テラヘルツ顕微鏡
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テラヘルツ顕微鏡(テラヘルツけんびきょう)とはテラヘルツ波により画像を得る顕微鏡の総称。
概要
[編集]一括してテラヘルツ顕微鏡と称するものの、テラヘルツ波を利用するという共通点以外、その撮像原理は大きく異なる。テラヘルツ波は可視光と比較して著しく波長が長いので、そのままでは分解能を高める事ができない。そこで走査型近接場光顕微鏡の概念をテラヘルツ波の帯域にまで拡張する事によって分解能を高める方法と走査型プローブ顕微鏡の手法を適用して分解能を高める手法等がある。
レーザーテラヘルツ放射顕微鏡
[編集]レーザーテラヘルツ放射顕微鏡ではフェムト秒レーザーパルスで走査した半導体素子等の試料から放射されるテラヘルツ波の振幅のマッピングを行う[1]。
パッシブ型テラヘルツ近接場顕微鏡
[編集]散乱型近接場顕微鏡で試料から放射されるテラヘルツ波を検出、画像化する[2][3]。
テラヘルツ波ケミカル顕微鏡
[編集]テラヘルツ波ケミカル顕微鏡ではシリコンチップにレーザーを照射するとキャリアが励起され、シリコン内部の電界で空乏層加速により、テラヘルツ波を放射するのでシリコンチップ表面の化学ポテンシャルの変化を空乏層電界の変化によるテラヘルツ波の強度分布として可視化する[4][5]。
テラヘルツ磁気共鳴力顕微鏡
[編集]テラヘルツ磁気共鳴力顕微鏡は磁気共鳴力顕微鏡の一種でテラヘルツ帯の信号を検出して画像化する[6]。
用途
[編集]- 材料分析
- 化学反応の観察
脚注
[編集]- ^ 山下将嗣, 二川清, 斗内政吉 ほか、「レーザーテラヘルツ放射顕微鏡のLSI故障解析への応用」 『レーザー研究』 2005年 33巻 12号 p.855-859, doi:10.2184/lsj.33.855
- ^ 梶原優介、小坂圭史、小宮山進「散乱型近接場顕微鏡によるテラヘルツ自然放出光の超解像イメージング」『精密工学会学術講演会講演論文集 2010 年度精密工学会春季大会』、公益社団法人 精密工学会、2010年、doi:10.11522/pscjspe.2010S.0.385.0。
- ^ 小宮山進. "テラヘルツ単一光子検出器とパッシブ顕微鏡の開拓." 光学 37.8 (2008): 461-468.
- ^ 斗内政吉. "テラヘルツ波技術が拓く新産業." 光学 38 (2009): 64-71.
- ^ 紀和利彦, 堺健司, 塚田啓二、「産業応用に向けたテラヘルツ波ケミカル顕微鏡の開発」 『農業食料工学会誌』 2014年 76巻 3号 p.218-222, doi:10.11357/jsamfe.76.3_218
- ^ 戸田充, 光藤誠太郎, 印牧知廣「サブテラヘルツ磁気共鳴力顕微鏡の開発」『遠赤外領域開発研究 : 福井大学遠赤外領域開発研究センター研究成果報告書』第9巻、福井大学遠赤外領域開発研究センター、2007年、150-164頁、hdl:10098/1806。
参考文献
[編集]- 梶原優介、「パッシブ型テラヘルツ近接場顕微鏡の開発」 『精密工学会学術講演会講演論文集』 2014年度精密工学会春季大会 セッションID:H66, doi:10.11522/pscjspe.2014S.0_619、公益社団法人精密工学会
- 梶原優介, 林冠廷, 金鮮美, 小宮山進、「パッシブかつナノスケールなTHz顕微技術」 『生産研究』 2013年 65巻 6号 p.811-815, doi:10.11188/seisankenkyu.65.811
- 紀和利彦. "テラヘルツ波ケミカル顕微鏡の開発とケミカルセンサへの応用." Chemical sensors 32.1 (2016): 2-7, NAID 40020817589