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チャオヤンゴプテルス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
チャオヤンゴプテルス
Chaoyangopterus
生息年代: 前期白亜紀, 120 Ma
アズダルコ科翼竜の下顎比較。L がチャオヤンゴプテルス。
保全状況評価
絶滅(化石
地質時代
約1億2000万年前
中生代前期白亜紀
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 爬虫綱 Reptilia
亜綱 : 双弓亜綱 Diapsida
下綱 : 主竜形下綱 Archosauromorpha
階級なし : 主竜類 Archosauria
階級なし : 鳥頸類 Ornithodira
: 翼竜目 Pterosauria
亜目 : 翼指竜亜目 Pterodactyloidea
: チャオヤンゴプテルス科 Chaoyangopteridae
亜科 : チャオヤンゴプテルス亜科 Chaoyangopterinae
: チャオヤンゴプテルス属 Chaoyangopterus
学名
Chaoyangopterus
Wang & Zhou, 2003
和名
チャオヤンゴプテルス

C. zhangi Wang & Zhou, 2003 (模式種)

チャオヤンゴプテルス(学名:Chaoyangopterus)は中国遼寧省産の部分骨格が知られているチャオヤンゴプテルス科翼竜の1朝陽市大平房 (Dapingfang) の下部白亜系アプチアンと推定される九佛堂累層 (Jiufotang Formation) の岩石から発見された。

名称

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チャオヤンゴプテルスは2003年に汪筱林 (Wang Xiaolin) と周忠和 (Zhou Zhonghe) によって記載命名された。模式種Chaoyangopterus zhangi。属名は朝陽 (Chaoyang) とラテン語化されたギリシャ語 "pteron"(翼)に由来する。種小名は朝陽日報の記者で多くの化石産地保存に貢献した張万連 (Zhang Wanlian) への献名である[1]

記載

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チャオヤンゴプテルスは IVPP V13397 を模式標本として記載され、この標本には頭蓋骨前部、下顎、頸椎肩帯腰帯、四肢骨が含まれる。頭蓋骨の推定復元長はおよそ 270 mm で歯は無く、翼開長は約 1.85 m と推測されている。汪と周は本属はニクトサウルスに最も近縁だとしてニクトサウルス科 (Nyctosauridae) に分類したが、チャオヤンゴプテルスの脛骨大腿骨上腕骨に対して長いためニクトサウルスに比べて短い翼と長い脚を持っており、翼指骨はまだ4本(ニクトサウルスは3本)であった[1]

分類

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チャオヤンゴプテルスの分類はいまだに不安定であり、その後の研究では記載者によるニクトサウルス科 (Nyctosauridae) への分類に異議が唱えられている。デイヴィッド・アンウィン (David Unwin) は一般向けの書籍の中で、注解無しにアズダルコ類 (Azhdarchoidea) の中に位置する大きなトサカを持つことで有名なタペヤラ科 (Tapejaridae) にチャオヤンゴプテルスを含めた[2]。それに対し、呂君昌と季強 (Ji Qiang) が2006年に行った遼寧省産翼竜に関する詳細な系統分析では、チャオヤンゴプテルスは特定のに属さずアズダルコ類 (Azhdarchoidea) の基盤的な位置に置かれた[3]。しかしながら、呂とアンウィンによるその後の研究ではチャオヤンゴプテルスは JidapterusShenzhoupterus と共にアズダルコ類の中で1つのクレードを形成するとされ、そのクレードはチャオヤンゴプテルス科 (Chaoyangopteridae) と命名された[4]

しかし汪と周は2006年に、チャオヤンゴプテルスはプテラノドン科の一員であり、 JidapterusEoazhdarchoEopteranodon はチャオヤンゴプテルスの主観異名であると主張した[5]。2017年における Jidapterus の再記載はこの見解を支持せず、Jidapterus はそれらの他の属から確かに区別できるとした[6]

下記の2つのクラドグラムはアズダルコ類 (Azhdarchoidea) 内でのチャオヤンゴプテルスの系統的位置を図示している。図.1 は2011年の Felipe Pinheiro らによるもので、彼らはチャオヤンゴプテルスをまたもやタペヤラ科の一員とし、JidapterusShenzhoupterus 双方の姉妹群としてより特定的なチャオヤンゴプテルス亜科 (Chaoyangopterinae) に分類した[7]。図. 2 のクラドグラムは1つ目とは違う形状をしており、2019年のアレクサンダー・ケルナーらによるものである。Pinheiro らによる分析とは異なり、ケルナーらの分析ではチャオヤンゴプテルスをタペヤラ科とするのではなくチャオヤンゴプテルス科 (Chaoyangopteridae) の一員としたが、JidapterusShenzhoupterus 双方の姉妹群とする点では同じだった。ここではチャオヤンゴプテルス科はアズダルコ科の姉妹群とされ、どちらの科もクレード Azhdarchoidea の中に置かれた[8]


図. 1: Pinheiro and colleagues (2011).

タペヤラ科
タラソドロメウス亜科

Thalassodromeus

Tupuxuara

Thalassodrominae
チャオヤンゴプテルス亜科

Jidapterus

Shenzhoupterus

Chaoyangopterus

Chaoyangopterinae
タペヤラ亜科

Sinopterus

Huaxiapterus

Tapejara

Tupandactylus

Tapejarinae
Tapejaridae


図. 2: Kellner and colleagues (2019).

Azhdarchoidea
アズダルコ科

Azhdarcho

Quetzalcoatlus

Zhejiangopterus

Azhdarchidae
チャオヤンゴプテルス科

Chaoyangopterus

Jidapterus

Shenzhoupterus

Chaoyangopteridae
Tapejaromorpha

Keresdrakon

タペヤラ科

Thalassodrominae

Tapejarinae

Tapejaridae

純古生物学

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チャオヤンゴプテルスは無歯性の翼竜であり汪は魚食性であると推測したが、関係する他の細かな生物学的特徴は今後のさらに詳細な記載を待つ必要がある。チャオヤンゴプテルス科は現在一般的にアズダルコ科翼竜に似ていると考えられており、おそらくツル類のように地上で採餌する雑食性で、機会があれば肉食を行っていたとされている[9]

出典

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  1. ^ a b Wang Xiao-Lin; Zhou Zhong-He (2003). “Two new pterodactyloid pterosaurs from the Early Cretaceous Jiufotang Formation of Western Liaoning, China”. Vertebrata PalAsiatica 41 (1): 34–41. 
  2. ^ Unwin, David M. (2006). The Pterosaurs: From Deep Time. New York: Pi Press. p. 273. ISBN 0-13-146308-X 
  3. ^ Lü, Junchang; Qiang Ji (2006). “Preliminary results of a phylogenetic analysis of the pterosaurs from western Liaoning and surrounding area”. Journal of the Paleontological Society of Korea 22 (1): 239–261. http://cactus.dixie.edu/jharris/Lu&Ji_ptero_phylogeny.pdf 2007年3月10日閲覧。. 
  4. ^ Lü, J.; Unwin, D.M.; Xu, L.; Zhang, X. (2008). “A new azhdarchoid pterosaur from the Lower Cretaceous of China and its implications for pterosaur phylogeny and evolution”. Naturwissenschaften 95 (9): 891–897. Bibcode2008NW.....95..891L. doi:10.1007/s00114-008-0397-5. PMID 18509616. 
  5. ^ Wang, X.; Zhou, Z. (2006). “Pterosaur assemblages of the Jehol Biota and their implication for the Early Cretaceous pterosaur radiation”. Geological Journal 41 (3–4): 405–418. doi:10.1002/gj.1046. 
  6. ^ Wu, W.-H.; Zhou, C.-F.; Andres, B. (2017). “The toothless pterosaur Jidapterus edentus (Pterodactyloidea: Azhdarchoidea) from the Early Cretaceous Jehol Biota and its paleoecological implications”. PLOS ONE 12 (9): e0185486. Bibcode2017PLoSO..1285486W. doi:10.1371/journal.pone.0185486. PMC 5614613. PMID 28950013. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5614613/. 
  7. ^ Pinheiro, Felipe L.; Fortier, Daniel C.; Schultz, Cesar L.; De Andrade, José Artur F.G.; Bantim, Renan A.M. (September 2011). “New Information on the Pterosaur, with Comments on the Relationships of Tapejaridae”. Acta Palaeontologica Polonica 56 (3): 567–580. doi:10.4202/app.2010.0057. 
  8. ^ Kellner, Alexander W. A.; Weinschütz, Luiz C.; Holgado, Borja; Bantim, Renan A. M.; Sayão, Juliana M. (19 August 2019). “A new toothless pterosaur (Pterodactyloidea) from Southern Brazil with insights into the paleoecology of a Cretaceous desert” (英語). Anais da Academia Brasileira de Ciências 91 (suppl 2): e20190768. doi:10.1590/0001-3765201920190768. ISSN 0001-3765. PMID 31432888. 
  9. ^ Pterosaur.net :: Important Species”. pterosaur.net. 18 November 2024閲覧。

外部リンク

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