コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

シマハゼ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
シマハゼ
アカオビシマハゼ
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
: スズキ目 Perciformes
亜目 : ハゼ亜目 Gobioidei
: ハゼ科 Gobiidae
亜科 : ゴビオネルス亜科 Gobionellinae
: チチブ属 Tridentiger
亜属 : シマハゼ
和名
シマハゼ(縞鯊)

シマハゼは、チチブ属に属す2種のハゼの総称。トラハゼとも呼ばれ、黒色の縞模様が名前の由来。

分布

[編集]

日本国内では、北海道本州四国九州[1][2][3][4]隠岐壱岐対馬[1][3][4]に分布する。国外では中国遼寧省から海南島の沿岸、朝鮮半島西・南沿岸[4][3][2][1]台湾[3]香港[3][2][4][1]ロシア沿海州[2]に分布し、アメリカカリフォルニア州オーストラリアニューサウスウェールズ州[1][4]ビクトリア州[1]地中海[4]に移入。

形態

[編集]

全長は5-10cm[1]脊椎骨数は26頭部から尾部にかけて2本の黒色縦帯がある。縦列鱗数が50以上。全長15mm前後で体側の縦帯が出始め、着底する20mm前後で2本の黒色縦帯が明瞭になり、婚姻色が出るまで顕著。婚姻色を示すオスは、頭、体、各鰭が黒くなる[4]。また、オスは頭周りに白点が散在する[2]。体は太短くやや側扁した円筒形。両顎の外側歯が3尖頭である。頭部の感覚管はよく発達し頬の孔器配列は縦列パターン [3]

生態

[編集]

主に内湾や河川汽水域に生息する[3]。タイドプール、岩礁[2]、泥底の石やカキ殻の下や間に単独で見られる[3][4]。繁殖期は春から夏で[4][1]、石の下やカキ殻の中に産卵し[2][1][4]、オスは産卵後も巣にとどまり、ふ化するまで、卵を保護する[1]。小型の水生生物や、藻類を食す[2]

下位分類

[編集]

感覚菅開孔、両眼間隔幅、臀鰭の模様、胸鰭の最上軟条の遊離、頭腹面に細かい白色点があるかどうかで、下の2種に区別される[4][1][3][5]

研究史

[編集]

1900年東京湾で発見されたハゼに対し、JordanとSnydeが新種として発表したときに、シマハゼという和名が提唱された。この発表時に提示された標本はアカオビシマハゼであった。しかし、彼らはこの新種を翌年に、ロシア沿海州1881年に発見されていたTridentiger bifasciatusと同一種とした。このロシアのTridentiger bifasciatusタイプ標本はシモフリシマハゼのものであった。1988年、シマハゼには2種が含まれることが判明し、シモフリシマハゼアカオビシマハゼという標準和名が提唱された[5]

1936年T. buccoT. marllloralllsT. genimaclllatllsが、アカオビシマハゼの学名であるT. trigonocephalllsの異名とされた。そのうち、T. buccoはシモフリシマハゼのことであり、他2つは別種に対しつけられた学名であったと後に判明した[5]

ギャラリー

[編集]

脚注

[編集]
  1. ^ a b c d e f g h i j k 細谷和海『増補改訂 日本の淡水魚』山と渓谷社、2019年、490・491頁
  2. ^ a b c d e f g h 松沢陽士『ポケット図鑑日本の淡水魚258』文一総合出版、2016年、280・281頁
  3. ^ a b c d e f g h i 鈴木寿之・渋川浩一・矢野維幾、『決定版 日本のハゼ』、平凡社、2004年、462・463・465頁
  4. ^ a b c d e f g h i j k 中坊徹次『小学館の図鑑Z 日本魚類館 ~精緻な写真と詳しい解説~』、小学館、2018年、406・407頁
  5. ^ a b c 明仁・坂本勝一「シマハゼの再検討」『Imperial University of Tokyo』第36巻第1号、1988年、100-112頁。