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ティフィナグ文字 (Unicodeのブロック)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ティフィナグ文字 (Unicodeのブロック)
Tifinagh
範囲 U+2D30..U+2D7F
(80 個の符号位置)
基本多言語面
用字 ティフィナグ文字
主な言語・文字体系
割当済 59 個の符号位置
未使用 21 個の保留
Unicodeのバージョン履歴
4.1 55 (+55)
6.0 57 (+2)
6.1 59 (+2)
公式ページ
コード表 ∣ ウェブページ
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ティフィナグ文字(ティフィナグもじ、英語: Tifinagh)は、Unicodeの101個目のブロック

解説

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モロッコマリ北部、ニジェールアルジェリアなどの北西アフリカマグリブ地域)で話される、トゥアレグ語中央アトラス・タマジクト語をはじめとした、アフロ・アジア語族ベルベル語派の諸言語のうちいくつかの言語を表記するためのティフィナグ文字を収録している。ただし、ベルベル諸語の多くは現在ラテン文字ベルベル・ラテン・アルファベット英語版)を使用している。

現在のティフィナグ文字は音素文字のうち母音と子音にそれぞれ独立した文字が割り当てられているアルファベットに分類される。ただし、かつては子音字のみを記述し母音は書かれないアブジャドであった。また、書字方向についても現在は左から右へ横書き(左横書き)だが、かつては右から左への横書き(右横書き)で書かれることもあった。現在は単語毎に分かち書きをするが、かつてはスペースの代わりにU+2D70 ⵰ TIFINAGH SEPARATOR MARKという記号が用いられていた。上述したように、文字体系の中では珍しく、歴史的に書記システムが大きく変遷している。なお、大文字と小文字の区別は無い。

符号位置の順序はおおむね伝統的なティフィナグ文字の順序に従っている。

Unicodeのバージョン4.1において初めて追加された。

収録文字

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ラテン文字転写」の列はベルベル・ラテン・アルファベットに従う。

コード 文字 文字名(英語) 用例・説明 ラテン文字転写 対応するアラビア文字
字母
U+2D30 TIFINAGH LETTER YA 音素[a]を表す。 a ا
U+2D31 TIFINAGH LETTER YAB 音素[b]を表す。 b ب
U+2D32 TIFINAGH LETTER YABH 音素[β]を表す。 ٻ
U+2D33 TIFINAGH LETTER YAG 音素[ɡ]を表す。 g گ
U+2D34 TIFINAGH LETTER YAGHH 音素[ɣ]を表す。 ڲ
U+2D35 TIFINAGH LETTER BERBER ACADEMY YAJ 音素[d͡ʒ]を表す。 ǧ ج
U+2D36 TIFINAGH LETTER YAJ 音素[d͡ʒ]を表す。
U+2D37 TIFINAGH LETTER YAD 音素[d]を表す。 d د
U+2D38 TIFINAGH LETTER YADH 音素[ð]を表す。
U+2D39 TIFINAGH LETTER YADD 音素[dˤ]を表す。 ض
U+2D3A TIFINAGH LETTER YADDH 音素[ðˤ]を表す。
U+2D3B TIFINAGH LETTER YEY 音素[ə]を表す。 e ه
U+2D3C TIFINAGH LETTER YAF 音素[f]を表す。 f ف
U+2D3D TIFINAGH LETTER YAK 音素[k]を表す。 k ک
U+2D3E TIFINAGH LETTER TUAREG YAK 音素[k]を表す。トゥアレグ語で用いられる。
U+2D3F ⴿ TIFINAGH LETTER YAKHH 音素[x]を表す。
U+2D40 TIFINAGH LETTER YAH 音素[h]を表す。トゥアレグ語では[b]を表す。 h/b ھ
U+2D41 TIFINAGH LETTER BERBER ACADEMY YAH 音素[h]を表す。 h ھ
U+2D42 TIFINAGH LETTER TUAREG YAH 音素[h]を表す。トゥアレグ語で用いられる。
U+2D43 TIFINAGH LETTER YAHH 音素[ħ]を表す。 ح
U+2D44 TIFINAGH LETTER YAA 音素[ʕ]を表す。 ɛ ع
U+2D45 TIFINAGH LETTER YAKH 音素[χ]を表す。 x خ
U+2D46 TIFINAGH LETTER TUAREG YAKH 音素[χ]を表す。トゥアレグ語で用いられる。
U+2D47 TIFINAGH LETTER YAQ 音素[q]を表す。 q ق
U+2D48 TIFINAGH LETTER TUAREG YAQ 音素[q]を表す。トゥアレグ語で用いられる。
U+2D49 TIFINAGH LETTER YI 音素[i]を表す。 i ي
U+2D4A TIFINAGH LETTER YAZH 音素[ʒ]を表す。 j ج
U+2D4B TIFINAGH LETTER AHAGGAR YAZH 音素[ʒ]を表す。トゥアレグ語のAhaggar方言で用いられる。
U+2D4C TIFINAGH LETTER TUAREG YAZH 音素[ʒ]を表す。トゥアレグ語で用いられる。
U+2D4D TIFINAGH LETTER YAL 音素[l]を表す。 l ل
U+2D4E TIFINAGH LETTER YAM 音素[m]を表す。 m م
U+2D4F TIFINAGH LETTER YAN 音素[n]を表す。 n ن
U+2D50 TIFINAGH LETTER TUAREG YAGN 音素[ɲ]を表す。 ny ني
U+2D51 TIFINAGH LETTER TUAREG YANG 音素[ŋ]を表す。 ng ڭ
U+2D52 TIFINAGH LETTER YAP 音素[p]を表す。 p پ
U+2D53 TIFINAGH LETTER YU 音素[u]を表す。 u و
U+2D54 TIFINAGH LETTER YAR 音素[r]を表す。 r ر
U+2D55 TIFINAGH LETTER YARR 音素[rˤ]を表す。 ڕ
U+2D56 TIFINAGH LETTER YAGH 音素[ɣ]を表す。 ɣ غ
U+2D57 TIFINAGH LETTER TUAREG YAGH 音素[ɣ]を表す。トゥアレグ語で用いられる。
U+2D58 TIFINAGH LETTER AYER YAGH 音素[ɣ]或いは[d͡ʒ]を表す。アイル・タマジェク語英語版で用いられる。 غ/ج
U+2D59 TIFINAGH LETTER YAS 音素[s]を表す。 s س
U+2D5A TIFINAGH LETTER YASS 音素[sˤ]を表す。 ص
U+2D5B TIFINAGH LETTER YASH 音素[ʃ]を表す。 š ش
U+2D5C TIFINAGH LETTER YAT 音素[t]を表す。 t ت
U+2D5D TIFINAGH LETTER YATH 音素[θ]を表す。
U+2D5E TIFINAGH LETTER YACH 音素[t͡ʃ]を表す。 č تش
U+2D5F TIFINAGH LETTER YATT 音素[tˤ]を表す。 ط
U+2D60 TIFINAGH LETTER YAV 音素[v]を表す。 v ۋ
U+2D61 TIFINAGH LETTER YAW 音素[w]を表す。 w ۉ
U+2D62 TIFINAGH LETTER YAY 音素[j]を表す。 y ي
U+2D63 TIFINAGH LETTER YAZ 音素[z]を表す。 z ز
U+2D64 TIFINAGH LETTER TAWELLEMET YAZ 音素[z]を表す。ウェレンメ語英語版で用いられる。
U+2D65 TIFINAGH LETTER YAZZ 音素[zˤ]を表す。 ظ
U+2D66 TIFINAGH LETTER YE 音素[e]を表す。

2004年頃から少なくとも2007年まで、ニジェールアガデスに拠点を置くユネスコ後援の「ティフィナグ語推進協会」(APT)の出版物で使用されてきた[1]

U+2D67 TIFINAGH LETTER YO 音素[o]を表す。

2004年頃から少なくとも2007年まで、ニジェールのアガデスに拠点を置くユネスコ後援の「ティフィナグ語推進協会」(APT)の出版物で使用されてきた[1]

修飾文字
U+2D6F TIFINAGH MODIFIER LETTER LABIALIZATION MARK 唇音化(IPA:[ʷ])を表す。 ۥ
約物
U+2D70 TIFINAGH SEPARATOR MARK かつてスペースの代わりに単語の境界を表していた。マリでは現在でも用いられ、ニジェールでは句読点の代わりに用いられる[2]
記号
U+2D7F ⵿ TIFINAGH CONSONANT JOINER かつてティフィナグ文字がアブジャドとして用いられていた時代の文章について、子音字の持つ固有の母音を抑制する[2][3]機能を持つ制御文字

前の文字と次の文字が二子音クラスターの一部であることを示す[3]

表示される形状は任意であり、視覚的にレンダリングされない[3]

小分類

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このブロックの小分類は「字母」(Letters)、「修飾文字」(Modifier letter)、「約物」(Punctuation)、「記号」(Sign)の4つとなっている[3]

字母(Letters

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この小分類にはティフィナグ文字のうち、基本的な字母が収録されている。

修飾文字(Modifier letter

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この小分類にはティフィナグ文字のうち、唇音化を表す、上付き文字として書かれる記号1文字のみが収録されている。

約物(Punctuation

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この小分類にはティフィナグ文字のうち、句読点などの約物類が収録されている。

記号(Sign

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この小分類にはティフィナグ文字がアブジャドとして使われていた際に、子音字のもつ暗黙の随伴母音を発音しないことを表す不可視の制御文字1文字のみが収録されている。

文字コード

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ティフィナグ文字(Tifinagh)[1]
Official Unicode Consortium code chart (PDF)
  0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 A B C D E F
U+2D3x ⴿ
U+2D4x
U+2D5x
U+2D6x
U+2D7x ⵿
注釈
1.^バージョン16.0時点


履歴

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以下の表に挙げられているUnicode関連のドキュメントには、このブロックの特定の文字を定義する目的とプロセスが記録されている。

バージョン コードポイント[a] 文字数 L2 ID ドキュメント
4.1 U+2D60..2D65,2D6F,2D30..2D5F 55 L2/04-061 Patrick Andries (1 February 2004), Proposal to add the Tifinagh script (英語)
6.0 U+2D70,2D7F 2 L2/08-198 Lorna Priest; Jon Coblentz (28 July 2008), Proposal to encode additional Tifinagh characters (revised; WG2 N3482) (英語)
L2/11-112 Lorna Priest; Jon Coblentz (21 April 2011), Documenting a fallback glyph for Tifinagh Consonant Joiner (英語)
6.1 U+2D66..2D67 2 L2/10-096 Paul Anderson (15 April 2010), Proposal to add two Tifinagh characters for vowels in Tuareg language variants (英語)
L2/10-270 Paul Anderson (30 July 2010), Proposal to add two Tifinagh characters for vowels in Tuareg language variants (supersedes L2/10-096; WG2 N3870) (英語)
  1. ^ 提案されたコードポイントと文字の名前は、最終決定と異なる場合がある。

出典

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  1. ^ a b Paul Anderson (2010年4月15日). “Proposal to add two Tifinagh characters for vowels in Tuareg language variants” (英語). Unicode. 2024年12月17日閲覧。
  2. ^ a b Lorna Priest; Jon Coblentz (2008年7月28日). “Proposal to encode additional Tifinagh characters (revised; WG2 N3482)” (英語). Unicode. 2024年12月17日閲覧。
  3. ^ a b c d "The Unicode Standard, Version 15.1 - U2D30.pdf" (PDF). The Unicode Standard (英語). 2024年12月17日閲覧

関連項目

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