が初めて測定されたクエーサー。1960年に発見された電波銀河3C 295 (z=0.461)を超えず、発見時には最も遠い天体ではなかった[17][39][125][126][127]

クエーサーが初めて、宇宙で最も遠い天体となったのは、1964年である。それ以来、1997年に銀河団CL 1358+62による重力レンズ効果を受ける1対の非クエーサー銀河(CL 1358+62 G1 & CL 1358+62 G2)抜かれるまでずっと、クエーサーが宇宙で最も遠い天体であった[110]

最も強力なクエーサー

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最も明るいクエーサー
順位 クエーサー データ 備考
2 PHL 1811 [128]

脚注

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  2. ^ a b c Sky & Telescope Lensed Quasars Hit the Charts February 13, 2004
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  4. ^ Venturini, S.; Solomon, P. M. (2003). “The Molecular Disk in the Cloverleaf Quasar”. The Astrophysical Journal 590 (2): 740-745. arXiv:astro-ph/0210529. Bibcode2003ApJ...590..740V. doi:10.1086/375050. http://www.iop.org/EJ/article/0004-637X/590/2/740/56989.html. 
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関連項目

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外部リンク

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