トフェルセン
臨床データ | |
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販売名 | Qalsody |
ライセンス | US Daily Med:リンク |
法的規制 | |
識別 | |
CAS番号 | 2088232-70-4 |
ATCコード | None |
DrugBank | DB14782 |
UNII | 2NU6F9601K |
KEGG | D11811 |
化学的データ | |
化学式 | C230H317N72O123P19S15 |
分子量 | 7,127.85 g·mol−1 |
トフェルセン(英: Tofersen、商品名:Qalsody)は、アメリカの製薬会社バイオジェンが開発した筋萎縮性側索硬化症(ALS)の治療薬のこと[2]。 トフェルセンは、スーパーオキシド ジスムターゼ1 (SOD1)の生成を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドであり、SOD1は、その変異型がALSに関連しており、トフェルセンはSOD1遺伝子に働きかける核酸医薬である[3]。
2023年4月25日に米国で医療使用が承認された[2]。日本においてはバイオジェンの日本法人により2024年5月21日に厚生労働省に承認申請がなされ、現在審査中である[4]。
ALSの治療薬として、初めての根本的な原因に働きかける薬となる[5]。
医療用途
[編集]トフェルセンは、変異型SOD1遺伝子陽性のALSの患者の治療に用いられる[2]。ALS患者の2%程度がSOD1遺伝子に変異があるタイプであり、トフェルセンはこの遺伝子に働きかける核酸医薬である[3]。
副作用には、疲労、関節痛、脳脊髄の体液性白血球の増加、および筋肉痛が報告されている[2]。
歴史
[編集]イオニス・ファーマシューティカルズ により開発が開始され、バイオジェンにライセンス供与され、バイオジェンと共同開発された[6][7]。トフェルセンの有効性は、ALSで確認されたSOD-1変異に起因する筋力低下を伴う患者に対して、ランダム化比較試験で評価された。この研究では、参加者108名を2:1の比率で無作為に割り当て、トフェルセン100mg (n=72) またはプラセボ (n=36) による治療を24週間行った(負荷投与量を3回、その後に維持用量を5回)。参加者は女性43%、男性57%であった。白人が64%、アジア人が8%で参加者の平均年齢は49.8歳 (23歳から73歳の範囲) であった。
年表
[編集]- 2020年
- 7月8日 - バイオジェンは、トフェルセンのP1/2相試験の結果を発表、論文誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に掲載された[8]。髄液中のSOD1タンパク質の濃度のベースラインからの変化量は、トフェルセン100mgによる治療を3か月間にわたり受けた患者(n=10)は、SOD1濃度の36%減少を示したのに対し、プラセボ群(n=12)では3%の減少であった[8]。
- 2021年
- 2022年
- 2023年
- 2024年
- 2月14日 - 武見敬三厚生労働大臣(当時)が衆議院予算委員会において「トフェルセンについては、企業から承認申請がなされた場合にはPMDAにおいて迅速に審査を進め、有効性・安全性が確認されれば速やかに承認してまいりたいと思います。」との答弁[12]。
- 2月23日 - バイオジェンは、欧州医薬品庁(EMA)の医薬品委員会(CHMP)がトフェルセンについて、特例的な状況下での販売承認を推奨する肯定的見解を採択したと発表[13][14]。
- 3月5日 - 日本ALS協会がバイオジェンに対して「人道的見地から実施される治験(拡大治験)」実施の要望書を提出[12]。
- 5月21日 - バイオジェンが日本の厚生労働省に対してトフェルセンの製造販売承認申請を行った[15][16][17]。バイオジェンによると日本人も参加した最終段階の臨床試験では、トフェルセンを投与したグループで神経損傷で生じる血液中の物質が減少していた[16]。
- 6月4日、欧州医薬品庁(EMA)の医薬品委員会(CHMP)がトフェルセンの販売を承認[18]。
脚注
[編集]- ^ “QALSODY (tofersen) injection, for intrathecal use”. Biogen MA Inc.. U.S. Food and Drug Administration. 25 April 2023時点のオリジナルよりアーカイブ。26 April 2023閲覧。
- ^ a b c d e "FDA approves treatment of amyotrophic lateral sclerosis associated with a mutation in the SOD1 gene" (Press release). U.S. Food and Drug Administration (FDA). 25 April 2023. 2023年4月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年4月25日閲覧。 この記述には、アメリカ合衆国内でパブリックドメインとなっている記述を含む。
- ^ a b c “難病ALSの薬、遺伝子に働きかける新タイプ 米FDAが迅速承認:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル. 朝日新聞社 (2023年4月26日). 2023年6月9日閲覧。
- ^ “ALSのうち遺伝子に変異ある患者対象の新薬 承認申請 | NHK”. NHKニュース. 日本放送協会 (2024年5月21日). 2024年5月24日閲覧。
- ^ “アメリカで難病ALS=筋萎縮性側索硬化症の治療薬を承認 | NHK”. NHKニュース. 日本放送協会 (2023年4月26日). 2023年6月9日閲覧。
- ^ Liu, Angus (1 May 2019). “Biogen's antisense ALS drug shows promise in early clinical trial”. FierceBiotech. オリジナルの2 February 2023時点におけるアーカイブ。 25 April 2023閲覧。
- ^ Langreth, Robert (22 March 2023). “Biogen's ALS Drug Gets Partial Backing From FDA Panel”. Bloomberg News 25 April 2023閲覧。
- ^ a b “SOD1異常ALSに対するトフェルセンのP1/2試験、良好な結果-バイオジェン”. QLifePro. 株式会社キューライフ (2020年7月15日). 2023年6月16日閲覧。
- ^ a b “2021年10月20日 バイオジェン、SOD1-ALSを対象とするtofersenの第III相臨床試験およびオープンラベル延長試験のトップライン結果を発表”. www.biogen.co.jp. バイオジェン (2021年10月20日). 2023年6月16日閲覧。
- ^ “2022年07月29日 FDAがバイオジェンの希少な遺伝性ALSを対象とした治療薬候補の新薬承認申請を受理、優先審査に指定”. www.biogen.co.jp. バイオジェン (2022年7月26日). 2023年6月16日閲覧。
- ^ a b c “難病ALSの新薬、独自投与へ 進行速い患者に、東京医科歯科大:東京新聞 TOKYO Web”. 東京新聞 TOKYO Web. 中日新聞東京本社 (2023年5月26日). 2023年6月9日閲覧。
- ^ a b “SOD1-ALS治療薬トフェルセンの「人道的見地から実施される治験(拡大治験)」実施の要望書 を製薬会社に提出しました。”. JALSA / 日本ALS協会. 日本ALS協会 (2024年3月5日). 2024年3月26日閲覧。
- ^ “バイオジェンのQALSODY® (トフェルセン)、希少な遺伝型のALSに対する初の治療薬としてCHMPが肯定的見解を採択”. www.biogen.co.jp. バイオジェン (2024年2月27日). 2024年2月27日閲覧。
- ^ “バイオジェンのALS治療薬、欧州で承認へ”. 日刊薬業 - 医薬品産業の総合情報サイト. 株式会社じほう (2024年2月28日). 2024年2月27日閲覧。
- ^ “バイオジェンのトフェルセン、希少な遺伝型のSOD1-ALSに対する治療薬として国内で承認申請を提出”. www.biogen.co.jp. バイオジェン (2024年5月21日). 2024年5月24日閲覧。
- ^ a b “ALS治療薬「トフェルセン」、承認申請…遺伝子の働きに作用する薬は国内初”. 読売新聞オンライン. 読売新聞社 (2024年5月21日). 2024年5月24日閲覧。
- ^ “バイオジェンのトフェルセン、希少な遺伝型のSOD1-ALSに対する治療薬として国内で承認申請を提出”. 日経バイオテクONLINE. 日本経済新聞社. 2024年5月24日閲覧。
- ^ “遺伝性ALS薬トフェルセン、欧州でも承認 バイオジェン”. 日刊薬業 - 医薬品産業の総合情報サイト. 株式会社じほう (2024年6月12日). 2024年6月11日閲覧。