トゲネズミ属
トゲネズミ属 | |||||||||||||||||||||||||||
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分類 | |||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||
Tokudaia Kuroda[1], 1943 | |||||||||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||||||||
トゲネズミ | |||||||||||||||||||||||||||
種 | |||||||||||||||||||||||||||
トゲネズミ属(トゲネズミぞく、棘鼠属、学名:Tokudaia)は、南西諸島に生息する齧歯類の1属で、3種が確認されている。いずれの種も日本固有種である。トゲネズミと総称する。
かつてはトゲネズミ Tokudaia osimensis 1種のみを認めることが多かったが、2001年以降3種に分類できることが明らかになった。
概要
[編集]和名の由来の通り、約2センチメートルの針状毛を持つ。森林性のネズミで、自然度の高い広葉樹林(シイ林)に生息する。雑食性でスダジイやマテバシイなどの実、サツマイモ、アリや昆虫などを食べる。またオキナワトゲネズミは飼育下でキノボリトカゲやリュウキュウアカガエルなどを食べた例もある[2]。繁殖期は10-12月頃で、一腹仔数はアマミトゲネズミで1-7頭、オキナワトゲネズミで5-10頭である。生息地では、フイリマングースやノネコ、ノイヌにより捕食されており、絶滅が懸念されている。
近縁な属としては、マーガレットネズミ属 Margaretamys と 化石属の Parapodemys が考えられている。
分類史
[編集]トゲネズミ属は、1943年に沖縄島でも発見されて以来、トゲネズミ Tokudaia osimensis 1種を認め、それをアマミトゲネズミ T. o. osimensis と オキナワトゲネズミ T. o. muenninki の2亜種に分類することが主流だった[3]。またそのほかに、未記載の亜種 T. o. ssp. も報告されていた。日本の天然記念物でもトゲネズミとして指定されている。
しかし、2001年、Sutou らにより、身体特徴・染色体構成・性決定法から、これらが3種に分類できることが明らかになった[4]。2つの亜種が別種であることは、同年金子之史によっても確認された [5]。
第3の種は、2006年に、遠藤らによりトクノシマトゲネズミ Tokudaia tokunoshimensis として記載された[6]。
種
[編集]3種は染色体数及び性染色体の型が異なる。また、全種が日本の天然記念物に指定されている(1972年指定)。
- アマミトゲネズミ Tokudaia osimensis (Abe, 1934)、Amami spiny rat, Ryukyu Spiny Rat
- 奄美大島にのみ生息する。染色体数2n=25。性染色体XO型。オキナワトゲネズミよりも小型である。
- ENDANGERED (IUCN Red List Ver. 3.1 (2001))
- 絶滅危惧IB類 (EN)(環境省レッドリスト)
- 鹿児島県版レッドデータブック - 絶滅危惧I類
- オキナワトゲネズミ Tokudaia muenninki Johnson, 1946、Okinawa spiny rat, Muennink's Spiny Rat
- 沖縄本島北部にのみ生息する。染色体数2n=44。性染色体XY型。
- CRITICALLY ENDANGERED (IUCN Red List Ver. 3.1 (2001))
- 絶滅危惧IA類 (CR)(環境省レッドリスト)
- 沖縄版レッドデータブック - 絶滅危惧IA類
- トクノシマトゲネズミ Tokudaia tokunoshimensis Endo & Tsuchiya, 2006
- 徳之島にのみ生息する。染色体数2n=45。性染色体XO型。他の2種と比べ、体が一回り大きい。また頭骨の形状が異なる。
- ENDANGERED (IUCN Red List Ver. 3.1 (2001))
- 絶滅危惧IB類 (EN)(環境省レッドリスト)
その他の「トゲネズミ」
[編集]学術的にトゲネズミと呼ばれるのはこの属だけだが、他にも「○○トゲネズミ」と呼ばれる種があり、ペット業界などではこれらを単にトゲネズミと呼ぶことがある。
それらは以下の属に分類されている。
- ネズミ科 Muridae
- アメリカトゲネズミ科 Echimyidae
- フクロウトゲネズミ属 Carterodon
- アナホリトゲネズミ属 Clyomys
- コロコロトゲネズミ属 Dactylomys
- ヤワゲトゲネズミ属 Diplomys
- キノボリトゲネズミ属 Echimys
- グイラトゲネズミ属 Euryzygomatomys
- ヨロイトゲネズミ属 Hoplomys
- トロトゲネズミ属 Isothrix
- ユビブトトゲネズミ属 Kannabateomys
- フサオトゲネズミ属 Lonchothrix
- ヨロイキノボリトゲネズミ属 Makalala
- モリトゲネズミ属 Mesomys
- ギアナトゲネズミ属 Proechimys
- イノシシトゲネズミ属 Thrichomys
- キスジトゲネズミ属 Thrinacodus
脚注
[編集]- ^ 黒田長礼(1889-1978)鳥類学者 もしくは 黒田徳米(1886-1987)貝類学者
- ^ 阿部永監修、阿部永・石井信夫・伊藤徹魯・金子之史・前田喜四雄・三浦慎吾・米田政明著、財団法人自然環境研究センター編 『日本の哺乳類【改訂2版】』 東海大学出版会、2008年、133頁、ISBN 978-4-486-01802-5。
- ^ 金子之史・村上興正 1996 日本産の齧歯類(野鼠および家鼠)の分類学史的検討.哺乳類科学 36(1):109-128.
- ^ Sutou, S.; et al. (2001), “Sex determination without the Y Chromosome in two Japanese rodents Tokudaia osimensis osimensis and Tokudaia osimensis spp.”, Mammalian Genome 12 (1): 17-21
- ^ Kaneko, Y. (2001), “Morphological discrimination of the Ryukyu spiny rat (genus Tokudaia) between the islandsof Okinawa and Amami Oshima, in the Ryukyu Islands, southern Japan”, Mammal Study 26: 17-33
- ^ Endo, Hideki; Tsuchiya, Kimiyuki (2006), “A new species of Ryukyu spiny rat, Tokudaia (Muridae: Rodentia), from Tokunoshima Island, Kagoshima Prefecture, Japan”, Mammal Study 31: 47-57
参考文献
[編集]- 阿部永監修、阿部永・石井信夫・伊藤徹魯・金子之史・前田喜四雄・三浦慎悟・米田政明著、財団法人自然環境研究センター編 『日本の哺乳類【改訂2版】』 東海大学出版会、2008年、132-133頁、ISBN 978-4-486-01802-5。
- 阿部慎太郎 「アマミトゲネズミ」 『鹿児島県の絶滅のおそれのある野生動植物 -鹿児島県レッドデータブック動物編-』 鹿児島県環境生活部環境保護課 編、財団法人鹿児島県環境技術協会、2003年、22頁、ISBN 4-9901588-0-6。
- 伊澤雅子 「オキナワトゲネズミ」 『改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物(動物編) -レッドデータおきなわ-』、沖縄県文化環境部自然保護課編、2005年、23-24頁。