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ソース接地回路

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
図 1: 基本的なNMOSソース接地回路(バイアス等の詳細は省略)

ソース接地回路(ソースせっちかいろ)またはソース共通回路(ソースきょうつうかいろ、: Common source)は、電界効果トランジスタを用いた基本的な増幅回路の一つ。入力インピーダンスが高く、出力インピーダンスも比較的高い。電圧増幅に用いるのが一般的。バイポーラトランジスタを用いた同様の回路にエミッタ接地回路がある。

特性

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電界効果トランジスタのゲートは絶縁体のため、低い周波数ではソース接地回路の入力インピーダンスは非常に高い。小信号電圧利得は

出力インピーダンスは

となる(はトランジスタの出力抵抗)。 の場合、

と単純化される。

  • ソース接地回路自身の入力インピーダンスは非常に高いが、入力信号にバイアスをかけなければいけない場合(入力がAC結合の場合など)、バイアス回路が入力インピーダンスを決定するため注意が必要である。また、 の値にもよるが、出力インピーダンスは高めなので、負荷の抵抗値が低い場合にはバッファを挿入する必要がある。
  • 電圧利得が高く、ミラー効果によってゲート・ドレイン容量()を増大させたものが実質的にゲートに現れる。このため、出力インピーダンスの高い回路でソース接地回路を駆動すると著しく帯域が制限される。この問題は後述のカスコードトランジスタで解決できる。
  • 出力のバイアス点はトランジスタのバイアス電流 及び電源電圧のみで決まり、その値は である。このバイアス点を、トランジスタが飽和する最低のドレイン電圧と電源電圧()の中間にした場合に最大の出力振幅が得られる。

ソース負帰還

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図 2: ソース負帰還付きソース接地回路(バイアス等の詳細は省略)

ソース接地回路のトランジスタのは入力電圧に依存するため、入力と出力の関係は非線形となる。しかし、ソースに抵抗を挿入すると負帰還により電圧利得の への依存性が減り、線形性を向上させることができる。しかし、ソース抵抗がない場合に比べて利得が下がる。小信号電圧利得は

出力抵抗は

となる(基板効果による)。基板効果を無視し()、で、さらにの場合、

と単純化される。

カスコードトランジスタの挿入

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図 3: カスコードトランジスタ付きソース接地回路(バイアス等の詳細は省略)

カスコードトランジスタ(M2)を挿入すると、入力トランジスタ(M1)のドレイン間の増幅率が小さくなるためミラー効果による実質入力容量の増大を抑制することができる。この回路の小信号電圧利得は

で、 の場合、

と単純化され、カスコードトランジスタがない場合と利得は同じになる。また、M1のゲート・ドレイン間の小信号利得は

と低い値になるため、カスコードトランジスタがない場合に比べてミラー効果が大幅に抑制される。

  • この回路はソース接地回路とゲート接地回路の組み合わせと考えることもできる。
  • カスコードトランジスタのゲート()は直流電圧源に接続される。その電圧は、M1が飽和領域で動作するよう十分高く、かつM2も飽和領域で動作するよう十分低くなければならない。

用途

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無線受信機の低雑音増幅器などに広く使われている。

関連項目

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エミッタ接地回路

参考文献

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  • Behzad Razavi, Design of Analog CMOS Integrated Circuits, McGraw-Hill, Inc., New York, NY, 2000
  • 松澤昭,アナログRFCMOS集積回路設計 基礎編,培風館,2010年