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チョウシハマベダニ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
チョウシハマベダニ
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
亜門 : 鋏角亜門 Chelicerata
: クモガタ綱 Arachnida
亜綱 : ダニ亜綱 Acari
: 汎ササラダニ目 Sarcoptiformes
亜目 : ササラダニ亜目 Oribatida
: ハマベダニ科 Ameronothridae
: ハマベダニ属 Ameronothrus
: チョウシハマベダニ A. twitter
学名
Ameronothrus twitter
Pfingstl & Shimano in Pfingstl et al., 2021[1]
和名
チョウシハマベダニ[1]

チョウシハマベダニAmeronothrus twitter)は、ハマベダニ科ハマベダニ属に属するダニの一種[1][2]種小名twitterは、銚子市で釣りをしていた会社員が撮影してTwitterに投稿した画像がきっかけとなったという発見経緯による[3]WoRMSの2021年の注目すべき海洋生物の新種トップ10に選ばれた[3][4]

形態

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体長は600〜700μm。体色は黒みがかった暗褐色[1]。他のハマベダニ属とは、特徴的なクチクラ構造から区別できる[1]。北海道に分布するヨイチハマベダニA. yoichi)と近縁種である可能性があるが、いくつかの顕著な相違がある[1]

分布

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模式産地である千葉県銚子市からのみ知られている[1][2]

本種を含むハマベダニ属は寒冷気候に適応しており、年平均気温17度・年平均海面温度20度を超える環境では生存できないと考えられている[5]。銚子市は日本の太平洋側で本種が生存できる環境の南限にあたる[5]

生態

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コンクリート構造物上での発見例しかないが、他のハマベダニ属の生息地から、本来の生息環境は沿岸の岩石である可能性が示唆されている[1]

本種の生活環や食性などの詳細はわかっていないが、同属の近縁種は岩場に生育する地衣類などを食べることが知られている[5]

発見経緯

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釣りのために銚子港に訪れた男性会社員が、撮影した虫の写真[6]をTwitterに投稿したところ、法政大学島野智之教授は写真に映る虫が恐らくハマベダニ属のダニであることに気づき、同地で標本を採取、新種であることを発見した[1]。Twitterの投稿から新種が発見されるのは、ヤスデに寄生する菌類であるTroglomyces twitteri [7]に次いで2例目であり、動物としては世界初の事例[8]である。

分類

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日本でのハマベダニ属の発見は、当時2019年に記載された北海道(余市町・室蘭市)のヨイチハマベダニA. yoichi)の1例のみであり[9]、本種はそれに続く発見であった[1]。続く3例目として2022年に鳥取県(鳥取市福部町岩戸)からイワドハマベダニA. retweet)が記載されており、種小名のretweetは本種が発見されたツイートに対する返信がきっかけでイワドハマベダニが発見されたことに由来する[10]

脚注

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出典

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  1. ^ a b c d e f g h i j Tobias Pfingstl; Shimpei F. Hiruta; Takamasa Nemoto; Wataru Hagino; Satoshi Shimano (2021-3-22). Ameronothrus twitter sp. nov. (Acari, Oribatida) a New Coastal Species of Oribatid Mite from Japan” (英語) (pdf). Species Divercity 26 (1): 93-99. doi:10.12782/specdiv.26.93. https://www.jstage.jst.go.jp/article/specdiv/26/1/26_260113/_pdf/-char/en 2024年7月26日閲覧。. 
  2. ^ a b 島野智之・久保田直「日本産水生ササラダニ類4科の目録(汎ササラダニ目:ササラダニ亜目)」『日本ダニ学会誌』第32巻 2号、日本ダニ学会、2023年、67-74頁。
  3. ^ a b 法政大学島野教授がTwitterによって発見した新種のダニが、海洋生物種の世界登録簿(WoRMS)から『2021年の注目すべき海洋生物の新種トップ10』のひとつに選出”. 法政大学. 2024年12月2日閲覧。
  4. ^ Ten remarkable new marine species from 2021”. WoRMS. 2024年12月2日閲覧。
  5. ^ a b c Tobias Pfingstl, Shimpei F. Hiruta, Wataru Hagino & Satoshi Shimano (2022). “Biogeography and climate related distribution of intertidal oribatid mites (Acari, Ameronothroidea) from the Japanese islands — a short review”. Edaphologia 110: 27-37. doi:10.20695/edaphologia.110.0_27.
  6. ^ @yatsume_projectのツイート”. 2024年12月3日閲覧。
  7. ^ ヤスデに寄生する菌類の新種、ツイッターから命名 共有した画像で見つかる”. CNN (2020年5月23日). 2024年12月2日閲覧。
  8. ^ SNSに投稿された写真をきっかけに新種のダニを発見”. つくばサイエンスニュース (2021年4月15日). 2024年12月2日閲覧。
  9. ^ Tobias Pfingstl; Shimpei F. Hiruta; Maximilian Wagner; Wataru Hagino; Satoshi Simano (2019-6-23). “First record of the family Ameronothridae (Acari: Oribatida) from Japan – new species, juvenile morphology, ecology and biogeographic remarks” (英語). International Journal of Acarology 45 (5): 315-327. doi:10.1080/01647954.2019.1629624. https://www.marinespecies.org/aphia.php?p=taxdetails&id=1463137. 
  10. ^ Tobias Pfingstl, Shimpei F. Hiruta, Iris Bardel-Kahr, Yuito Obae & Satoshi Shimano (2022). “Another mite species discovered via social media - Ameronothrus retweet sp. nov. (Acari, Oribatida) from Japanese coasts, exhibiting an interesting sexual dimorphism.” International Journal of Acarology 48 (4-5): 348-358. doi:10.1080/01647954.2022.2074538.