シマハゼ
シマハゼ | ||||||||||||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
アカオビシマハゼ
| ||||||||||||||||||||||||||||||
分類 | ||||||||||||||||||||||||||||||
| ||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
シマハゼ(縞鯊) |
シマハゼは、チチブ属に属す2種のハゼの総称。トラハゼとも呼ばれ、黒色の縞模様が名前の由来。
分布
[編集]日本国内では、北海道、本州、四国、九州[1][2][3][4]、隠岐、壱岐、対馬[1][3][4]に分布する。国外では中国遼寧省から海南島の沿岸、朝鮮半島西・南沿岸[4][3][2][1]、台湾[3]、香港[3][2][4][1]、ロシアの沿海州[2]に分布し、アメリカカリフォルニア州、オーストラリアのニューサウスウェールズ州[1][4]とビクトリア州[1]、地中海[4]に移入。
形態
[編集]全長は5-10cm[1]。脊椎骨数は26頭部から尾部にかけて2本の黒色縦帯がある。縦列鱗数が50以上。全長15mm前後で体側の縦帯が出始め、着底する20mm前後で2本の黒色縦帯が明瞭になり、婚姻色が出るまで顕著。婚姻色を示すオスは、頭、体、各鰭が黒くなる[4]。また、オスは頭周りに白点が散在する[2]。体は太短くやや側扁した円筒形。両顎の外側歯が3尖頭である。頭部の感覚管はよく発達し頬の孔器配列は縦列パターン [3]。
生態
[編集]主に内湾や河川汽水域に生息する[3]。タイドプール、岩礁[2]、泥底の石やカキ殻の下や間に単独で見られる[3][4]。繁殖期は春から夏で[4][1]、石の下やカキ殻の中に産卵し[2][1][4]、オスは産卵後も巣にとどまり、ふ化するまで、卵を保護する[1]。小型の水生生物や、藻類を食す[2]。
下位分類
[編集]感覚菅開孔、両眼間隔幅、臀鰭の模様、胸鰭の最上軟条の遊離、頭腹面に細かい白色点があるかどうかで、下の2種に区別される[4][1][3][5]。
研究史
[編集]1900年に東京湾で発見されたハゼに対し、JordanとSnydeが新種として発表したときに、シマハゼという和名が提唱された。この発表時に提示された標本はアカオビシマハゼであった。しかし、彼らはこの新種を翌年に、ロシアの沿海州で1881年に発見されていたTridentiger bifasciatusと同一種とした。このロシアのTridentiger bifasciatusのタイプ標本はシモフリシマハゼのものであった。1988年、シマハゼには2種が含まれることが判明し、シモフリシマハゼとアカオビシマハゼという標準和名が提唱された[5]。
1936年、T. bucco、T. marlllorallls、T. genimaclllatllsが、アカオビシマハゼの学名であるT. trigonocephalllsの異名とされた。そのうち、T. buccoはシモフリシマハゼのことであり、他2つは別種に対しつけられた学名であったと後に判明した[5]。
ギャラリー
[編集]脚注
[編集]- ^ a b c d e f g h i j k 細谷和海『増補改訂 日本の淡水魚』山と渓谷社、2019年、490・491頁
- ^ a b c d e f g h 松沢陽士『ポケット図鑑日本の淡水魚258』文一総合出版、2016年、280・281頁
- ^ a b c d e f g h i 鈴木寿之・渋川浩一・矢野維幾、『決定版 日本のハゼ』、平凡社、2004年、462・463・465頁
- ^ a b c d e f g h i j k 中坊徹次『小学館の図鑑Z 日本魚類館 ~精緻な写真と詳しい解説~』、小学館、2018年、406・407頁
- ^ a b c 明仁・坂本勝一「シマハゼの再検討」『Imperial University of Tokyo』第36巻第1号、1988年、100-112頁。