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スルファニルアミド

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
スルファニルアミド
IUPAC命名法による物質名
臨床データ
Drugs.com 患者向け情報(英語)
Consumer Drug Information
データベースID
CAS番号
63-74-1 チェック
ATCコード J01EB06 (WHO) D06BA05 (WHO) QJ01EQ06 (WHO)
PubChem CID: 5333
DrugBank DB00259 チェック
ChemSpider 5142 チェック
UNII 21240MF57M チェック
KEGG D08543  チェック
ChEBI CHEBI:45373 チェック
ChEMBL CHEMBL21 チェック
NIAID ChemDB 019103
化学的データ
化学式C6H8N2O2S
分子量172.20 g/mol
物理的データ
密度1.08 g/cm3
融点165 °C (329 °F)
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スルファニルアミド(SulfanilamideまたはSulphanilamide)は、スルホンアミド抗生物質の1つである。化学的には、パラ位にスルホンアミド基を有するアニリン誘導体である[1]。粉末のスルファニルアミドは、第二次世界大戦中に連合国側で感染予防に用いられ、それ以前と比較して劇的に死亡率を低下させた[2][3]。現代では戦場では他の抗生物質に取って代わられているが、膣真菌感染症には今でも用いられる[4]

“スルファニルアミド”という語は、分子中に4-アミノベンゼンスルホンアミド構造を有することを表現するために今でも用いられている。

例)

作用機序

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スルホンアミド系抗生物質としては、4-アミノ安息香酸(para-aminobenzoic acid、PABA)の競合阻害薬として作用する[5]。PABAはプリンおよびピリミジンの合成に必須である葉酸の生合成に必要であり、プリン・ピリミジンは真菌では合成されるが哺乳類では合成されないので、スルファニルアミドの殺作用は真菌選択的である。しかしながら、グルコース-6-リン酸脱水素酵素欠損症のヒトに本剤を投与すると溶血が起こるなど[6]、副作用も存在する。

開発の経緯

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スルファニルアミドはウィーン工科大学に学んでいたパウル=ヨーゼフ・ヤコブ=ゲルモによって1908年に初めて合成され[7]、ゲルモはこれによって博士号を取得し翌1909年には特許も取った[8]

プロドラッグであるプロントジルが試験されたのは1935年であり[9]、同年にスルファニルアミドが有効成分であることが報告され[10]、感染症化学療法の先駆けとなった。プロントジルの臨床試験を実施したゲルハルト・ドーマクはその業績によりノーベル生理学・医学賞賞を受賞した[11]

スルファニルアミドの合成

関連項目

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外部リンク

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出典

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  1. ^ Actor, P.; Chow, A. W.; Dutko, F. J.; McKinlay, M. A. (2005), "Chemotherapeutics", Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, Weinheim: Wiley-VCH, doi:10.1002/14356007.a06_173
  2. ^ The Use of Sulfanilamide in World War II” (04/05/02). 2016年6月17日閲覧。
  3. ^ http://www.med-dept.com/sulfa.php
  4. ^ sulfanilamide”. PubChem (2016年6月11日). 2016年6月17日閲覧。
  5. ^ Michael Kent, Advanced Biology, Oxford University Press, 2000, p. 46 ISBN 978-0-19-914195-1
  6. ^ 長尾 拓 編集 『医薬品の安全性』 p.89 南山堂 2004年4月5日発行 ISBN 4-525-72641-5
  7. ^ Paul Gelmo (May 14, 1908) "Über Sulfamide der p-Amidobenzolsulfonsäure," Journal für Praktische Chemie, 77 : 369-382.
  8. ^ On May 18, 1909, Deutsches Reich Patentschrift number 226,239 for sulfanilamide was awarded to Heinrich Hörlein of the Bayer corporation.
  9. ^ G. Domagk, "Ein Beitrag zur Chemotherapie der bakteriellen Infektionen", Deutsche Medizinische Wochenschrift, 61, feb. 15, 1935, p. 250.
  10. ^ J. et T. Tréfouël, F. Nitti and D. Bovet, "Activité du p-aminophénylsulfamide sur l’infection streptococcique expérimentale de la souris et du lapin", C. R. Soc. Biol., 120, nov. 23, 1935, p. 756.
  11. ^ (フランス語) Daniel Bovet, "Les étapes de la découverte de la sulfamidochrysoïdine dans les laboratoires de recherche de la firme Bayer à Wuppertal-Elberfeld (1927-1932)", in Une chimie qui guérit : Histoire de la découverte des sulfamides, Coll. "Médecine et Société", Payot, Paris, 1988, p. 307.