グラッドストン準男爵
グラッドストン準男爵(英: Gladstone Baronetcy)は、連合王国準男爵位。実業家で下院議員を務めたジョン・グラッドストンが1846年に叙せられたのに始まる。
歴史
[編集]初代準男爵となるジョン・グラッドストン(1764–1851)は、リヴァプールの穀物貿易商として財を成し、西インド、英領ギアナ、英領ジャマイカなどにおいて広大なサツマイモ耕地、コーヒー耕地を所有し、黒人奴隷を酷使して莫大な利益をあげた[1][2][3]。また1818年から1826年までホイッグ党、後トーリー党の下院議員を務めた[4]、1846年7月18日には連合王国準男爵位の(キンカーディン州におけるファスク=バルフォアのグラッドストン)準男爵(Gladstone Baronetcy of Fasque and Balfour in the County of Kincardine)に叙せられた[5]。
初代準男爵の四男ウィリアム・エワート・グラッドストン(1809-1898)は、自由党の政治家として出世し、19世紀後半に4度にわたって首相を務めたことで知られるが、2代準男爵位を継いだのは初代準男爵の長男トマス・グラッドストン(1804–1889)であり[6]、彼の死後はその息子ジョン・ロバート・グラッドストン(1852–1926)が3代準男爵を継承した[7]。3代準男爵には子供がなかったので、彼の死後には初代準男爵の三男ジョン・ニールソン・グラッドストン(1807-1863)の子サー・ジョン・イヴリン・グラッドストン(1855–1945)が4代準男爵を継承した[8]。
4代準男爵には男子がなく、彼の死後、初代男爵の四男ウィリアム・エワート・グラッドストン(首相)の孫であるアルバート・チャールズ・グラッドストン(1886–1967)が5代準男爵を継承した[9]。5代準男爵の死後、その弟チャールズ・アンドリュー・グラッドストン(1888–1968)が準男爵位を請求したが、使用する前に死去した[10]
その後、彼の息子サー・アースキン・ウィリアム・グラッドストン(1925-2018)が7代準男爵を継承した。彼はパブリックスクールの教師を経てイギリス・スカウト連盟総長として活躍し、1999年にガーター勲章を受勲した[11]。現在の当主は7代準男爵の息子サー・チャールズ・アンガス・グラッドストン(1964-)である。
(ファスク=バルフォアのグラッドストン)準男爵 (1846年)
[編集]- 初代準男爵サー・ジョン・グラッドストン (Sir John Gladstone, 1764–1851)
- 2代準男爵サー・トマス・グラッドストン (Sir Thomas Gladstone, 1804–1889) - 先代の息子
- 3代準男爵サー・ジョン・ロバート・グラッドストン (Sir John Robert Gladstone, 1852–1926) - 先代の息子
- 4代準男爵サー・ジョン・イヴリン・グラッドストン (Sir John Evelyn Gladstone, 1855–1945) - 先代の従兄弟
- 5代準男爵サー・アルバート・チャールズ・グラッドストン (Sir Albert Charles Gladstone, 1886–1967) -先代の従兄弟の子
- 6代準男爵(デ・ジュリ)サー・チャールズ・アンドリュー・グラッドストン (Sir Charles Andrew Gladstone, 1888–1968) - 先代の弟
- 7代準男爵サー・アースキン・ウィリアム・グラッドストン (Sir Erskine William Gladstone, 1925-2018) - 先代の息子
- 8代準男爵サー・チャールズ・アンガス・グラッドストン (Sir Charles Angus Gladstone, 1964-) - 先代の息子
- 法定推定相続人は、現当主の息子ジャック・ウィリアム・グラッドストン(Jack William Gladstone, 1989-)
系図
[編集]初代准男爵 ジョン・グラッドストン (1764-1851) | |||||||||||||||||||||||||
第2代准男爵 トマス (1804-1889) | ジョン (1807-1863) | ウィリアム (英国首相) (1809-1898) | |||||||||||||||||||||||
第3代准男爵 ジョン (1852-1926) | 第4代准男爵 ジョン (1855-1945) | スティーブン (1844-1920) | |||||||||||||||||||||||
第5代准男爵 アルバート (1886-1967) | 第6代准男爵 チャールズ (1888-1968) | ||||||||||||||||||||||||
第7代准男爵 ウィリアム (1925-2018) | |||||||||||||||||||||||||
第8代准男爵 チャールズ (1964-) | |||||||||||||||||||||||||
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ 永井柳太郎 1929, p. 5-8.
- ^ 神川信彦 2011, p. 21-23.
- ^ 尾鍋輝彦 1984, p. 14.
- ^ 永井柳太郎 1929, p. 7-8.
- ^ Lundy, Darryl. “Sir John Gladstone, 1st Bt.” (英語). thepeerage.com. 2018年1月1日閲覧。
- ^ Lundy, Darryl. “Sir Thomas Gladstone, 2nd Bt.” (英語). thepeerage.com. 2018年1月1日閲覧。
- ^ Lundy, Darryl. “Sir John Robert Gladstone, 3rd Bt.” (英語). thepeerage.com. 2018年1月1日閲覧。
- ^ Lundy, Darryl. “Sir John Evelyn Gladstone, 4th Bt.” (英語). thepeerage.com. 2018年1月1日閲覧。
- ^ Lundy, Darryl. “Sir Albert Charles Gladstone of Fasque and Balfour, 5th Bt.” (英語). thepeerage.com. 2018年1月1日閲覧。
- ^ Charles Mosley, editor, Burke's Peerage, Baronetage & Knightage, 107th edition, 3 volumes (Wilmington, Delaware, U.S.A.: Burke's Peerage (Genealogical Books) Ltd, 2003), volume 2, page 1558.
- ^ Lundy, Darryl. “Sir Erskine William Gladstone of Fasque and Balfour, 7th Bt.” (英語). thepeerage.com. 2018年1月1日閲覧。
参考文献
[編集]- 尾鍋輝彦『最高の議会人 グラッドストン』清水書院〈清水新書016〉、1984年。ISBN 978-4389440169。
- 新版『最高の議会人 グラッドストン』清水書院「新・人と歴史29」、2018年。ISBN 978-4389441296。
- 神川信彦、君塚直隆解説『グラッドストン 政治における使命感』吉田書店、2011年。ISBN 978-4905497028。
- 永井柳太郎『グラッドストン』実業之日本社、1929年 。