セッロ・ドミナドル発電所
セッロ・ドミナドル発電所 | |
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セッロ・ドミナドル発電所(セッロ ドミナドルはつでんしょ、スペイン語: Planta Solar Cerro Dominador)は、チリ共和国・アントファガスタ州トコピジャ県マリア・エレーナにある太陽光発電所と太陽熱発電所が併設された施設である。
2019年4月現在、太陽光発電所部分は稼働中ながら、太陽熱発電所部分は建設中である。
背景
[編集]セッロ・ドミナドル発電所は、チリ共和国の政策の一環として建設が進められてきた。チリは、よりクリーンなエネルギー源を用いてゆくことと、石炭や天然ガスなどの化石燃料を使用しない再生可能エネルギーを用いてゆくことを目標として掲げている。そして、チリは2025年までに、電力の20パーセントを、そのようなエネルギー源で供給しようとしている [1] 。 セッロ・ドミナドル発電所が稼働すれば、毎年64万3千トンの二酸化炭素を大気中へ放出しなくて済むようになると見積もられている。また、チリ政府は、セッロ・ドミナドル発電所の建設や稼働後のメンテナンスなどによる雇用の創出も狙いの1つであり、地域経済の活性化にもつなげようとしている [2] 。
歴史
[編集]セッロ・ドミナドル発電所の建設計画は、2013年にチリ政府から認可を受けた。なお、この際、セッロ・ドミナドル発電所の建設には10億ドルが必要であろうと見積もられた。そして、2014年5月にスペインのアベンゴア・ソラール社のチリ支社であるAbengoa Solar Chileによって建設が開始された [3] 。 しかしながら、2015年8月29日に建設に関わっていた労働者達は、労働条件を巡ってストライキを始めた [4] 。 そんな中、2015年11月に、資金繰りが悪化したアベンゴア・ソラール社の破産手続きが開始された [5] 。 このようなこともあり、セッロ・ドミナドル発電所ではメンテナンス部門を除いて約1500人の労働者が解雇され、セッロ・ドミナドル発電所の建設は2016年1月まで滞った [6] [7] 。 ただ、この時、すでにセッロ・ドミナドル発電所の建設は、半分以上完了していた [8] 。 2016年10月になって、EIG Global Energy Partners社がセッロ・ドミナドル発電所を単独で所有することになり、アベンゴア・ソラール社はセッロ・ドミナドル発電所への技術協力と建設を行うという形に落ち着いた [9] 。 こうして2018年2月に、アベンゴア・ソラール社はセッロ・ドミナドル発電所の太陽光発電施設部分の建設を完了し、商業運転に入った [9] 。 2018年5月に多数の企業から7億5800万ドルの追加融資が決定され、2018年5月にセッロ・ドミナドル発電所の太陽熱発電所部分の建設が再開された [10] [11] 。
予定
[編集]もし、このままセッロ・ドミナドル発電所の太陽熱発電所部分の建設が順調に進んだ場合、完成した際にはラテンアメリカにおいては最大規模の太陽熱発電所になる予定である [12] 。
設備
[編集]セッロ・ドミナドル発電所は、太陽電池を用いた太陽光発電所と、タワー式の太陽熱発電所で構成されている。
太陽光発電所部分
[編集]太陽電池を用いて、100 MWの電力を産み出している [9] 。
太陽熱発電所部分
[編集]溶融塩を用いた蓄熱装置を備えたタワー式の太陽熱発電所として建設が進められており、出力は110 MWになる予定である [13] [14] [15] 。
出典
[編集]- ^ Chilean Congress approved new law for NCRE: 20% by 2025 Archived October 12, 2013, at the Wayback Machine. Centro de Energías Renovables retrieved January 26, 2014
- ^ Abengoa to develop South America’s largest solar-thermal plant in Chile www.abengoa.com retived January 9, 2014
- ^ “Comienzan trabajos de primera planta termosolar en Latinoamerica” [First solar thermal plant works begin in Latin America] (スペイン語). Periodista1. El Mensajero (14 May 2014). 22 May 2014時点のオリジナルよりアーカイブ。22 May 2014閲覧。
- ^ 5 días de paralización llevan trabajadores de proyecto Atacama 1. 2 September 2015. Retrieved 9 October 2016.
- ^ “UPDATE 3-Spain's Abengoa starts insolvency proceedings, shares dive”. Reuters. (2015年11月25日) 2016年5月25日閲覧。
- ^ Abengoa Said to Plan Return to Work on Giant Chilean Solar Plant. 30 August 2016. Retrieved 9 October 2016.
- ^ Abengoa may resume work on Chilean CSP project in Q4. 31 August 2016. Retrieved 9 October 2016.
- ^ Abengoa retoma construcción de millonario proyecto solar. 9 May 2016. Retrieved 9 October 2016.
- ^ a b c Mesones, Javier (22 May 2018). “Abengoa se alía con Acciona para una planta solar en Chile de 650 millones” [Abengoa teams up with Acciona for a 650 million-euro solar plant in Chile] (スペイン語). www.eleconomista.es. Editorial Ecoprensa, S.A.. 28 May 2018時点のオリジナルよりアーカイブ。27 June 2018閲覧。
- ^ “Cerro Dominador Closes $758 Million Financing For The First Concentrated Solar Power Plant in Latin America”. www.elioscsp.com. Protermosolar (18 May 2018). 27 June 2018時点のオリジナルよりアーカイブ。27 June 2018閲覧。
- ^ “Chile’s 210 MW Cerro Dominador CSP-PV Project Signs Financing”. www.solarpaces.org. SolarPACES (19 May 2018). 27 June 2018時点のオリジナルよりアーカイブ。27 June 2018閲覧。
- ^ “‘A solar Saudi Arabia’: While Trump promotes coal, Chile and others are turning to cheap sun power”. ワシントンポスト. (31 March 2017) 2 April 2017閲覧。
- ^ Chile to welcome largest solar concentration plant in Lat Am www.thisischile.cl Thursday, January 16, 2014 retrieved January 27, 2014
- ^ “Concentrating Solar Power Projects - Atacama-1”. National Renewable Energy Laboratory (1 July 2015). 10 September 2016閲覧。
- ^ Abengoa to build 110MW solar tower storage plant in Chile reneweconomy.com.au/ By Giles Parkinson on 13 January 2014