ザンボラー
ザンボラー | |
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ウルトラシリーズのキャラクター | |
初登場 | 『ウルトラマン』第32話 |
作者 | 成田亨(デザイン) |
ザンボラーは、特撮テレビドラマ『ウルトラマン』をはじめとする「ウルトラシリーズ」に登場する架空の怪獣。別名は灼熱怪獣。
『ウルトラマン』に登場するザンボラー
[編集]ザンボラー | |
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別名 | 灼熱怪獣 |
身長 | 40 m[出典 2] |
体重 | 2万 t[出典 3] |
出身地 |
『ウルトラマン』第32話「果てしなき逆襲」に登場。
高温で赤く光り輝く透明な背びれを有する4足怪獣。人間が自分の生息地を工場建設のために破壊したことに怒り、鎌倉の宮ノ森の民間住宅開発工事現場に突如出現して暴れだす。頭部・背中の突起を発光させて対象を爆発・炎上させる能力を持つ[注釈 1]。これによって山火事を起こしたり鬼山の森の化学工場群を破壊して東京に進撃し、出動したM4中戦車を数台炎上させる。地底深くにいても地表では大火災が発生するほどの超高熱の体温(10万度[出典 5])により、科学特捜隊の冷凍弾すら有効な手段とはなりえず、ウルトラマンにも熱光線を浴びせて一時は優勢に立つが、投げ飛ばされて気絶したところをスペシウム光線で倒される。
- スーツアクター:鈴木邦夫[出典 6]
- デザインは成田亨で、モチーフはライオン[出典 7]。
- スーツはガヴァドンBの改造[出典 8][注釈 2]。角と背中の発光部分には40ワットの電球を大量に仕込んでいた[出典 9]。背中の突起は透明ポリエステル樹脂製[出典 10]。
- 準備稿では、ウルトラマンに冷凍液で凍結され、スペシウム光線で蒸発して倒されるという流れであった[15][22]。
- 撮影時には爆発と火勢が強かったといい、機電の倉方茂雄はスタジオの東京美術センター側から苦情が寄せられ、以後の撮影では火薬が控えめになったと証言している[15]。また、現場を見学していた子役の山村哲夫は、ザンボラーが4足歩行であるにもかかわらず、火勢が強いために鈴木が立ち上がってしまうことが何度もあったと証言している[15]。
- 書籍などではウルトラマンがザンボラーに馬乗りになったスチールが多用されるが、作中にそういうシーンはない[8]。
- 書籍『ウルトラ怪獣列伝』(2008年)では、特殊な一芸に秀でた怪獣の先駆けと評している[7]。
『ウルトラマンパワード』に登場するザンボラー
[編集]ザンボラー (パワードザンボラー) | |
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別名 | 灼熱怪獣 |
身長 | 87 m[出典 11] |
全高 | 45 m[6][26] |
体重 | 5万 t[出典 11] |
出身地 |
『ウルトラマンパワード』第7話「灼熱の復讐」(米国版サブタイトル:FIRES BELOW)に登場。『ウルトラマン』の登場個体(原典)との区別から、玩具などではパワードザンボラーの名称が用いられている。
人間の自然環境破壊に怒り出現したとされる、山脈のように巨大な怪獣。原典より頭部は細く、身体は緑色で巨大化しており、背部に生えた赤い角や背びれが山火事を彷彿させる恐竜のような姿となっている。500度を超える体温によって周囲を自然発火させ、角や全身から発する熱波や超々高熱によってミサイルやビートルなど、あらゆる攻撃を融解させる。また、それらによる上昇気流で周囲を400度の高気圧帯に変えてハリケーンを現出させたうえ、周辺の大気を歪ませることによって衛星レーザー「サイクロープス・アイ」も湾曲させられて外される。さらには、ウルトラマンパワードのメガ・スペシウム光線を硬い外皮で防ぎきるが、パワードが祈るようにテレパシーを送ることによって説得され、どこかへ去る。
- デザインは前田真宏[27]。前田は生物的な解釈を挟む余地はなく、大地から生まれた存在と解釈している[27]。
- 着ぐるみは2人のスーツアクターによって演じられていた[27]。頭と尻尾はピアノ線による操演で表現されている[28]。
- 企画段階では「ザンボラー・ガイア」という名称候補があった[29]。
その他
[編集]- 『ウルトラセブン』の未発表脚本「宇宙人15+怪獣35」では、宇宙人連合によって蘇生されており、富士山麗に集結して東京を目指す怪獣軍団の中に名前が確認されている。
- 映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』では、百体怪獣ベリュドラの右角を構成する怪獣の1体となっている[30]。同作のイメージボードにも姿が描かれていた[31]。
- 漫画『ウルトラマンSTORY 0』では、火山がそのまま怪物化した超巨大怪獣という設定で登場。放出したマグマを空中で自由に操る能力を持つ。同作独自のウルトラ戦士・カラレスの隙を突いて腹に閉じ込め、ウルトラマンタロウにも重傷を負わせるが、星の声を聞いて真の戦士として覚醒したタロウのストリウム光線とウルトラダイナマイトの連続攻撃を受け、倒される。
- 『大怪獣バトル』のEX7弾に技カードとして登場。スキルはザンボラーの特徴である「赤き閃光」。
- テレビアニメ『SSSS.GRIDMAN』では、新条アカネの部屋の棚にパワードザンボラーのフィギュアが飾られている[32]。
- 『ウルトラマンブレーザー』第2話では、ナグラ・テルアキの履歴が記載された地球防衛隊勤務記録書にザンボラーの名も記載されている。
過去の映像を流用しての登場
[編集]いずれも映像は初登場作品の流用。
- 『ウルトラマンZOFFY ウルトラの戦士VS大怪獣軍団』
- 暴れる様子とウルトラマンとの戦いをゾフィーが紹介している。
- 『甦れ!ウルトラマン』
- ゼットン星人が暴れさせる怪獣の1体として登場。鎌倉近郊に出現し、分身したウルトラマンと戦う。
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ a b c d e 白書 1982, p. 51, 「ウルトラマン 怪獣リスト」
- ^ a b c d 画報 上巻 2002, p. 46
- ^ a b c 画報 下巻 2003, p. 68
- ^ a b c d e ベストブック 1993, p. 120
- ^ a b c ウルトラ怪獣大全集 1984, p. 18
- ^ a b c d e f 大辞典 2001, p. 155
- ^ a b c 怪獣列伝 2008, pp. 120–121, 「自然の怒りの体現者 灼熱怪獣ザンボラー」
- ^ a b c d e 全調査報告 2012, pp. 106–107, 「CASE FILE32 果てしなき逆襲」
- ^ a b c d e 円谷プロ全怪獣図鑑 2013, p. 18
- ^ a b c 研究読本 2014, p. 231, 「ウルトラマン 怪獣・宇宙人大図鑑」
- ^ a b c UPM vol.02 2020, p. 24, 「怪獣、侵略宇宙人、宇宙怪獣、怪人、怪生物」
- ^ a b c d 大怪獣図鑑 2022, pp. 134–137, 「ザンボラー」
- ^ 怪獣大図鑑 2012, p. 49.
- ^ 『ウルトラの常識 ウルトラQ&ウルトラマン編』P.167
- ^ a b c d e f g 研究読本 2014, pp. 188–189, 「エピソードガイド第32話」
- ^ 岩畠寿明(エープロダクション) 編『テレビマガジン特別編集スペシャル ウルトラマン』講談社〈講談社ヒットブックス〉、2006年12月26日、38頁。ISBN 4-06-179158-3。
- ^ a b フィギュア王291 2022, p. 29, 「『シン・ウルトラマン』鑑賞前にチェックしておくべき10EPISODES」
- ^ 成田亨 2014, p. 102.
- ^ a b c マガジンVOL.2 2021, p. 73, 「ウルトラQ ウルトラマン55周年記念 ヒーロー、怪獣の世界」
- ^ a b c UPM vol.15 2021, pp. 30–31, 「ウルトラ特別企画vol.15 怪獣とかを作る!! -2-」
- ^ 大ウルトラマン図鑑 1996, p. 171.
- ^ シリーズ大図鑑 2015, p. 46.
- ^ “昭和レトロ!またもキングザウルスシリーズからザンボラーを入荷しました!!”. リサイクルショップ トレジャーファクトリー(トレファク)流山店. トレジャーファクトリー (2023年3月26日). 2024年5月4日閲覧。
- ^ “オレンジ色の角と背ビレ、特徴的な長い尻尾を再現!『ウルトラマン』灼熱怪獣 ザンボラーがソフビフィギュア化!”. 電撃ホビーウェブ (KADOKAWA). (2023年10月27日) 2024年5月4日閲覧。
- ^ a b 円谷プロ全怪獣図鑑 2013, p. 218
- ^ a b UPM vol.18 2021, p. 25, 「侵略宇宙人、有害巨大生物(怪獣)、怪人」
- ^ a b c 「ウルトラマンパワード20周年記念特集 パワード怪獣完全図鑑」『語れ!ウルトラ怪獣【永久保存版】』KKベストセラーズ〈ベストムックシリーズ44〉、2014年4月23日、91-101頁。ISBN 978-4-584-20544-0。
- ^ 新大全集 1994, pp. 34–35.
- ^ 新大全集 1994, p. 53.
- ^ ウルトラ銀河伝説超全集 2009, p. 78, 「百体怪獣ベリュドラ完全攻略」.
- ^ ウルトラ銀河伝説超全集 2009, p. 73, 「イメージボード」.
- ^ 「アカネの怪獣コレクション」『SSSS.GRIDMAN超全集』構成:間宮尚彦 執筆:大石真司、吉澤範人、小学館〈てれびくんデラックス愛蔵版〉、2019年4月23日、47頁。ISBN 978-4-09-105163-9。
出典(リンク)
[編集]参考文献
[編集]- 『不滅のヒーローウルトラマン白書』(初版)朝日ソノラマ〈ファンタスティック・コレクション・スペシャル〉、1982年12月31日。雑誌コード:67897-80。
- てれびくんデラックス愛蔵版(小学館)
- 『ウルトラ怪獣大全集』小学館〈てれびくんデラックス愛蔵版〉、1984年9月10日。ISBN 4-09-101411-9。
- 『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE超全集』小学館〈てれびくんデラックス愛蔵版〉、2009年12月23日。ISBN 978-4-09-105129-5。
- 『ウルトラマン ベストブック』竹書房、1993年9月5日。ISBN 4-88475-211-2。
- 『テレビマガジン特別編集 新・ウルトラマン大全集』監修:円谷プロダクション、講談社、1994年10月1日。ISBN 4-06-178418-8。
- ヤマダ・マサミ『大ウルトラマン図鑑』ホビージャパン、1996年。ISBN 978-4-89425-109-0。
- 『ウルトラマン大辞典』監修 円谷プロダクション、中経出版、2001年12月21日。ISBN 4-8061-1556-8。
- 画報シリーズ(竹書房)
- 竹書房/ブレインナビ 編『ウルトラマン画報 光の戦士三十五年の歩み』 上巻、竹書房、2002年10月4日。ISBN 978-4-8124-0888-9。
- 竹書房/ブレインナビ 編『ウルトラマン画報 光の戦士三十五年の歩み』 下巻、竹書房、2003年5月9日。ISBN 4-8124-0999-3。
- ブレインナビ 編『ウルトラ怪獣列伝 ウルトラマン・ウルトラセブン編』PHP研究所〈PHP文庫〉、2008年8月18日。ISBN 978-4-569-67071-3。
- 『大人のウルトラ怪獣大図鑑』マガジンハウス、2012年9月26日。ISBN 978-4-8387-8770-8。
- 講談社 編『ウルトラマン 全調査報告』講談社〈キャラクター大全〉、2012年12月20日。ISBN 978-4-06-218128-0。
- 大石真司、江口水基・島崎淳・間宮尚彦『円谷プロ全怪獣図鑑』小学館、2013年3月11日。ISBN 978-4-09-682074-2。
- 『別冊映画秘宝ウルトラマン研究読本』洋泉社〈洋泉社MOOK〉、2014年1月2日。ISBN 978-4-8003-0262-5。
- 成田亨『成田亨作品集』羽鳥書店、2014年7月19日。ISBN 978-4-904702-46-8。
- 『大人のウルトラマンシリーズ大図鑑』マガジンハウス〈MAGAZINE HOUSE MOOK〉、2015年10月25日。ISBN 978-4-8387-5051-1。
- 講談社シリーズMOOK ウルトラ特撮 PERFECT MOOK(講談社)
- 講談社 編『ウルトラ特撮 PERFECT MOOK』 vol.02《ウルトラマン》、講談社〈講談社シリーズMOOK〉、2020年7月28日。ISBN 978-4-06-519603-8。
- 講談社 編『ウルトラ特撮 PERFECT MOOK』 vol.15《ウルトラマンジード》、講談社〈講談社シリーズMOOK〉、2021年2月9日。ISBN 978-4-06-520937-0。
- 講談社 編『ウルトラ特撮 PERFECT MOOK』 vol.18《ウルトラマンG/ウルトラマンパワード》、講談社〈講談社シリーズMOOK〉、2021年3月24日。ISBN 978-4-06-520941-7。
- 『テレビマガジン特別編集 ウルトラ特撮マガジン VOL.2』講談社〈講談社MOOK〉、2021年5月24日。ISBN 978-4-06-523014-5。
- 『ウルトラマン大怪獣図鑑』双葉社、2022年6月22日。ISBN 978-4-575-31723-7。
- 雑誌
- 『フィギュア王』No.291、ワールドフォトプレス、2022年5月30日、ISBN 978-4-8465-3269-7。