デリー級駆逐艦
デリー級駆逐艦 | ||
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艦級概観 | ||
艦種 | 駆逐艦 (ミサイル駆逐艦) | |
建造期間 | 1992年 - 1995年 | |
就役期間 | 1997年 - 就役中 | |
前級 | 61ME型 (ラージプート級) | |
次級 | 15A型 (コルカタ級) | |
性能諸元 | ||
排水量 | 満載:6,700トン | |
全長 | 163.00 m | |
全幅 | 17.40 m | |
吃水 | 6.5 m | |
機関 | COGAG方式 | |
DT-59ガスタービンエンジン(16,000hp) | 4基 | |
可変ピッチ・プロペラ | 2軸 | |
速力 | 最大32ノット | |
航続距離 | 5,000海里 (18kt巡航時) | |
乗員 | 360名(士官40名) | |
兵装 | AK-100 100mm単装砲(就役時) オート・メラーラ 76 mm スーパー・ラピッド砲(近代化改装後) |
1基 |
AK-630 30mmCIWS | 2基 | |
3S90ミサイル単装発射機 (9M38/9M38M2 SAM用) |
2基 | |
バラク1短SAM VLS (8セル) | 4基 | |
3M24 SSM 4連装発射機KT-184(就役時) | 4基 | |
ブラモス巡航ミサイル 4連装発射機(近代化改装後、デリー、ムンバイのみ) | 2基 | |
RBU-6000対潜ロケット砲 | 2基 | |
533mm5連装魚雷発射管 (SET-65E対潜魚雷または53-65型対水上魚雷) |
1基 | |
艦載機 | シーキング ヘリコプター | 2機 |
C4I | IPN-10戦術情報処理装置 | |
レーダー | フレガートMAE 3次元式 | 1基 |
バーラト RAWL-02 対空捜索用 | 1基 | |
ガルプン 対水上捜索用 | 1基 | |
MR-212/201 ヴァイガーチ-U 航海用 | 3基 | |
MR-90 管制用 | 6基 | |
MR-184 管制用 | 1基 | |
MR-123-02(D-62)またはEL/M-2221 STGR 管制用(D-61、D-60) | 2基 | |
ソナー | HUMVADあるいはスフェリオン | 1基 |
電子戦・ 対抗手段 |
アジャンタ電波探知装置 | |
TQN-2電波妨害装置 | ||
PK-2 デコイ発射機 | 2基 | |
曳航式対魚雷デコイ装置 |
デリー級駆逐艦 (英語: Delhi-class destroyer) は、インド海軍の駆逐艦(ミサイル駆逐艦)の艦級。インド海軍での計画番号は15型[1][2]。
設計
[編集]設計にあたっては、ロシアのセヴェルノイェ設計局が協力しており、基本構成は、ソビエト連邦から輸入して運用していた61ME型(ラージプート級)をもとに船体を延長するとともに、ゴーダーヴァリ級フリゲートの開発で得られた知見を反映したものとなっている[1]。安定化装置として、非収納式のフィンスタビライザーを装備している。抗堪性に配慮して、船体は6つの区画(citadel)から構成され、それぞれ独立した動力・通信システムを備えている。またNBC(核·生物·化学)兵器に対する防御措置も講じられており、海水による洗浄システムを有する。2番艦以降では、電子機器のオーバーヒート防止の為、空調能力が強化された[2]。
ウクライナ製のDT-59ガスタービンエンジン4基によるCOGAG方式となっており、減速機なども含めたシステムとしてM36Eと称される。「デリー」の海上公試では、機関出力64,000馬力、前進速力32ノット、後進速力13ノットを記録した。なお、アメリカ海軍協会(USNI)ではCODOG機関を搭載している可能性も示唆している[2]。なお、機関配置を反映して煙突は前後2本に分離されており、前部煙突は左舷、後部煙突は右舷に寄せられている[1]。
装備
[編集]C4ISR
[編集]戦術情報処理装置としては、バラト社製のシカリ(Shikari)を搭載するとされる。これはイタリアのAESN社製IPN-10の派生型であり、同時に12目標を追尾して、その内6目標に対処可能とされる[2]。また本級では、全艦に旗艦設備が備えられている[1]。
主センサーとしては、3次元式のフレガートMAEまたはフレガート-M2(NATO名「ハーフ・プレート」)が搭載された。またこれを補完する長距離捜索用の2次元レーダーとして、ゴーダーヴァリ級フリゲートと同様にバーラトRAWL-02も搭載された。艦対艦ミサイルの測的も兼ねて、ガルプン対水上捜索レーダーも搭載されている[1][2]。
ソナーとしては、国産のHUMVADあるいはフランス製のTSM-2633「スフェリオン」のライセンス生産機が搭載されていると言われている。また2番艦では、船底装備ソナーをHUMSAに更新するとともにATAS曳航ソナーを追加装備したという説もある[1][2]。
電波探知装置として搭載されたアジャンタ(Ajanta)は、エレットロニカ社のINS-3の派生型と言われている[2]。
武器システム
[編集]防空システムは、当初はロシア海軍の956型艦隊水雷艇(ソヴレメンヌイ級)とほぼ同構成とされており、艦隊防空用として3K90「ウラガーン」艦隊防空ミサイル・システム(後に発展型の「シュチーリ」に更新)、近接防空用としてAK-630 CIWSを搭載していた。ウラガーン・システムの配置もソヴレメンヌイ級とほぼ同様で、艦の前後に3S-90単装発射機を各1基備え、6基のOP-3(「フロント・ドーム」)火器管制レーダーの指揮を受ける。AK-630ガトリング砲は当初、両舷に各2基、合計で4基を搭載し、それぞれ2基のMR-123-02管制用レーダーにより管制されていた。その後、2003年から2006年にかけて、4基のAK-630のうち2基をバラク1個艦防空ミサイルのVLSと換装する改修が行われており、これと合わせて、火器管制レーダーも2基をMR-123-02からEL/M-2221 STGRへ換装している[2]。
艦対艦ミサイルとしては、当初は超音速の3M80「モスキート」の搭載を検討したものの、これは断念された。大型のブラストデフレクターはその名残であるといわれている。結局、より小型軽量の3M24E艦対艦ミサイルが採用され、KT-184 4連装発射機4基が搭載された。これは、インド海軍にとっては本級が初度装備であり、その後、ブラマプトラ級フリゲートやコーラ級コルベットなどにも搭載されている。2023年の近代化改装で、デリーとムンバイは3M24Eをブラモス巡航ミサイルに換装し、4連装発射機を搭載した。
対潜兵器としては、RBU-6000対潜迫撃砲 2基を艦橋前に装備している。また前部煙突直後に搭載された533mm口径の5連装魚雷発射管は、対潜用のSET-65Eと対艦用の53-65のいずれも使用できる。
主砲は、ロシア製のAK-100 100mm単装砲を1門搭載した。2023年の近代化改装で、AK-100はステルス砲塔のオート・メラーラ 76 mm スーパー・ラピッド砲に換装された。
艦載機
[編集]船体後部のヘリコプター甲板には、着艦拘束装置としてハープーン・グリッド・システムを備える。哨戒ヘリコプターは、シーキングヘリコプターまたはHAL ドゥルーブを2機搭載する。
同型艦
[編集]# | 艦名 | 起工 | 進水 | 就役 |
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D61 | デリー INS Delhi |
1992年 12月12日 |
1995年 3月20日 |
1997年 11月15日 |
D60 | マイソール INS Mysore |
1991年 2月2日 |
1993年 6月4日 |
1999年 6月2日 |
D62 | ムンバイ INS Mumbai |
1992年 12月12日 |
1995年 3月20日 |
2001年 1月22日 |
参考文献
[編集]- ^ a b c d e f Stephen Saunders, ed (2009). Jane's Fighting Ships 2009-2010. Janes Information Group. pp. 332-333. ISBN 978-0710628886
- ^ a b c d e f g h Eric Wertheim (2013). The Naval Institute Guide to Combat Fleets of the World, 16th Edition. Naval Institute Press. pp. 275-276. ISBN 978-1591149545