コイ科
コイ科 | ||||||||||||||||||
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Rutilus rutilus
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分類 | ||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||
Cyprinidae Rafinesque, 1815 | ||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||
Carps or Minnows |
コイ科(学名:Cyprinidae)は、コイ目に所属する魚類の分類群の一つ。淡水魚のグループとしては最大の科であり、コイやヒメハヤなど約3000種が属する。1,950種が記載されるハゼ科(スズキ目)と並び、脊椎動物全体で最大の科でもある。多数の水産重要種を含み、アクアリウムなどで飼育される観賞魚も多い。ゼブラフィッシュ(Danio rerio)など、一部の魚種は生物学における重要なモデル動物として利用されている。名称は古代ギリシア語でコイを意味するキュプリーノス(κυπρῖνος)にちなむ。
概要
[編集]本科に所属するパーカーホ(Catlocarpio siamensis)は、コイ目中の最大種である。タイに分布する本種は少なくとも体長2.5mに達し、3mに及ぶこともある[1]。インドのブラマプトラ川に生息する Tor putitora も最大で2.7mに達するとみられるほか、2mを超える大型種はアジアから他に2種が知られる。コロラド川に分布する Ptychocheilus lucius は、北アメリカにおける最大のコイ科魚類である。ほとんどの一般的なコイ科魚類は体長5cm未満で、ミャンマーの河川から知られる Danionella 属の2種(D. translucida および D. mirifer)は体長1cm強で成熟する超小型種である。
本科の咽頭歯は1-3列で、各列とも8本を超えることはない。多くの種類では唇は薄く、ひだや突起はない。口ヒゲの有無はさまざま。上顎はほぼ完全に前上顎骨のみによって縁取られ、前に突き出すことが可能である。200本以上の鰓耙をもつ種類(Pectenocypris balaena)が知られる。
コイ科魚類の最古の化石は、アジアにおける始新世の地層から産出する。ヨーロッパおよび北アメリカからはやや遅れ、漸新世のものがもっとも古い。北アメリカには始新世に他の骨鰾類は既に存在していたが、コイ類は分布していなかったとみられている[1]。魚類化石があまりみられない台湾島から、鮮新世の数種の化石(咽頭歯)が報告されている。
かつては餌をとるときに素早く遊泳し頭部が可動性をもつグループと、比較的ゆっくり泳ぎ頭部が固定されたグループという、シンプルな2亜科に分割されていたが、現在ではより詳細に分けられている[1]。コイ目の魚は全て卵生であり、巣作りや卵を保護する習性をもつものも少数ながら存在する。
コイ科魚類はメキシコ南部までの北アメリカ・アフリカ大陸・ユーラシア大陸に幅広く分布する一方で、南アメリカやオセアニアには生息しない[1]。ほぼすべてが淡水産であるが、ウグイ亜科のごく一部に汽水域に進出する種類が知られる。
主な種として以下のものが挙げられる。
- コイ Cyprinus carpio
- キンギョ Carassius auratus
- ヨーロッパブナ Carassius carassius
- チャブ Leuciscus cephalus
- バーベル Barbus barbus
- シルバーシャーク (Balantiocheilus melanopterus
- ダニオ
- ラスボラ
- ローチ
- デイス
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パーカーホ Catlocarpio siamensis。本種はコイ目中の最大種で、最大で3mに達する
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ニッポンバラタナゴ Rhodeus ocellatus kurumeus(タナゴ亜科)の雄個体。鮮やかな婚姻色が名前の由来となっている
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コイ亜科の1種 Puntius denisonii (コイ科)
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ソウギョ Ctenopharyngodon idella。水生植物を主食とする東アジア原産のコイ類。日本には戦中戦後にかけて移植され、以来全国各地に分布範囲を広げている
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オイカワ Opsariichthys platypus。関東以西に広く分布し、釣魚として人気のある種類
分類
[編集]- Psilorhynchinae - 2属6種を含み、体長8cm程度の小型魚類である。ネパールおよび隣接するインド・ミャンマーの山岳地帯に分布し、流れの速い渓流での生活に適応している。頭部腹面が平らで口は小さく、肉質の唇をもつ。口ヒゲはない。鰓の開口部は小さい。咽頭歯は1列4本。側線が発達する一方、浮き袋は退化的である。かつては独立科とされたこともある。
- コイ亜科 Cyprininae - 約1300種。コイ・フナ(キンギョ)が一般的に知られているが、ドクターフィッシュ・プンティウス属・シルバーシャークのような熱帯魚も含まれる。
- ダニオ亜科 Danioninae - 約300種。ラスボラなどの熱帯魚のほか、モデル生物として用いられるゼブラフィッシュも含む。
- Leptobarbinae - 1属(Leptobarbus)に5種を含む。東南アジア産。
- タナゴ亜科 Acheilognathinae - 4属に約80種が属する。中央アジアを除くユーラシア大陸、および日本列島に分布する。カネヒラ・タナゴ・イタセンパラ・アカヒレタビラ・ニッポンバラタナゴ・アブラボテなどのタナゴ類を含む。
- カマツカ亜科 Gobioninae - 約200種。ユーラシア全域に産するが、 タイリクスナモグリ属 Gobio 以外のほとんどの属は東南アジアおよび日本に限局する。ニゴイ・スゴモロコ・カワヒガイ・モツゴ・カマツカ・ツチフキなど。
- ウグイ亜科 Leuciscinae - 約700種。コイ科で北アメリカに自然分布する唯一のグループである。インドおよび東南アジアには分布しない。ウグイ・アブラハヤなど。
- クセノキプリス亜科 Oxygastrinae - 約150種。東アジアから東南アジアに分布する。カワムツ属・ハス属などはかつてダニオ亜科に含まれていたが、他のダニオとは系統が異なるため分離された[2]。
- 所属未定
- Araiocypris - 1種[3]
- Tanichthys - 3種 アカヒレ
- Tinca - 1種 テンチ
- Capoetobrama - 2種
- Leucalburnus - 1種
- Placogobio - 2種
- Atrilinea - 3種
- Rasborichthys - 1種
系統
[編集]次のような系統樹が得られている[2]。
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出典・脚注
[編集]- ^ a b c d 『Fishes of the World Fourth Edition』 pp.139-143
- ^ a b Tang, Kevin L., et al. (2013). “Limits and phylogenetic relationships of East Asian fishes in the subfamily Oxygastrinae (Teleostei: Cypriniformes: Cyprinidae)”. Zootaxa 3681 (2): 101-135. doi:10.11646/zootaxa.3681.2.1. [1]
- ^ Conway, Kevin W., and Maurice Kottelat. (2008). “Araiocypris Batodes, a new genus and species of cyprinid fish from Northern Vietnam (Ostariophysi: Cyprinidae)”. Raffles Bull Zool 56 (1): 101-105 .
参考文献
[編集]- Nelson JS, Fishes of the World (4th ed), New York, John Wiley & Sons INC, 2006, ISBN 0-471-25031-7
- 上野輝彌・坂本一男 『新版 魚の分類の図鑑』 東海大学出版会 2005年 ISBN 978-4-486-01700-4
- 川那部浩哉・水野信彦・細谷和海 編・監修 『日本の淡水魚 改訂版』 山と溪谷社 1989年 ISBN 4-635-09021-3
- 松浦啓一編著 『魚の形を考える』 東海大学出版会 2005年 ISBN 4-486-01674-2
- 岩井保 『魚学入門』 恒星社厚生閣 2005年 ISBN 978-4-7699-1012-1