ゲーオア・ブランデス
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ゲーオア・モリス・コーエン・ブランデス(Georg Morris Cohen Brandes、1842年2月4日 - 1927年2月19日)は、デンマークの文学史家・批評家である。コペンハーゲン大学教授。
コペンハーゲンのユダヤ人の家庭に生まれる。生まれたときの姓名はモリス・コーエン。テーヌ、コント、ミルなどの影響を受け、カエサル、シェイクスピア、ヴォルテール、ゲーテや、同時代の文学についての評論を数多く著し、19世紀末のヨーロッパを代表する文学史家であると評価された。
1877年から1883年にかけてベルリンに滞在した際、レーやザロメと交際してニーチェの存在を知った。『善悪の彼岸』や『道徳の系譜』を贈呈されたブランデスは、その思想における禁欲主義や民主主義に対しての嫌悪・蔑視に高い関心を示し、「貴族的急進主義」と評価して、それ以来ニーチェとは頻繁に文通を行う知己の仲となった。ブランデスはニーチェにキェルケゴールの存在を知らせ、ストリンドベリやイプセンに注目するよう示唆している。それがきっかけでニーチェはストリンドベリとも文通を始めることになった。1888年4月にブランデスはコペンハーゲン大学でニーチェに関する数回にわたる公開講義を行い、ニーチェの名をヨーロッパ(とくにスカンディナヴィア)の知識人たちに広めるのに大きく寄与する役目を果たした。
主著『十九世紀文学主潮史』(1872年 - 1890年)がある。吹田順助訳で1950年代に一部が、創元文庫で刊行された。
日本語訳
[編集]- 『露西亜印象記』中沢臨川 (重雄) 訳 中興館 1912
- 『十九世紀文学主潮 第1(移民文学)』矢口達訳 新陽堂 1914
- 『露西亜文学印象記』瀬戸義直訳 中興館書店 1914
- 『ニイチエ超人の哲学』生田長江訳 天弦堂 1915
- 『黎明期の思想家』宮原晃一郎訳 杜翁全集刊行会 1922
- 『フェルディナンド・ラッサルレ』尾崎士郎訳 黎明閣 1923
- 『ヘンリツク・イブセン』布施延雄訳 新潮社 1926
- 『十九世紀文学主潮』全10巻 春秋社 1930-40