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デュートリオンビーム送電システム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

デュートリオンビーム送電システム(デュートリオンビームそうでんシステム)はテレビアニメ機動戦士ガンダムSEED DESTINY』に登場する架空の科学技術。

作中の設定

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SEED』での戦争の終期には、ニュートロンジャマーキャンセラーの登場によって再びMSに核動力の搭載が可能となったが、停戦後に結ばれたユニウス条約によって使用が禁止され、再び核動力は使用できなくなった[1]。また、MSの兵装や本体性能が向上する中で、バッテリーの容量アップは追いつかない状況下にあり、その解決策は早急に必要となる。こうした状況の中で核動力を用いずMSの活動時間を延長させるための方法としてザフトによって開発された電力供給(または再充電)システムである[1]

技術的なルーツはザフトにおけるソーラーセイルジェネシスの開発研究とされる[2][注 1]。デュートリオンビーム送電システムを使用すると、母艦から特殊粒子線(デュートリオンビーム)を照射することでそれを受信したMSに電力が再充電される(再充電は数十秒で行われる)[6][注 2]

その原理の詳細は明らかにされていない。小説版においては、デュートリオンビームを受信する際は艦からの測的追尾システムによって機体は捕捉されデュートリオン加速器によって指向性を高くしたビームを対象となる機体の受信装置(パワーレシーバー)に照射することでM2型コンバータが作動、電力に変換されパワーアキュムレイターに蓄えられるとしている[7]。一方で、デュートリオンビーム送電システムとはニュートロンジャマー下で阻害されないデュートリオン放射によって局所的なペタトロン崩壊が発生し電力へと相互変換されるとした資料も存在する[1]。また、作中世界観の用語である「M2コンバータ」に関しては、セカンドステージMSの額部に存在する受信部・変換器のことで、ここにデュートリオンビームが受信されるとエネルギー変換が発生し、その働きによってビームはMSの動力エネルギーへと変換されるとしている[8]

作中での使用例
このシステムは、G.U.N.D.A.M.Generation Unrestricted Network Drive Assault Module=無制限のネットワーク駆動世代の強襲モジュール)というOSが搭載された、ザフトが開発したインパルスカオスアビスガイアセイバーの5機と、戦艦ミネルバに採用された。
作中ではインパルスが第12話と第28話、第49話[注 3]で三度使用したのみで、残りの4機が使用することはなかった。

ハイパーデュートリオンエンジン

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CE73年からの大戦において、幾つかの高性能MSに採用されたハイブリッドエンジン。

従来型核エンジンと比較し、小型化かつ高出力化したウルトラ・コンパクト・ニュークリア・リアクター(超小型核原子炉)を採用し[9]、原子炉とともにバッテリーも搭載する[10][11]。また、デュートリオンビーム送電装置も導入。採用機の額部には引き続きデュートリオンビーム受信機も備える[12]。二つのジェネレーターが相互補完し合うために戦闘中のエネルギー切れが発生する事はなく[13][注 4]、従来型核エンジンの数倍の出力を発揮する[14]。ただし、いずれの機体も作中においてデュートリオンビームを用いて充電を行った描写はみられない。

設定上はこの動力を搭載したデスティニーガンダム、レジェンドガンダムには専用のコクピットが用意されており、通常モードとハイパーモードの二種類に機体出力を調整可能であったとされている[15]

デュートリオンビーム送電システムが採用されている機体・軍艦

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類似技術

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シビリアンアストレイに搭載された電磁推進システムは改造することで、エネルギー受信システムに改造でき、後方の支援機からパワー供給を受けることができる[16]。また、ターンデルタに採用されたヴォワチュール・リュミエールは、同システムが持つ空間構造の干渉を利用する事で他の同システムを持つデルタアストレイと遠隔で送受信することができ、そのパワーを得ることが可能である[17]

また、『VS ASTRAY』の時代のマガノイクタチは、非接触でエリア内の敵機と自機のバッテリーを擬似的に連結し、強制放電させた電力を自機のバッテリーに吸収できる。

備考

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送電線を用いない電力供給技術としては、1960年代から提唱された宇宙太陽光発電が存在する。ガンダムシリーズにおいては1979年の第1作「機動戦士ガンダム」の設定においても同様の設備が存在し、宇宙の太陽光発電装置によって産出した電力をマイクロウェーブによって地上へと送る事で、地球圏のエネルギー源となっている[18]。一方で、デュートリオンビーム送電システムの場合は母艦の電力をビームとして機体へと照射するものとなっている[19]。また、1990年制作のOVA「機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY」には推進レーザーと呼ばれるものが登場し、月面の施設から照射する事で軍艦などにエネルギーを供給しているが、劇中の描写では電力ではなく推進剤を供給している。

脚注

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注釈

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  1. ^ 元々、ジェネシスはソーラーセイルを加速させるレーザー発振器として開発されていた[3]。しかし、作中ではソーラーセイルと連動した運用はなされておらず、推進剤を燃焼させるレーザー加速ライトクラフト・プロパルジョンを導入している。[4]。デュートリオンビーム送電システムの着想は、ジェネシスαとライトクラフト・プロパルジョンから得られたものである[5]
  2. ^ 実弾や推進剤などは当然着艦しなければ補充できない。しかし、SEEDシリーズ劇中では実弾の弾切れや推進剤切れといった描写が存在しない。
  3. ^ ルナマリア登場時の口頭のみで、充電描写はされなかった
  4. ^ アニメーション『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』第42話においては、デスティニーのコクピット内に存在する計器類が戦闘中にエネルギー残量を低下させた描写が見られる。この描写は同アニメ『スペシャルエディションIII 運命の業火』では改変され、デスティニーがミネルバに帰還するのみに留まる。

出典

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  1. ^ a b c 森田繁「分離式機動コクピット・動力性能実証型モビルスーツ ザクスブレンダー」『機動戦士ガンダムSEED DESTINYモデル VOL.2 DESTINY MSV編』ホビージャパン、2006年3月31日初版発行、109頁。(ISBN 4-89425-415-8)
  2. ^ 『データコレクション18 機動戦士ガンダムSEED 下巻』メディアワークス 2004年11月15日初版発行 76頁。(ISBN 9784840228671)
  3. ^ 「機動戦士ガンダムSEED オフィシャルファイル メカ編vol.4」講談社 2003年11月27日初版発行 18-19頁。(ISBN 4-06-334808-3)
  4. ^ 「機動戦士ガンダムSEED ASTRAY R」第4巻 角川コミックス・エース 2004年8月、186-187頁。(ISBN 978-4047136595)
  5. ^ 「1/100 MG フォースインパルスガンダム」バンダイ 2008年5月発売 取扱説明書
  6. ^ 『機動戦士ガンダムSEED DESTINY MSエンサイクロペディア』一迅社 2008年11月15日初版発行 36頁。(ISBN 978-4-7580-1126-6)
  7. ^ 後藤リウ「機動戦士ガンダムSEED DESTINY 1 怒れる瞳」角川スニーカー文庫 2005年3月1日初版発行 437-440頁。(ISBN 4-04-429108-X)
  8. ^ 『週刊ガンダム・ファクトファイル 第111号』デアゴスティーニ・ジャパン、2006年12月5日、11頁。
  9. ^ 「PG 1/60 ストライクフリーダムガンダム」バンダイ 2010年12月発売 組立説明書
  10. ^ 『パーフェクトアーカイブス 機動戦士ガンダムSEED DESTINY』竹書房 2006年5月 32-33頁。(ISBN 978-4812426876)
  11. ^ 『グレートメカニック18』双葉社、2005年9月、70-71頁。ISBN 978-4575464283
  12. ^ 「機動戦士ガンダムSEED DESTINYモデル VOL.2 DESTINY MSV編」ホビージャパン 2006年3月31日初版発行 127頁。(ISBN 4-89425-415-8)
  13. ^ 『パーフェクトアーカイブス 機動戦士ガンダムSEED DESTINY』竹書房 2006年5月 168-170頁。(ISBN 978-4812426876)
  14. ^ 「HG 1/144 レジェンドガンダム」バンダイ 2005年10月 組立説明書
  15. ^ 『週刊ガンダム ファクト・ファイル 第147号』デアゴスティーニ・ジャパン、2007年8月8日、2-6頁。
  16. ^ 「機動戦士ガンダムSEED FRAME ASTRAYSスペシャルエディション」メディアワークス 2009年2月 (ISBN 9784048676298)
  17. ^ 機動戦士ガンダムSEED C.E.73 DELTA ASTRAY 公式 セトナのなぜなに質問箱 第9回
  18. ^ 「機動戦士ガンダム宇宙世紀 vol.2 大事典編」ラポート、1998年9月、188頁。(ISBN 4-89799-294-X)
  19. ^ 「HG 1/144 フォースインパルスガンダム」バンダイ 2004年10月発売 組立説明書

関連項目

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