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スカフォグナトゥス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
スカフォグナトゥス
生息年代: ジュラ紀後期, 155.7–150.8 Ma
模式標本
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 爬虫綱 Reptilia
亜綱 : 双弓亜綱 Diapsida
下綱 : 主竜形下綱 Archosauromorpha
: 翼竜目 Pterosauria
亜目 : 嘴口竜亜目 Rhamphorhynchoidea
: ランフォリンクス科
Rhamphorhynchidae
亜科 : スカフォグナトゥス亜科
Scaphognathinae
: スカフォグナトゥス属 Scaphognathus
学名
Scaphognathus
Wagner1861
タイプ種
Pterodactylus crassirostris
Goldfuss1831
シノニム
  • Scaphognathus crassirostris (Goldfuss, 1831)

スカフォグナトゥス (Scaphognathus 「舟の顎[1]」) は、ジュラ紀後期にドイツ周辺に生息していた翼竜翼開長は約90センチメートル[1]

記載

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復元図

スカフォグナトゥスには3つの標本が知られているが、その全てがキンメリッジ階[2]ゾルンホーフェン石灰岩産である[3]頭蓋骨におけるいくつかの顕著な差を除けば、全体の骨格はランフォリンクスに酷似している[3]

一例として、スカフォグナトゥスはランフォリンクスに比べてあまり鋭くない口先とより大きい前眼窩窓をそなえた相対的に短い頭蓋骨(11.5センチメートル[1])を持つ[3]。その歯は水平方向ではなく垂直方向に伸びている。これまでの研究では上顎に18本、下顎に10本の歯があるとしていたが[3]、ベネット (S. Christopher Bennett) は第3の標本である SMNS 59395 を調べ、2004年に上顎の歯は16本しかなく、これまでの計数超過は生え替わり途中の歯を間違って数えていたことによると発表した[4]

スカフォグナトゥスの強膜輪を現生の鳥類や爬虫類と比較することにより、スカフォグナトゥスは昼行性だったことが示唆されている。これは夜行性だったと推測されているクテノカスマランフォリンクスなど同時代の他の翼竜とのニッチ分化を示している可能性がある[5]

名称

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ゴルトフスによる模式標本の図

スカフォグナトゥスの最初の標本は最も初期に発見された翼竜標本の一つで1831年にボン大学教授のゴルトフス (August Goldfuss) によって記載されたが[6]、彼は尾が保存されていない標本を間違えてプテロダクティルスの新種とし、Pterodactylus crassirostris と命名した[3]種小名ラテン語で「厚い口先」という意味である。この標本は完全な成体になる直前の段階で、翼開長は0.9mほどであり、アイヒシュテット近郊のゾルンホーフェンの地層から発見された。1858年、ヴァグナー (Johann Wagner) はこの標本をランフォリンクス属に移動した。ヴァグナーは口先の形状がランフォリンクスと根本的に異なる点に注目し、1861年になって、下顎先端の鋭くない形状を由来として、ギリシア語の σκάφη 「舟」・γνάθος「顎」から ランフォリンクス属とは別属の新しい属 Scaphognathus と命名した[7]。なおヴァグナー以前に Leopold FitzingerChristoph Gottfried Andreas Giebel がこの標本に新属名を名付けようとしたが、既に使われている名前だったため命名には至っていない。

20世紀初頭にミュールハイム (Mühlheim) で2番目の標本が発見され、それが長い尾を持っていたことからスカフォグナトゥスの"嘴口竜亜目"としての体制が確認された。スカフォグナトゥスの第2標本は最初の標本より完全だったが、大きさは半分ほどしかなく(約50センチメートル[1])、部分的にしか骨化していなかった[3]。これらの特徴から第2標本は若年個体だったと考えられている[3]

分類

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Charles Whymper による翼竜の復元図(1905年)。 右がスカフォグナトゥス

下記のランフォリンクス科のクラドグラム(系統樹)はAndres & Myers による大規模な系統学的研究 (2013) [8]の結果に従っている。

 Breviquartossa 
 Rhamphorhynchidae 

Scaphognathus crassirostris

 Rhamphorhynchinae 

Dorygnathus banthensis

Cacibupteryx caribensis

Nesodactylus hesperius

Rhamphorhynchus muensteri

Harpactognathus gentryii

Angustinaripterus longicephalus

Sericipterus wucaiwanensis

関連項目

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出典

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  1. ^ a b c d ペーター・ヴェルンホファー 『動物大百科別巻2 翼竜』 平凡社 1993 ISBN 4-582-54522-X p98-100
  2. ^ Weishampel, David B; et al. (2004). "Dinosaur distribution (Late Jurassic, Europe)." In: Weishampel, David B.; Dodson, Peter; and Osmólska, Halszka (eds.): The Dinosauria, 2nd, Berkeley: University of California Press. Pp. 545–549. ISBN 0-520-24209-2.
  3. ^ a b c d e f g "Scaphognathus." In: Cranfield, Ingrid (ed.). The Illustrated Directory of Dinosaurs and Other Prehistoric Creatures. London: Salamander Books, Ltd. Pp. 308-309.
  4. ^ Bennett, S. C. (2004). "New information on the pterosaur Scaphognathus crassirostris and the pterosaurian cervical series", Journal of Vertebrate Paleontology, 24(Supplement to #3):38A
  5. ^ Schmitz, L.; Motani, R. (2011). “Nocturnality in Dinosaurs Inferred from Scleral Ring and Orbit Morphology”. Science 332 (6030): 705–8. doi:10.1126/science.1200043. PMID 21493820. 
  6. ^ Goldfuss G. A. (1830). "Pterodactylus crassirostris". Isis von Oken, Jena pp. 552–553
  7. ^ Wagner, J.A. (1861). “Uebersicht über die fossilen Reptilien des lithographischen Schiefers in Bayern nach ihren Gattungen und Arten”. Sitzungsberichte der königlich bayerischen Akademie der Wissenschaften zu München, 1861 Theil 1: 497–535. 
  8. ^ Andres, Brian; Myers, Timothy S. (2013). “Lone Star Pterosaurs”. Earth and Environmental Science Transactions of the Royal Society of Edinburgh 103 (3–4): 383. doi:10.1017/S1755691013000303. 

参考文献

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外部リンク

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