コーリン鉛筆
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コーリン鉛筆株式会社(コーリンえんぴつ、COLLEEN PENCIL CO.,LTD.)は、かつて東京都葛飾区東新小岩に本社を置いた文房具メーカー。
概要
[編集]日本の鉛筆メーカーとしてかつては三菱鉛筆・トンボ鉛筆に次ぐ業界3位のシェアを有し、特に色鉛筆などのアートワーク系製品に強みを持っていた。しかし市場縮小期に過剰投資を行ったことなどが引き金となり、1997年に倒産した[2]。
海外法人として、タイ王国・サムットプラーカーン県バーンサオトン郡にコーリン鉛筆タイランド社(COLLEEN PENCIL (THAILAND) CO.,LTD.、タイ語: บริษัท คอลลีน เพนซิล (ประเทศไทย) จำกัด)がある。同社は日本・タイ・台湾の合弁で設立されたが、日本本社の倒産後、日本人社員の指導のもとタイ資本100%で事業を継続し、旧コーリン鉛筆の商標権も同社へ移行した[2][3]。
2007年、色鉛筆ブランドの復興のため、興伸色鉛筆芯(東京都墨田区)の技術協力などを得て、タイに色芯専門生産拠点を開設[2]、2009年9月17日、東京都墨田区に新会社コーリン色鉛筆を設立[4]。日本国内で再び「コーリン」ブランドの文房具が販売されるようになった。2011年時点ではタイでのシェアは約半数に上る[5]。
沿革
[編集]- 1916年(大正5年) : 赤木廣八商店として東京市神田区(現・東京都千代田区)東神田で創業
- 1929年(昭和4年) : 東京田端の鉛筆製造工場を取得
- 1932年(昭和7年) : 工場を東京市足立区(現・東京都足立区)に移転
- 1945年(昭和20年) : 東神田の社屋が戦災により焼失
- 1947年(昭和22年) : コーリン鉛筆株式会社に改称
- 1982年(昭和57年) : 本社を東京都葛飾区に、工場を茨城県水海道市(現・常総市)に移転、CI変更。“三角顔”のブランドマークが右向きから左向きに変わる(旧ブランドマークの商標は維持)
- 1991年(平成3年) : タイ王国に鉛筆生産拠点としてコーリン鉛筆タイランド(Colleen Pencil (Thailand) Co.,Ltd.)を設立
- 1997年(平成9年) : 日本本社倒産。負債総額は約70億円。タイ法人はタイ資本100%へ移行し存続する
- 2007年(平成19年) : タイに色鉛筆芯生産拠点が開設
- 2009年(平成21年) : 東京都墨田区に株式会社コーリン色鉛筆が設立
主な製品
[編集]- 鉛筆
- ハイピアス(Hi pierce)No.5050 - 1967年(昭和42年)発売の高級鉛筆。硬度によって硬度表記の部分の色が異なる。2009年に復刻版が発売。廉価版の頭付けの部分を省略した「No.3030 ピアス(pierce)」も存在する。
- コア(CORE)シリーズ - 1970年代中期から発売。ハイピアスの後継商品的な位置付けとされる。基本形であるコア5550には、発売当初はおまけとして鴎のデザインの「バランスジャック」が付録として同梱されていた。初期は軸の色が青色だったが後に赤色に変更される。シリーズには他に「コアG」「コア70」などが存在する。
- No.9900 - 三菱の「No.9800」、トンボの「No.8900」等に相当する標準グレードの鉛筆。コーリン倒産時まで発売。
- No.2020 - No.3030の廉価版、またはNo.3030とは違う別の色の軸を採用したモデルもある。
- No.3030 - No.9900と同様の事務用鉛筆。No.3030はNo.2020に頭付けしたようなデザイン。
- No.519 - 試験用鉛筆として昭和20年代に発売されていた。硬度はH。
- No.686 - 昭和30年代に発売されていた鉛筆。暗い赤色の軸。
- シャープペンシル
- シャープ芯
- 0.5シャープ芯 GOLD - 1972年(昭和47年)発売。一般的な0.5mm径シャープペンシルの替芯に、金色の特殊コーティングを施したもの。初期のものは30本入200円であるが、後期のものは40本入り200円に変更された。なお、蓋が色付きのものや抗菌モデルも発売されており、廃業間際まで生産されていた。
- BLAXシリーズ - シリーズ展開しておりBLAX、NEWBLAX、LONGBLAXの3種類がある。
- ニュータッチ芯 - 1970年頃発売。特殊な形の蓋を有し、それを回すことによりシャープ芯を取り出せる構造となっている。
- 色鉛筆
この他、鉛筆削り器なども製造していた。
また、コーリン・チャップマンが率いたイギリスのスポーツカーメーカーのロータスやチーム・ロータス(初代)のライセンス供与を受けた鉛筆や鉛筆削り器などを販売していた事もある。
脚注
[編集]参考文献
[編集]- 田原徳容 (2007年7月5日). “コーリン鉛筆、タイで復活”. YOMIURI ONLINE. 2007年7月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年8月8日閲覧。
- 影山惠子「1 倒産を乗り越え異国の地から再生 株式会社コーリン色鉛筆」『潰れてたまるか!: ピンチをチャンスに変えた10社』CCCメディアハウス、2010年 。
- 土橋正 (2011年7月11日). “コーリンの歴史と鉛筆”. All About. オールアバウト. 2020年8月8日閲覧。
- 佐伯竜一 (2019年12月20日). “ブンコレ~おすすめ文具コレクション【5】コーリン色鉛筆 鮮やかな発色 復活し凱旋”. 神戸新聞NEXT. 神戸新聞社. 2020年8月8日閲覧。
- 「BRAND INFO: コーリン色鉛筆」『パノーラ・タイ版』第15号、コム・バンコク、2020年7月、7頁。
外部リンク
[編集]- COLLEEN PENCIL(コーリン鉛筆タイランド 日本語公式サイト)
- コーリンの色鉛筆 (@yobomo) - X(旧Twitter)
- コーリン色鉛筆 (@colleen_pencil) - X(旧Twitter)
- コーリン色鉛筆 (Colleen.Pencil) - Facebook
- Kero556と文具と小物たち: コーリン鉛筆カタログ化計画 - 公認マニア・コーリン色鉛筆元社員によるコレクション情報を掲載したブログ