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クロブーク

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ギリシャ正教会の現首座主教アテネ大主教イエロニモス2世。このような黒色のクロブークが一般的。リヤサを着用し、パナギアを胸にかけている。
モスクワ府主教マカリイ2世(1835 - 1926)。十字架が前面に付いた白いクロブークを着用し、パナギアを胸に掛けている。左手に持っているのはチョトキ。ロシア系の正教会では府主教は白いクロブークを着用する。他にフィンランド正教会大主教も白いクロブークを着用するなど、白いクロブーク着用の習慣については地域差がある。また、リヤサを着用し、パナギアを胸にかけている。

クロブークロシア語: клобук, 英語: klobuk)とは、正教会東方典礼カトリック教会において修道士修道司祭典院掌院)・主教が着用する帽子である。特にロシアの伝統に位置付けられる。日本正教会では修道帽とも訳されるが、片仮名転写の「クロブーク」がより一般的である。

概要

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カミラフカ(黒い覆いを強く固め、頂を平らにした帽子)を元にベールを付けて作られ、ベールはカミラフカを完全に覆い、肩と背中に垂らされる。

アトス山の伝統では、ベールはカミラフカに簡単に掛けられているだけであり、取り外しが容易になっているが[1]、他の諸教会の伝統においてはベールはカミラフカに固定されている[2]

クロブークは教会において、修道士によってしばしば着用される。奉神礼の最中に、修道士がクロブークを頭から脱いで自分の左肩に載せ、聖なるものに対する敬意を表す時がある。修道女は普通は奉神礼の際にクロブークを脱ぐことをしない[3]

正教会において全ての主教は修道士でなければならないことから、クロブークを主教も着用する。

教区を管掌する主教はシンプルな修道士用クロブークを被る。スラヴ系の大主教府主教は、位階を表すものとして、ふつう小さな十字架の飾りが前面に付けられたクロブークを着用する[1]。ロシア系の伝統を持つ教会の府主教は黒いクロブークではなく白いクロブークを着用するが[2]フィンランド正教会大主教も白いクロブークを着用するなど、どのような役職にある人物が白いクロブークを着用するかについては、その運用に地域差がある。

ルーマニア総主教は白いリヤサと白いクロブークを着用する[3]。いくつかの正教の教会の総主教(例えばモスクワ総主教)は、クロブークに似た、頂が丸く、セラフィムの像が飾られ、十字架が頂に付けられた白い帽子を着用する[4]。この形態のものはクーコリロシア語: Куколь, 英語: Koukoulion)と呼ばれる[5]

村上春樹によるアトス山を巡った際の紀行雨天炎天』では「バースデーケーキ」にたとえられ、北野武からは「煙突みたいな帽子」と評された[4]ものは、クロブークかカミラフカのいずれかであると思われる[5]

ギャラリー

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脚注

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  1. ^ アトス山の奉事例規定では、奉神礼中の特定の場面においてベールを取り外すように求められている。
  2. ^ 輔祭のベールは普通は取り外しが可能となっている。奉神礼中に祭服を着用している場合にはカミラフカを着用するからである。
  3. ^ 聖油を塗られる際ですらも修道女はクロブークを脱がない。ただクロブークを頭の後ろにずらし、主教もしくは司祭が聖油を塗るのに十分なスペースを額につくるだけである。
  4. ^ 北野武さんガリレオ2000賞受賞式密着 in フィレンツェ ~3日目授賞式前編
  5. ^ 両者いずれも、クロブークをかぶった修道士修道司祭主教、ないしはカミラフカをかぶった神品 (正教会の聖職)のいずれか、もしくは両方ともが居たとしてもおかしくない状況にあった。

関連項目

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外部リンク

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