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スピリット・オブ・コミュニケーション

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
『Spirit of Communication』
作者イヴリン・ベアトリス・ロングマン英語版
製作年1916年
種類銅像
所蔵テキサス州ダラス

スピリット・オブ・コミュニケーションSpirit of Communication、通信の聖霊)は、アメリカ合衆国の電気通信企業AT&Tが長年にわたり自社のシンボルとしてきた像である。

背中に羽が生え、右手に有線通信を象徴する電話線の束、左手に無線通信電波)を象徴する稲妻を持った人のブロンズ像であり、1916年に完成した。当初の名称は"Genius of Telegraphy"(電信の守護神)であり、後に"Genius of Electricity"(電気の守護神)を経て現在の名称に改称された。そのほか、非公式に「ゴールデンボーイ」(Golden Boy)とも呼ばれる。

当初はニューヨークのAT&Tの本社に設置されていたが、AT&Tの本社の移転にあわせてこの像も移動した。2009年より、この像はテキサス州ダラスにある。2022年現在では、この像はダラスのダウンタウンにあるAT&Tディスカバリー地区に設置されている[1]

歴史

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ニューヨークのAT&T本社ビルの頂上に設置された像
ベルシステムの電話帳の表紙に使われた像の絵

1914年、AT&Tは、電信を象徴する像のデザインのコンペを行い、勝者のイヴリン・ベアトリス・ロングマン英語版に像の製作を依頼した。1916年に完成し、ブロードウェイ195番地英語版のAT&T本社ビルの屋根の頂上に設置された。

重さは14.5トン以上、高さは7.3メートルで、背中の翼の大きさは2.7メートルである。ブロンズ製で、12,500枚以上の金箔で覆われている[2]。当時、自由の女神像に次いでニューヨーク市で2番目に大きい像だった[3]

この像は、AT&Tの当時の社長のセオドア・ニュートン・ヴェイルによって"Genius of Telegraphy"(電信の守護神)と命名された[4]。電信部門をウェスタンユニオンとして分社化したとき、この像の名前を"Genius of Electricity"(電気の守護神)に変更した[4]。1930年代半ば、AT&Tはこの像の名前を現在の"Spirit of Communication"に変更した[4]

1984年、マンハッタンのマディソンアベニュー550番地英語版に新しい本社ビルが作られた[5]とき、この像は、新本社ビルを設計したフィリップ・ジョンソンの提案で新本社ビルの玄関ホールに移された[6]

1984年にベルシステムは解体された。マディソンアベニュー550番地の本社ビルは1992年にソニーに売却され、AT&Tの本社はアベニュー・オブ・ザ・アメリカス32番地英語版に移転し、本社機能の大半はニュージャージー州バスキング・リッジ英語版に移された。新本社には像を設置するスペースが無かったため、この像はバスキング・リッジの社屋の正面玄関前に設置された[7]。2002年にバスキング・リッジの敷地が売却され、この像とともに、13キロメートル離れたベッドミンスター英語版に移転した。ここは以前にAT&Tの長距離部門の本部が置かれており、全米ネットワークのオペレーションセンターが置かれていた。

2005年11月、ベルシステムの解体によって生まれたいわゆる「ベビーベル」の1社で、テキサス州サンアントニオに本社を置くサウスウェスタン・ベル(SBC)がAT&Tを買収し、AT&Tインクに改称した。2008年、新生AT&Tは本社をテキサス州ダラスウィテカータワー英語版に移転し、翌2009年、この像をニュージャージー州ベッドミンスターからダラスの新本社の玄関に移した[3][8]。2019年、この像はダラスのAT&Tディスカバリー地区に移設された。

脚注

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  1. ^ AT&T's new downtown Dallas campus will have a place for its historic statue”. Dallas News (July 22, 2019). February 10, 2020閲覧。
  2. ^ Teltsch, Kathleen. "Landmark Statue Being Restored", The New York Times, August 31, 1981, City Final Edition, p. B-3. Accessed October 11, 2008.
  3. ^ a b Flick, David (July 19, 2009). “AT&T's Golden Boy statue, now in new Dallas home, is steeped in history”. Dallas Morning News. http://www.timeshareforums.com/forums/archive/index.php/t-96902.html 
  4. ^ a b c Gray, Christopher. AT&T Headquarters at 195 Broadway; A Bellwether Building Where History Was Made, The New York Times, April 23, 2000.
  5. ^ Depalma, Anthony (January 11, 1984). “About Real Estate; Grandeur of the Past at A.T.&T.'s Old Headquarters” (英語). The New York Times. ISSN 0362-4331. オリジナルのMarch 19, 2020時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20200319224237/https://www.nytimes.com/1984/01/11/business/about-real-estate-grandeur-of-the-past-at-at-t-s-old-headquarters.html February 9, 2020閲覧。 
  6. ^ Schultz, George, Philip Johnson: Life and Work, New York: Alfred Knopf, 1994.
  7. ^ Dewan, Shaila. "AT&T Statue to Remain Suburban", The New York Times, April 20, 2000. Accessed October 12, 2000.
  8. ^ Bush, Rudolph (July 7, 2009). “AT&T unveils historic statue in downtown Dallas headquarters”. The Dallas Morning News, Dallas City Hall Blog. http://cityhallblog.dallasnews.com/archives/2009/07/att-unveils-24-foot-bronze-stu.html 

関連項目

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外部リンク

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座標: 北緯32度46分42.75秒 西経96度47分57.05秒 / 北緯32.7785417度 西経96.7991806度 / 32.7785417; -96.7991806