ソース接地回路
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ソース接地回路(ソースせっちかいろ)またはソース共通回路(ソースきょうつうかいろ、英: Common source)は、電界効果トランジスタを用いた基本的な増幅回路の一つ。入力インピーダンスが高く、出力インピーダンスも比較的高い。電圧増幅に用いるのが一般的。バイポーラトランジスタを用いた同様の回路にエミッタ接地回路がある。
特性
[編集]電界効果トランジスタのゲートは絶縁体のため、低い周波数ではソース接地回路の入力インピーダンスは非常に高い。小信号電圧利得は
、
出力インピーダンスは
となる(はトランジスタの出力抵抗)。 の場合、
、
と単純化される。
- ソース接地回路自身の入力インピーダンスは非常に高いが、入力信号にバイアスをかけなければいけない場合(入力がAC結合の場合など)、バイアス回路が入力インピーダンスを決定するため注意が必要である。また、 の値にもよるが、出力インピーダンスは高めなので、負荷の抵抗値が低い場合にはバッファを挿入する必要がある。
- 電圧利得が高く、ミラー効果によってゲート・ドレイン容量()を増大させたものが実質的にゲートに現れる。このため、出力インピーダンスの高い回路でソース接地回路を駆動すると著しく帯域が制限される。この問題は後述のカスコードトランジスタで解決できる。
- 出力のバイアス点はトランジスタのバイアス電流 、及び電源電圧のみで決まり、その値は である。このバイアス点を、トランジスタが飽和する最低のドレイン電圧と電源電圧()の中間にした場合に最大の出力振幅が得られる。
ソース負帰還
[編集]ソース接地回路のトランジスタのは入力電圧に依存するため、入力と出力の関係は非線形となる。しかし、ソースに抵抗を挿入すると負帰還により電圧利得の への依存性が減り、線形性を向上させることができる。しかし、ソース抵抗がない場合に比べて利得が下がる。小信号電圧利得は
、
出力抵抗は
となる(、 は基板効果による)。基板効果を無視し()、、で、さらにの場合、
、
と単純化される。
カスコードトランジスタの挿入
[編集]カスコードトランジスタ(M2)を挿入すると、入力トランジスタ(M1)のドレイン間の増幅率が小さくなるためミラー効果による実質入力容量の増大を抑制することができる。この回路の小信号電圧利得は
で、、、、 の場合、
と単純化され、カスコードトランジスタがない場合と利得は同じになる。また、M1のゲート・ドレイン間の小信号利得は
と低い値になるため、カスコードトランジスタがない場合に比べてミラー効果が大幅に抑制される。
- この回路はソース接地回路とゲート接地回路の組み合わせと考えることもできる。
- カスコードトランジスタのゲート()は直流電圧源に接続される。その電圧は、M1が飽和領域で動作するよう十分高く、かつM2も飽和領域で動作するよう十分低くなければならない。
用途
[編集]無線受信機の低雑音増幅器などに広く使われている。
関連項目
[編集]参考文献
[編集]- Behzad Razavi, Design of Analog CMOS Integrated Circuits, McGraw-Hill, Inc., New York, NY, 2000
- 松澤昭,アナログRFCMOS集積回路設計 基礎編,培風館,2010年