ジェイムズ・ジョイス・センター
ジェイムズ・ジョイス・センター James Joyce Centre / Ionad Shéamuis Seoige | |
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施設情報 | |
専門分野 | 文学館 |
開館 | 1996年6月 |
所在地 | アイルランド、ダブリン、ノース・グレート・ジョージズ・ストリート35番地 |
位置 | 北緯53度21分15秒 西経6度15分36秒 / 北緯53.354174度 西経6.260039度座標: 北緯53度21分15秒 西経6度15分36秒 / 北緯53.354174度 西経6.260039度 |
アクセス | パーネル・ストリートバス停 |
外部リンク |
jamesjoyce |
プロジェクト:GLAM |
ジェイムズ・ジョイス・センター(英語: James Joyce Centre)はアイルランドのダブリンにある博物館および文化センターであり、ジェイムズ・ジョイスの生涯と作品に関する啓発と理解を目的とする施設である[1]。1996年6月に開館した。ダブリンにおけるブルームの日のイベント運営元である。
来歴
[編集]ジェイムズ・ジョイス・センターはダブリンのノース・グレート・ジョージズ・ストリート35番地にあるジョージアン様式のタウンハウスに入っており、もともとはケンメア伯爵家が1784年に建設した[2]。『ユリシーズ』にも登場するデニス・マジニが住んでいたことがある[3]。ジョイス自身はここに住んでいたことはない[4]。この建物は壊される予定であったが、シャナズ・エアラン議員のデイヴィッド・ノリスの尽力により解体を免れた[5]。
開館にはノリスやケン・モハナンらが尽力した[5]。ジョイスの業績を記念する文学館として1996年6月に開館した[6]。開館の2年前である1994年頃から既にブルームの日関連の企画などは開始していた[1]。現在は住宅街の片隅にあり、外側からは記念館とわかりにくい外観である[4]。
活動
[編集]ジョイスに関連する各種資料類を所蔵している[7]。家具・調度などを所蔵しており、『ユリシーズ』に登場するブルーム夫妻が住んでいたという設定のエクルズ・ストリート7番地のドアも保管されている[8]。家具以外にめぼしい常設展はなく、ジョイスの人生や作品のさまざまな側面に関する特設展を実施している[3]。
講演などさまざまなイベントを実施し、ジョイス関連の地をめぐる有料ウォーキングツアーも開催している[4]。本格的に開館する前である1994年から、毎年ダブリンで行われるブルームの日(6月16日)のイベントを運営している[1]。
文化的意義
[編集]南北アイルランドの和平交渉が進展するまでは、ジェイムズ・ジョイスはアイルランド共和国にとってはイングランドに対抗するカトリック世界としてのアイルランドの代表的な作家として、北アイルランドのプロテスタントにとっては反カトリック的な作家としてとらえられており、ジェイムズ・ジョイス・センターはこのような文化的対立の文脈で「そうした闘争のイコン[9]」として受け止められることもあった。センターが活動を開始した時期に近い1993年にはアイルランドでジョイスの肖像をあしらった10ポンド紙幣も発行され、こうした動きはジョイスをアイルランド文化の象徴的存在として称揚する傾向としてまとめてとらえることができる[10][11]。1998年のベルファスト合意以降はこうした対立がやわらいだこともあり、国際的な観点からのジョイス研究の重要性が前面に出てくるようになっている[12]。
脚注
[編集]- ^ a b c “The James Joyce Centre”. The Bloomsday Festival. 18 May 2021閲覧。
- ^ “History of the Building” (英語). James Joyce Centre. 2022年8月30日閲覧。
- ^ a b “The James Joyce Centre”. Frommers.com. Frommers. 18 May 2021閲覧。
- ^ a b c 那須省一. “英国・アイルランドをさるく - ジェイムズ・ジョイス(James Joyce)③”. www.kankanbou.com. 書肆侃侃房. 2022年8月30日閲覧。
- ^ a b “Portrait of the nephew as Joyce centre's 'soul'” (英語). The Irish Times. 2022年8月30日閲覧。
- ^ “History of the Building – THE JAMES JOYCE CENTRE” (英語). 2022年8月30日閲覧。
- ^ 結城秀雄 (2016). “アイルランドの文学的伝統とジェイムズ・ジョイス(4)”. 法政大学文学部紀要 73: 27-37、p. 31.
- ^ “発刊100年、ジョイス『ユリシーズ』の謎を解きにダブリンへ”. natgeo.nikkeibp.co.jp. 2022年8月30日閲覧。
- ^ 結城秀雄 (2016). “アイルランドの文学的伝統とジェイムズ・ジョイス(4)”. 法政大学文学部紀要 73: 27-37、p. 28.
- ^ “James Joyce On New Tenner” (英語). RTÉ Archives. 2022年8月30日閲覧。
- ^ 結城秀雄 (2014). “アイルランド文学ルネサンスとジェイムズ・ジョイ ス(6)”. 法政大学文学部紀要 69: 25-38、p. 30.
- ^ 結城秀雄 (2016). “アイルランドの文学的伝統とジェイムズ・ジョイス(4)”. 法政大学文学部紀要 73: 27-37、p. 27.