タンタンコロリン
タンタンコロリンは、宮城県仙台市に伝わる柿の木の妖怪[1]。
特徴
[編集]老いた柿の木が化けた妖怪で、柿の実を採らずに放置しておくと現れるという[1]。姿は僧侶のような姿で、柿の精霊の化身という説もある[2]。
ある言い伝えでは、沢山の実がなった柿の木のある家から夕暮れ時にタンタンコロリンが現れ、服の袂の中に柿の実を大量に入れて町の中を歩きつつ、柿の種を撒き散らすために実をポトポトと落として行き、町を一回りした末に、もとの家の前で姿を消したという[2]。
タンコロリン
[編集]現在の妖怪関連の文献の多くでは「タンコロリン」の名で紹介されているが、青森県で聞き分けのない子供を「タンコロリンが来るぞ」と言って叱ったことの混同との説があり、水木しげるが自著の中で柿の木の妖怪の方を「タンコロリン」の名で紹介したことから、他の書籍類でも同様に「タンコロリン」の名が広まったともいわれる[3]。
柿の伝承
[編集]タンタンコロリンと同様、宮城には柿が人間に化けるという話がよくある。
ある民話では以下のように語られている。ある寺の小僧のもとに男がやって来て、自分の糞をすり鉢ですって食べろと言った。小僧は嫌がったが、男が怒るので仕方なく食べると、とても美味しい柿の味がした。不思議に思った小僧が、寺の和尚にわけを話し、ともに男を捜し出して跡をつけた。男は山奥へ入って行って姿を消し、そこには大きな柿の木があって、実がたくさん落ちていた。和尚は、きっとこの柿の実が化けたのだろうと、柿の実を拾い集めて持って帰ったところ、男は現れなくなったという[4]。
また宮城県栗原郡(現・栗原市)には「柿の精」と題し、以下のような民話がある。ある屋敷に仕える女が、庭に実る柿を見てなんとか食べたいと思っていたところ、夜中に真っ赤な顔の大男が現れ、尻をほじって嘗めろと言う。言われるままにその男の尻をほじって嘗めたところ、甘い柿の味がした。翌朝に柿の木を見ると、その実には抉り取った跡があったという[5]。佐々木喜善の著書『聴耳草紙』にも、「柿男」と題して同様の話がある[1]。