チューバ協奏曲 (ヴォーン・ウィリアムズ)

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バス・チューバと管弦楽のための協奏曲Concerto for bass tuba and orchestra )は、レイフ・ヴォーン・ウィリアムズ1954年に作曲した作品で、チューバのための協奏曲としては初めて作曲された作品であるとともに、最もよく演奏される作品である。ロンドン交響楽団の創立50周年祝賀コンサートのための委嘱作で、同楽団に献呈されている。初演は1954年6月13日、当時同楽団の首席チューバ奏者だったフィリップ・カテリネットフィンランド語版の独奏、ジョン・バルビローリの指揮で、ロイヤル・フェスティヴァル・ホールにおいて行われた。

第2楽章はチューバとピアノ用にも編曲されているが、これはユーフォニアムファゴットあるいはチェロとピアノでも演奏可能としている。

楽器編成[編集]

独奏チューバ、フルート2(第2奏者はピッコロ持ち替え)、オーボエクラリネット2、ファゴットホルン2、トランペット2、トロンボーン2、ティンパニシンバルトライアングル弦五部

楽曲構成[編集]

古典的な3楽章の構成であるが、全曲で約12分と短く、またソナタ形式の楽章がない。第1楽章と第3楽章には作り付けのカデンツァが置かれている。

第1楽章 アレグロ・モデラート
ヘ短調、4分の2拍子。三部形式。この楽章の旋律は全て五音音階によっている。途中で8分の6拍子となる。カデンツァの後、テンポを緩めてヘ長調で終結する。
第2楽章 ロマンツァ アンダンテ・ソステヌート
ニ長調、4分の3拍子。三部形式であるが、中間部は最初の部分の変奏になっており、対立的な要素はない。
第3楽章 ロンド・アラ・テデスカ アレグロ
ヘ長調、4分の3拍子。「ドイツ風ロンド」の副題通りロンド形式をとっており、作曲者はワルツのリズムで演奏することを想定している。調号はヘ長調だが半音階が多い旋法が用いられており、調性は流動的。A-B-A-Cと来たところで、ロンド主題が再現する代わりにカデンツァが出て、短いコーダで締めくくられる。

参考文献[編集]

  • 最新名曲解説全集9 協奏曲II(音楽之友社
  • 橋本晋哉ヴォーン・ウィリアムズ《チューバ協奏曲》のための研究ガイド」『洗足論叢』第46巻、洗足学園音楽大学、2018年、291-306頁、ISSN 2433-9237 

録音[編集]

外部リンク[編集]