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スケッチ・ブック (アーヴィング)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

スケッチ・ブック原題/題:The Sketch Book of Geoffrey Crayon, Gent.)は、アメリカ人作家ワシントン・アーヴィングがジェフリー・クレヨン (Geoffrey Crayon) という筆名で発表した[1]イギリス見聞記を中心にした[2]スケッチ物語[2]であり、34篇からなる短編小説随筆を含む短編小説・随筆集[1]である。原題は「ジェフリー・クレヨン郷紳写生用ノート」の意。 [3]

アメリカでは1819年から1820年に亘って分冊の形で、イギリスでは1820年に2冊の本として出版された[1]。数年の間にドイツ語フランス語の翻訳書も刊行され、アーヴィングは本作によってアメリカ初の国際的作家となった[1]。全34篇のうち「リップ・ヴァン・ウィンクル」と「スリーピー・ホロウの伝説」は最初の近代的短編小説として世界に広く知られている[2]

所収34篇

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  • "The Author's Account of Himself"
1819年6月23日、アメリカ版第1冊初出
  • "The Voyage"
1819年6月23日、アメリカ版第1冊初出。
  • "Roscoe"
1819年6月23日、アメリカ版第1冊初出。リバプールで会ったイギリスの作家で歴史家であるウィリアム・ロスコーへのアーヴィングの賛辞。
  • "The Wife"
1819年6月23日、アメリカ版第1冊初出。

挿絵画家アーサー・ラッカムが自著の扉絵として描いた老齢のリップ・ヴァン・ウィンクル
挿絵画家アーサー・ラッカムが自著[4]扉絵として描いた老齢のリップ
1819年6月23日、アメリカ版第1冊初出。邦題は「リップ・ヴァン・ウィンクル
SF時間の遅れを扱った「アメリカ版浦島太郎」と呼ぶべき作品で、アメリカでは逆に浦島太郎が「日本版リップ・ヴァン・ウィンクル」と紹介されたりする。
  • "English Writers on America"
1819年7月31日、アメリカ版第2冊初出。
  • "Rural Life in England"
1819年7月31日、アメリカ版第2冊初出。
  • "The Broken Heart"
1819年7月31日、アメリカ版第2冊初出。
  • "The Art of Bookmaking"
1819年7月31日、アメリカ版第2冊初出。
  • "A Royal Poet"
1819年9月13日、アメリカ版第3冊初出。
  • "The Country Church"
1819年9月13日、アメリカ版第3冊初出。
  • "The Widow and Her Son"
1819年9月13日、アメリカ版第3冊初出。
  • "A Sunday in London"
1848年初出。改訂版の刊行に当たってアーヴィングが書き下ろした。
  • "The Boar's Head Tavern, East Cheap"
1819年9月13日、アメリカ版第3冊初出。
  • "The Mutability of Literature"
1819年11月10日、アメリカ版第4冊初出。
  • "Rural Funerals"
1819年11月10日、アメリカ版第4冊初出。
  • "The Inn Kitchen"
1819年11月10日、アメリカ版第4冊初出。
  • "The Spectre Bridegroom"
1819年11月10日、アメリカ版第4冊初出。
  • "Westminster Abbey"
1820年7月、イギリス版第2冊初出。
  • "Christmas"
1820年1月1日、アメリカ版第5冊初出。
  • "The Stage-Coach"
1820年1月1日、アメリカ版第5冊初出。

アーサー・ラッカムが自著に所収の「スリーピー・ホロウの伝説」のために描いた挿絵の一枚。ジョン・アンドレを吊るした木が妖しげな枝ぶりを見せる。その下を通り過ぎる魔女と黒猫。木の上ではゴブリン達が様子をうかがっている。
アーサー・ラッカムが自著に所収の「スリーピー・ホロウの伝説」のために描いた挿絵の一枚。水彩画
ジョン・アンドレ吊るした樹が妖しげな枝ぶりを見せる。その下を通り過ぎる魔女黒猫。樹の上ではゴブリン達が様子を窺っている。
「スリーピー・ホロウの伝説」を題材にしたジョン・キダーの油絵。鬱蒼とした森の中を主人公が首無し騎士に追い回される場面を描いている。
ジョン・キダー英語版 "The Headless Horseman Pursuing Ichabod Crane " /「スリーピー・ホロウの伝説」を題材にした1858年の油彩画。鬱蒼とした森の中を主人公イカボッド・クレーン(右)が首無し騎士(左)に追い回される場面を描いている。
  • "Christmas Eve"
1820年1月1日、アメリカ版第5冊初出。
  • "Christmas Day"
1820年1月1日、アメリカ版第5冊初出。
  • "Christmas Dinner"
1820年1月1日、アメリカ版第5冊初出。
  • "London Antiques"
1848年初出。改訂版の刊行に当たってアーヴィングが書き下ろした。
  • "Little Britain"
1820年7月、イギリス版第2冊初出。
  • "Stratford-on-Avon"
1820年7月、イギリス版第2冊初出。
  • "Traits of Indian Character"
1820年7月、イギリス版第2冊初出。
  • "Philip of Pokanoket"
1820年7月、イギリス版第2冊初出。
  • "John Bull"
1820年5月15日、アメリカ版第6冊初出。
  • "The Pride of the Village"
1820年5月15日、アメリカ版第6冊初出。
  • "The Angler"
1820年7月、イギリス版第2冊初出。
1820年5月15日、アメリカ版第6冊初出。邦題は「スリーピー・ホロウの伝説英語版
スリーピー・ホロウ伝説を小説化したもの。
  • "L'Envoy"
1820年7月、イギリス版第2冊初出。

原著

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原著・初版の表紙
原著・初版の表紙
アメリカ版は、分冊形式で1819年6月23日に第1巻が刊行された後、同年7月31日、9月13日、11月10日、翌1820年1月1日、3月15日、7月某日と追加で刊行された。さらに28年後の1848年になって出版者ジョージ・パーマー・パットナム英語版の下で改訂版を出すことになり、"A Sunday in London(意:ロンドンの日曜日)" と "London Antiques(意:ロンドン骨董品)" の2篇をアーヴィングが書き下ろし、本作に差し込まれた。これらは全てペーパーバックで刊行された。
  • Crayon, Geoffrey (1820) (English). The Sketch Book of Geoffrey Crayon, Gent.. The Sketch Book (U.K. ed.). pp. 392 
イギリス版は、アメリカ版で一定数に達してから2冊に纏められ、ハードカバーで刊行された。ただし、1820年7月某日の刊行分 6篇はアメリカ版に先駆けての発表となった。そのうちの3篇はアメリカ版には無かったエッセイであった。さらに28年後の1848年になってアメリカ版と同じ2篇が差し込まれた。

以上のような経緯から、現在「原著」と呼ばれているものは、各篇が発行されていった当時の形を反映していない。しかし、そうではあっても、現在の構成は著者の意図するところを十分に汲み取ったうえでのものであり、それゆえにこの構成が尊重されている。

再版本

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翻訳書

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全話所収
ISBN 4-00-323021-3ISBN 978-4-00-323021-3NCID BN00925904OCLC 33754950
ISBN 4-10-203901-5ISBN 978-4-10-203901-4NCID BA58970458OCLC 675550381国立国会図書館書誌ID:000002939089
2話抜粋
  • ワシントン・アーヴィング 著、齊藤昇(翻訳、編集) 編『リップとイカボッドの物語: 「リップ・ヴァン・ウィンクル」と「スリーピー・ホローの伝説」』三元社、2019年6月20日、157頁。 
ISBN 4-88303-486-0ISBN 978-4-88303-486-4NCID BB28627271OCLC 1108222085国立国会図書館書誌ID:029721006

関連事象

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書籍

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脚注

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出典

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  1. ^ a b c d 秋山健、小学館日本大百科全書(ニッポニカ)』. “スケッチ・ブック”. コトバンク. 2020年6月16日閲覧。
  2. ^ a b c ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典』. “スケッチ・ブック”. コトバンク. 2020年6月16日閲覧。
  3. ^ 【book】スケッチ・ブック :W・アーヴィング [リンク切れ]
  4. ^ Irving & Rackham (2020).

関連項目

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外部リンク

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