セヴン・ネイション・アーミー
「セヴン・ネイション・アーミー」 | ||||||||
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ザ・ホワイト・ストライプス の シングル | ||||||||
初出アルバム『エレファント』 | ||||||||
B面 | グッド・トゥ・ミー | |||||||
リリース | ||||||||
規格 |
7インチ・シングル CDシングル | |||||||
録音 | ロンドン Toe Rag Studios | |||||||
ジャンル | ガレージロック、オルタナティヴ・ロック | |||||||
時間 | ||||||||
レーベル |
サード・マン・レコード V2レコード XLレコーディングス | |||||||
作詞・作曲 | ジャック・ホワイト | |||||||
プロデュース | ジャック・ホワイト | |||||||
チャート最高順位 | ||||||||
ザ・ホワイト・ストライプス シングル 年表 | ||||||||
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「セヴン・ネイション・アーミー」(Seven Nation Army)は、アメリカ合衆国のロック・バンド、ザ・ホワイト・ストライプスが2003年に発表した楽曲。アルバム『エレファント』からの第1弾シングルとしてヒットを記録した。なお、アルバム『エレファント』及びライヴ・アルバム『アンダー・グレイト・ホワイト・ノーザン・ライツ』では「Seven Nation Army」と表記されているが、シングル盤では「7 Nation Army」と表記されている[10]。
背景
[編集]この曲のリフは、ジャック・ホワイトがメルボルンでサウンド・チェックをしている時に生み出された[11]。ジャックは昔、救世軍(Salvation Army)を「Seven Nation Army」と思い込んでいたことがあり、それが曲名の由来となっている[11][12]。ベースのように聴こえる音はセミ・アコースティック・ギターで演奏されており、ワーミー・ペダルを通して1オクターヴ下げられている[11]。
XLレコーディングスやV2レコードは、「ゼア・イズ・ノー・ホーム・フォー・ユー・ヒア」を『エレファント』からの第1弾シングルにしようとしたが、最終的にはジャックの意向で本作がシングルに選ばれた[13]。シングルのカップリング曲「Good to Me」は、後にジャックと共にザ・ラカンターズで活動するブレンダン・ベンソンがアルバム『Lapalco』(2002年)で発表した曲のカヴァー[14]。この曲は『エレファント』の日本盤にボーナス・トラックとして収録された。
反響
[編集]イギリスでは2003年5月3日付の全英シングルチャートで初登場7位となり[15]、6週チャート圏内に入った[1]。また、2012年にも再ヒットし、6月2日付の全英シングルチャートで71位を記録した[16]。
アメリカでは総合チャートのBillboard Hot 100で76位に達し、『ビルボード』のモダン・ロック・チャートでは1位、メインストリーム・ロック・チャートでは12位を記録[4]。オーストラリアでは2003年6月22日付のシングル・チャートで17位を記録し、4週連続でトップ50入りした[2]。
本作は後年、ヨーロッパ諸国でもヒットしている。イタリアでは2006年7月27日付のシングル・チャートで初登場4位となり、翌週に3位を記録[5]。スイスでは2008年6月29日付のシングル・チャートで初登場18位となり[6]、7月13日には3位を記録した[17]。
評価
[編集]グラミー賞では、作者のジャック・ホワイトが最優秀ロック・ソング賞を受賞した[4]。
『ローリング・ストーン』誌が選出した「オールタイム・グレイテスト・ソング」(2021年版)では36位にランク・イン[18]。また、同誌が2011年に選出した「2000年代のベスト・ソング100」では6位となった[19]。
MusicRadarが2010年に選出した「過去10年間の偉大なギター・リフ50」では7位にランク・インしている[20]。
収録曲
[編集]- 7 Nation Army (Jack White) - 3:51
- Good to Me (Brendan Benson, Jason Falkner) - 2:06
- Black Jack Davey (Traditional) - 5:06
大衆文化への影響
[編集]スポーツ
[編集]本作はサッカー・ファンに人気の高い曲として知られる。その起源は、2003年10月22日にクラブ・ブルッヘのサポーターがミラノのバーでUEFAチャンピオンズリーグ 2003-04(対ACミラン戦)を観戦していた際、この曲を大合唱したことだとされている[21]。
2006年のFIFAワールドカップでは、優勝を決めたイタリア代表の選手達が合唱し、その後、7月11日に行われたローリング・ストーンズのミラノ公演にマルコ・マテラッツィとアレッサンドロ・デル・ピエロが飛び入りして、観客と一緒に「セヴン・ネイション・アーミー」を合唱した[22]。また、2008年にスイスとオーストリアで共同開催されたUEFA EURO 2008では試合前の入場曲に使用された[23]。EURO2012、EURO2016でもゴール後のアンセムとして使用され観客やサポーターが合唱している。EURO2016フランス大会ではパリ出身のDJであるデヴィッド・ゲッタによるリミックスしたバージョンが使用されている[24]。2018年FIFAワールドカップでは1994年から長年(2002年を除く)大会で用いられた公式入場曲のFIFAアンセムに代わって試合前の入場曲として使用された。
この曲はサッカー以外のスポーツでも頻繁に使用された。例として、2011年にはNFL・ボルチモア・レイブンズがホームの試合前に使用するようになった[25]。また、2013年にはNHL・ニュージャージー・デビルスのゴール・ソングに選ばれている[26][27]。
他メディアでの使用例
[編集]「セヴン・ネイション・アーミー」は2010年の音楽ゲーム『Guitar Hero 3: Warriors of Rock』で使用された[28]。また、映画『G.I.ジョー バック2リベンジ』の予告編ではThe Glitch Mobによるリミックス・ヴァージョンが使用された[29]。2016年6月13日に公開されたBattlefield 1の公式トレーラーでも使用されている。また2016年に公開された『スーサイド・スクワッド』でも使用されている。
その他
[編集]2014年5月9日、ハンブルク港開港825周年のイヴェントの一環として、MSCクルーズの客船MSC マニフィカの汽笛により「セヴン・ネイション・アーミー」が演奏された[30]。
カヴァー
[編集]「セヴン・ネイション・アーミー」 | ||||
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ベン・ロンクル・ソウル の シングル | ||||
初出アルバム『ベン・ロンクル・ソウル』 | ||||
リリース | ||||
規格 |
デジタル・ダウンロード CDシングル | |||
ジャンル | ソウル、ファンク | |||
時間 | ||||
レーベル | モータウン | |||
作詞・作曲 | ジャック・ホワイト | |||
チャート最高順位 | ||||
ベン・ロンクル・ソウル シングル 年表 | ||||
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「セヴン・ネイション・アーミー」 | ||||
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マーカス・コリンズ の シングル | ||||
初出アルバム『Marcus Collins』 | ||||
リリース | ||||
規格 |
デジタル・ダウンロード CDシングル | |||
ジャンル | ポップス、ソウル、ファンク | |||
時間 | ||||
レーベル | RCAレコード | |||
作詞・作曲 | ジャック・ホワイト | |||
プロデュース | Matt Furmidge, Alex Smith, Brian Rawling | |||
チャート最高順位 | ||||
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マーカス・コリンズ シングル 年表 | ||||
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ベン・ロンクル・ソウルによるカヴァー
[編集]フランスの歌手ベン・ロンクル・ソウルは、2009年のデジタルEP『Soul Wash』で「セヴン・ネイション・アーミー」のカヴァーを発表[36]。続いて、2010年のフルレングス・アルバム『ベン・ロンクル・ソウル』にも収録され、同作からのリード・シングルにも選ばれた[37]。
Jason Birchmeierはオールミュージックにおいて、彼のヴァージョンを「オリジナルに忠実である一方、1960年代のモータウンやスタックスのサウンドに由来したレトロ・ソウル的なスタイルのアプローチとなっている」と評している[38]。
マーカス・コリンズによるカヴァー
[編集]イギリスの歌手マーカス・コリンズは、オーディション番組『Xファクター』の第8シーズンで準優勝し、RCAレコードとの契約を得て、デビュー・アルバム『Marcus Collins』(2012年)からのリード・シングルとして「セヴン・ネイション・アーミー」のカヴァーを発表した[39]。コリンズのヴァージョンは2012年3月17日付の全英シングルチャートで初登場9位となり[40]、6週チャート圏内に入った[35]。
コリンズのヴァージョンに対しては、ザ・ホワイト・ストライプスのファンからの批判も多かったが、コリンズ自身は「僕はこの曲を研究して、それ以外にもザ・ホワイト・ストライプスの音楽をたくさん聴いた。だからイライラする人達のことも分かる」「全く違うジャンルなんだよ」とコメントしている[41]。
その他のカヴァー
[編集]- ザ・フレーミング・リップス - コンピレーション・アルバム『LateNightTales』(2005年)に収録[42]。
- ハード・ファイ - ライヴで演奏。2005年のロンドン公演における演奏はDVD『In Operation』(2006年)に収録された[43]。
関連項目
[編集]- 交響曲第5番 (ブルックナー) - アントン・ブルックナーの交響曲。セヴン・ネイション・アーミーのリフのメロディがこの交響曲の第1楽章第1主題によく似ていると指摘される[44][45][46][47]。
脚注
[編集]- ^ a b WHITE STRIPES | Official Charts Company - 2015年3月27日閲覧
- ^ a b australian-charts.com - The White Stripes - 7 Nation Army
- ^ dutchcharts.nl - The White Stripes - 7 Nation Army - austriancharts.at
- ^ a b c Elephant - The White Stripes | Awards | AllMusic
- ^ a b italiancharts.com - The White Stripes - 7 Nation Army
- ^ a b The White Stripes - 7 Nation Army - hitparade.ch
- ^ The White Stripes | Single-Chartverfolgung - musicline.de
- ^ The White Stripes - 7 Nation Army - austriancharts.at
- ^ lescharts.com - The White Stripes - 7 Nation Army
- ^ Images for White Stripes, The - 7 Nation Army - イギリス盤CDシングルの画像
- ^ a b c 20 Things You Might Not Know About 'Seven Nation Army' | NME.COM - article by Dan Martin - 2014年8月16日閲覧
- ^ The White Stripes Playing 'Seven Nation Army' On Their Final Tour | Rolling Stone - 2014年8月16日閲覧
- ^ ホワイト・ストライプス、あの名曲はシングル・カットされなかったかも | The White Stripes | BARKS音楽ニュース - 2014年8月16日閲覧
- ^ Brendan Benson - Alternative To Love - Uncut.co.uk - 2014年8月16日閲覧
- ^ Official Singles Chart Top 100 | 27-04-2003 - 03-05-2003 | Official Charts Company - 2015年3月27日閲覧
- ^ Official Singles Chart Top 100 | 27-05-2012 - 02-06-2012 | Official Charts Company - 2015年3月27日閲覧
- ^ Schweizer Hitparade - Singles Top 75 13.07.2008 - hitparade.ch
- ^ “The 500 Greatest Songs of All Time” (英語). Rolling Stone (2021年9月15日). 2021年12月21日閲覧。
- ^ The White Stripes, 'Seven Nation Army' - 100 Best Songs of the 2000s | Rolling Stone - 2014年8月16日閲覧
- ^ “The 50 Greatest Guitar Riffs of The Decade - The White Stripes - Seven Nation Army”. MusicRadar. Future Publishing Limited (2010年10月8日). 2015年4月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年11月25日閲覧。
- ^ Why Italy fans sing the pop anthem 'Seven Nation Army' by The White Stripes - Goal.com - article by Mark Doyle - 2014年8月16日閲覧
- ^ ストーンズのイタリア公演にW杯の優勝選手が登場 | The Rolling Stones | BARKS音楽ニュース - 2014年8月16日閲覧
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- ^ 【UEFA EURO 2016】David Guettaがテーマ曲なんて熱い試合に決まっている CHO-GOUTEKI 公式サイト 2016年7月2日閲覧
- ^ "Seven-Nation Army" is Ravens new in-game chant - Baltimore Sports Report - 2014年8月16日閲覧
- ^ Seven Nation Army vote new goal song - New Jersey Devils - News - 2014年8月16日閲覧
- ^ Flyers 1, Devils 0 - Chicago Tribune - 2014年8月16日閲覧
- ^ From Aerosmith to ZZ Top, It's the final setlist for Guitar Hero: Warriors of Rock | GamesRadar - 2014年8月16日閲覧
- ^ Cinematic Melodies - 'Seven Nation Army' by The White Stripes - Jacksonville Movie | Examiner.com - 2014年8月16日閲覧
- ^ Cruise ship MSC Magnifica plays Seven Nation Army on its HORN for 825th Hamburg port anniversary | Mail Online - 2014年8月16日閲覧
- ^ ultratop.be - Ben L'Oncle Soul - Seven Nation Army
- ^ charts.de
- ^ Ben L'Oncle Soul - Seven Nation Army - hitparade.ch
- ^ dutchcharts.nl - Ben L'Oncle Soul - Seven Nation Army
- ^ a b MARCUS COLLINS | Official Charts Company - 2015年3月27日閲覧
- ^ Soul Wash - Ben l'Oncle Soul | AllMusic - Review by Jon O'Brien
- ^ Ben l'Oncle Soul | Biography | AllMusic - Artist Biography by Jason Birchmeier
- ^ Ben l'Oncle Soul - Ben l'Oncle Soul | AllMusic - Review by Jason Birchmeier
- ^ Marcus Collins | Biography | AllMusic - Artist Biography by Andy Kellman
- ^ Official Singles Chart Top 100 | 11-03-2012 - 17-03-2012 | Official Charts Company - 2015年3月27日閲覧
- ^ Marcus Collins slams Cher Lloyd as 'Seven Nation Army' debuts at No.9 in U.K. - National The X Factor - Examiner.com - article by Carla Hay - 2014年8月16日閲覧
- ^ LateNightTales - The Flaming Lips | AllMusic - Review by Heather Phares
- ^ ハード・ファイ、初のDVDを発売 | HARD-Fi | BARKS音楽ニュース - 2014年8月16日閲覧
- ^ Helen Brown (2017年9月12日). “The story behind 'Seven Nation Army', an anthem of the World Cup football terraces”. Financial Times. 2021年6月3日閲覧。
- ^ Tom Taylor (2021年5月12日). “From The Beatles to Led Zeppelin: 10 iconic tracks inspired by classical composers”. Far Out Magazine. 2021年6月3日閲覧。
- ^ John F. Berky. “Jack White: The White Stripes: Seven Nation Army”. abruckner.com. 2021年6月3日閲覧。
- ^ “アントン・ブルックナー、19世紀音楽界の巨匠”. austria.info (オーストリア政府観光局公式サイト). 2024年6月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年6月16日閲覧。「アントン・ブルックナー、後の世のロックスター?」節を参照。