コンスタンティノープル総主教の一覧
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(コンスタンティノポリ総主教の一覧から転送)
コンスタンティノープル総主教(コンスタンティノープルそうしゅきょう、ギリシア語:Οικουμενικός Πατριάρχης Κωνσταντινουπόλεως、英語:Ecumenical Patriarchate of Constantinople)は、正教会で筆頭の格を有する総主教。日本ハリストス正教会の奉神礼ではコンスタンティノポリ総主教と呼称される。
- 各種表記
- コンスタンティノープル総主教 - 英語由来の転写。「コンスタンチノープル総主教」との表記も同様。
- コンスタンティノポリ総主教 - 日本ハリストス正教会の奉神礼で用いられる。中世ギリシャ語・教会スラヴ語を経た転写。
- コンスタンティノポリス総主教 - ラテン語由来の転写。
一覧の凡例
[編集]- 以下の歴代のコンスタンティノープル総主教一覧においては、在位年、ギリシャ文字表記、現代ギリシャ語転写、日本正教会で用いられている転写、古典ギリシャ語再建音による転写の順に記載する。
- 片仮名転写においては姓は省略する。ギリシャ文字表記においてはギリシャ語記事に姓の記載がある場合には姓も記事名のまま併記する。
- 日本にある正教会である日本正教会で最も用いられている標準的な諸転写には、殆どの場合において古典ギリシャ語よりも現代ギリシャ語の方が近い。これはモラヴィア・ルーシの正教会に正教が伝えられた中世にはギリシャ語の発音が既に古典語よりも現代の発音に近いものとなっていたため、当地の教会スラヴ語には現代ギリシャ語に近い音が格語尾を落とす形で転写され、これが日本正教会に伝えられた事による。現在の日本正教会で最も使われるのはこうした経緯を持つ教会スラヴ語再建音を経由した転写であるが、現代ギリシャ語による転写も用いられる。ギリシャ語転写を用いる場合であっても、古典再建音は殆ど用いられない。
- 長短音の区別が無いとされる現代ギリシャ語であるが、アクセントのある"ου"を「ウー」と転写するなど、日本において慣例的に長音と同様の転写が行われているものについては、慣例に従った(例:メリナ・メルクーリ)。
- 「日本正教会転写」の欄では、日本正教会で最も用いられる教会スラヴ語経由の転写を記す。ただし日本正教会での標準的な表記が不明な場合は、ハイフン「-」を以て空欄とする。
- 現代用いられている教会スラヴ語には英語の"th"に当たる発音が無いため、ウクライナ、ロシアにおいては"θ(th)"は"ф(f)"によって転写される(他方セルビア、ブルガリアでは"Т(t)"で転写される)。日本正教会の母教会はロシア正教会であるため、"θ(th)"の転写もロシアのものに準じている。
- 教会スラヴ語の"в(v)"は、日本正教会での古い文献では「ワ・ワィ・ウ・ワェ・ヲ」と転写される事が標準的であるが、近年の文献では「ヴァ・ヴィ・ヴ・ヴェ・ヴォ」と転写される例もある。日本正教会における通用性により、両者の表記が本一覧では混在している事に注意。
- 古典ギリシャ語の"Φ"は、本記事の古典再建音表記では"PH (F)"(ハ行)として転写したが、"P"の有気音としてパ行で転写する方法もある。
- 現代ギリシャ語で、"Γ"に母音「イ」「エ」が続く場合、本記事ではガ行として転写したが、喉から出るヤ行の音であるため、「ギ」「ゲ」ではなく「イェ」「エ」と転写する方法もある。
- 東ローマ帝国研究者の間では古典再建音が主流であるが、中世・現代ギリシャ語の発音から転写する者もいる。
歴代コンスタンティノープル総主教の一覧
[編集]本一覧における片仮名転写は(あらゆる転写に一般的に言えるが)あくまで一例であり、正確な発音・転写を保証するものではない。
創設者
[編集]在位年 | ギリシャ文字表記 | 現代ギリシャ語転写 | 日本正教会転写 | 古典ギリシャ語転写 |
- | Απόστολος Ανδρέας | 聖使徒アンドレアス | 聖使徒アンドレイ | 聖使徒アンドレアス |
ビザンティオン主教
[編集]新ローマ・コンスタンティノープル主教
[編集]在位年 | ギリシャ文字表記 | 現代ギリシャ語転写 | 日本正教会転写 | 古典ギリシャ語転写 |
314-337 | Αλέξανδρος | アレクサンドロス | アレクサンドル | アレクサンドロス |
337-339 | Παύλος Α΄ | パヴロス1世 | パウェル1世 | パウロス1世 |
339-341 | Ευσέβιος ο Νικομηδείας | エヴセヴィオス | エウセウィ | エウセビオス |
341-342 | Παύλος Α΄ | パヴロス1世(着座2回目) | パウェル1世 | パウロス1世 |
342-346 | Μακεδόνιος Α΄ | マケドニオス1世 | マケドニイ1世 | マケドニオス1世 |
346-351 | Παύλος Α΄ | パヴロス1世(着座3回目) | パウェル1世 | パウロス1世 |
351-360 | Μακεδόνιος Α΄ | マケドニオス1世(着座2回目) | マケドニイ1世 | マケドニオス1世 |
360-370 | Ευδόξιος ο Αντιοχείας | エヴドクシオス | エウドクシイ | エウドクシオス |
370 | Ευάγριος | エヴァグリオス | エワーグリイ | エウアグリオス |
370-380 | Δημόφιλος | ディモフィロス | - | デーモフィロス |
379-380 | Γρηγόριος Α΄ Ναζιανζηνός | グリゴリオス1世(ナジアンジノス) | グリゴリイ1世 | グレーゴリオス1世 |
380 | Μάξιμος Α΄ ο Κυνικός | マクシモス(対立総主教) | マクシム | マクシモス |
380-381 | Γρηγόριος Α΄ Ναζιανζηνός | グリゴリオス1世(ナジアンジノス) | グリゴリイ1世 | グレーゴリオス1世 |
新ローマ・コンスタンティノープル総主教
[編集]在位年 | ギリシャ文字表記 | 現代ギリシャ語転写 | 日本正教会転写 | 古典ギリシャ語転写 |
381-397 | Νεκτάριος | ネクタリオス | ネクタリイ | ネクタリオス |
398-404 | Ιωάννης Α΄ Χρυσόστομος | イオアンニス1世(フリソストモス)[1] | 金口イオアン | イオーアンネース1世 |
404-405 | Αρσάκιος | アルサキオス | - | アルサキオス |
406-425 | Αττικός | アッティコス | アッティク | アッティコス |
426-427 | Σισίνιος Α΄ | シシニオス1世 | シシーニイ1世 | シシニオス1世 |
428-431 | Νεστόριος | ネストリオス | ネストリイ | ネストリオス |
431-434 | Μαξιμιλιανός | マクシミリアノス | マクシミリアン | マクシミリアノス |
434-446 | Πρόκλος | プロクロス | プロクル | プロクロス |
446-449 | Φλαβιανός | フラヴィアノス | フラビアン | フラビアノス |
449-458 | Ανατόλιος | アナトリオス | アナトリイ | アナトリオス |
458-471 | Γεννάδιος Α΄ | ゲンナディオス1世 | ゲンナディ1世 | ゲンナディオス1世 |
472-489 | Ακάκιος | アカキオス | アカキイ | アカキオス |
489 | Φραβίτας | フラヴィタス | - | フラビタス |
489-495 | Ευφήμιος | エフフィミオス | エウフィミイ | エウフェーミオス |
495-511 | Μακεδόνιος Β΄ | マケドニオス2世 | マケドニイ2世 | マケドニオス2世 |
511-518 | Τιμόθεος Α΄ | ティモセオス1世 | ティモフェイ1世 | ティモテオス1世 |
新ローマ・コンスタンティノープルの大主教、全地総主教
[編集]518年 - 867年(ユスティニアヌス朝からアモリア朝まで)
[編集]867年 - 1206年(マケドニア朝から1204年の第4回十字軍直後まで)
[編集]1207年 - 1453年(ニカイア帝国・パレオロゴス朝を経て東ローマ帝国滅亡まで)
[編集]1454年 - 1821年(オスマン帝国時代・ギリシャ独立戦争勃発まで)
[編集]1821年 - 現在(ギリシャ独立戦争勃発から現在まで)
[編集]脚注
[編集]参考文献
[編集]- 武岡武夫編『七十徒小伝』名古屋ハリストス正教会、1987年4月19日再刊 - 日本正教会での表記について人名一覧を参照
- 『正教会暦 2008年』日本ハリストス正教会教団 - 日本正教会での表記について聖人の表記を参照
- 河底尚吾著『現代ギリシア語入門』泰流社(1988年10月30日第1刷)ISBN 9784884706548 - 現代ギリシア語転写について
- 池田黎太郎著『古典ギリシア語入門』白水社(1998年12月5日発行)ISBN 4560006814 - 古典ギリシア語転写について
関連項目
[編集]- 正教会の教会機構一覧
- 聖ゲオルギオス大聖堂 - 近現代以降、コンスタンティノープル総主教座が置かれている大聖堂。
- ギリシアの数字 - ギリシア語版記事名に用いられている、ギリシア文字を使った代数を示す表記法。
- モスクワ総主教・モスクワ府主教の一覧
- ローマ教皇の一覧 - カトリック教会の最高指導者たるローマ教皇の一覧。
- カンタベリー大主教の一覧 - 聖公会における筆頭格の大主教であるカンタベリー大主教の一覧。