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トラムリンク (路面電車車両)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
トラムリンク
フォスロ・トラムリンク
イノトランスで展示されロストック市電向け車両(2014年撮影)
基本情報
製造所 フォスロ・キーペ英語版シュタッドラー・レール
製造年 2011年 -
主要諸元
編成 5車体・7車体連接車
編成定員 5車体連接車 200 - 215人
7車体連接車 255 - 300人
全長 5車体連接車 28,000 - 35,200 mm
7車体連接車 37,800 - 47,500 mm
全幅 2,300 - 2,650 mm
備考 主要数値は[1][2][3][4][5]に基づく。
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トラムリンク(Tramlink)は、スイスの鉄道車両メーカーであるシュタッドラー・レールが展開する、車内全体が低床構造となっている路面電車車両2016年以前はドイツフォスロ・キーペ英語版による展開が行われており、ブランド名もフォスロ・トラムリンク(Vossloh Tramlink)であった。2020年現在、ドイツオーストリアを始めとした世界各地の路面電車に導入されている[1][6][7]

概要

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中間に台車が存在しないフローティング車体を挟んだ、連接式の路面電車車両。車体は欧州連合の鉄道における安全基準であるEN 15227に対応した構造となっており、前面下部にはクラッシャブルゾーンが配置されている。台車はメンテナンスの容易さや曲線走行時の安定性、強度などの利点が多い車軸付き台車が用いられ[注釈 1]主電動機は各車軸の外側、片側の車輪の上部に1基、1つの台車につき2基搭載されている。そのため床上高さは台車の有無によって異なり、存在しない箇所は360 mm、存在する箇所は450 mmとなっているが、双方は緩やかな傾斜によって結ばれているため車内に段差は存在しない。また、車輪については直径600 mmの弾性車輪が用いられ、騒音の抑制が図られている。[1][2][8]

車内の座席はクロスシートを基本としており、車輪が車体部分にはみ出す箇所を覆うように配置されている。この座席配置を含め、乗降扉の位置、編成(3車体、5車体、7車体)、車体寸法、更には架線レス区間への対応などトラムリンクは様々な需要に対応可能なモジュール構造を採用しているのが特徴の1つである[1][2][9]

開発以降はフォスログループの子会社であるフォスロ・キーペ英語版による展開が行われていたが、2016年に同社の鉄道車両製造部門がスイスシュタッドラー・レールへ売却された事で同社の路面電車車両ブランドの1つとなっている。また、これに合わせてブランド名も「トラムリンク(Tramlink)」へと短縮されている。製造はスペインバレンシアにある、2016年以前はフォスロが所有していた工場で行われている[1][6][10]

運用・導入都市

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2011年に試作車が製造され、スペイン・バレンシアで試運転が実施された一方、同年には初の導入先となるドイツロストックロストック市電)向けの車両の発注が実施された。これ以降、フォスロ時代はブラジルサントスオーストリアグムンデン向け車両が製造され、シュタッドラーのブランドになって以降もスイスイタリア等更に販売網を広げ続けている。2020年時点でトラムリンクが使用されている都市、および今後導入が決定している都市は以下の通りである[1][2][6][7]

トラムリンク 導入都市一覧
都市 製造企業 編成 運転台 両数 軌間 備考・参考
ドイツ ロストック
(ロストック市電)
フォスロ・キーペ 5車体連接車 片運転台 13両 1,435mm [11]
エアフルト
(エアフルト市電)
シュタッドラー 7車体連接車 片運転台 14両(予定) 1,000mm [12][13]
アウクスブルク
(アウクスブルク市電)
シュタッドラー 7車体連接車 片運転台 11両(予定) 1,000mm 2024年以降営業運転開始予定[7][14][15]
イェーナ
(イェーナ市電)
シュタッドラー 7車体連接車 両運転台 16両(予定) 1,000mm [16][17][18]
5車体連接車 17両(予定)
ポツダム
(ポツダム市電)
シュタッドラー 7車体連接車 片運転台 10両(予定) 1,000mm 2024年以降導入予定[19]
イタリア ミラノ
(ミラノ市電イタリア語版)
シュタッドラー 5車体連接車 両運転台 80両(予定) 1,445mm [6]
オーストリア グムンデン
(グムンデン市電)
フォスロ・キーペ 5車体連接車 両運転台 13両 1,000mm [20]
スイス ルガーノ
(ルガーノ・ポンタ・トレサ鉄道イタリア語版)
シュタッドラー 7車体連接車 両運転台 9両(予定) 1,000mm [21]
バーゼル
(ヴァルデンブルク鉄道)
シュタッドラー 7車体連接車 両運転台 18両(予定) 1,000mm 自動列車運転装置(ATO)に対応[22]
チューリッヒ
(リムマタルバーンドイツ語版)
シュタッドラー 7車体連接車 両運転台 8両(予定) 1,000mm [22]
ベルン
(ベルン市電ドイツ語版)
シュタッドラー 7車体連接車 両運転台 20両(予定) 1,000mm [23][24]
片運転台 7両(予定)
ジュネーヴ
(ジュネーヴ市電フランス語版)
シュタッドラー 7車体連接車 片運転台 38両(予定) 1,000mm 2025年以降営業運転開始予定[25]
ローザンヌ
(ローザンヌ・トラムフランス語版)
シュタッドラー 7車体連接車 両運転台 10両(予定) 1,435mm 2025年以降営業運転開始予定[26][27]
ブラジル サントス
(バイシャーダ・サンティスタ・ライトレールポルトガル語版)
フォスロ・キーペ 7車体連接車 両運転台 22両 1,435mm [28]

関連項目

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脚注

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注釈

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  1. ^ ただし台車に回転軸は存在せず、車体から独立した回転は不可能な構造となっている。

出典

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  1. ^ Mar Rivas 2016, p. 23.
  2. ^ Mar Rivas 2016, p. 24.
  3. ^ Mar Rivas 2016, p. 26.
  4. ^ Mar Rivas 2016, p. 28.
  5. ^ Mar Rivas 2016, p. 27.
  6. ^ Mar Rivas 2016, p. 2.
  7. ^ Stadler Tramlink: The first of 11 new trams reached Augsburg last night”. Urban Transport Magazine (2023年8月3日). 2024年1月19日閲覧。
  8. ^ Die Jenaer Lichtbahn”. Stadtwerke Jena. 2024年1月14日閲覧。
  9. ^ Erik Buch (2024年1月14日). “Jena: Another 9 Stadler TRAMLINKs to come”. Urban Transport Magazine. 2024年1月14日閲覧。
  10. ^ TRAMLINKs For Potsdam”. Railvolution (2021年12月15日). 2022年4月27日閲覧。
  11. ^ Bern orders Stadler trams”. Railway Gazette International (2019年9月4日). 2020年12月9日閲覧。
  12. ^ BACK TO INDUSTRY NEWSBERN STADLER TRAMLINK ENTER SERVICE”. mainspring (2023年10月30日). 2023年11月1日閲覧。
  13. ^ Libor Hinčica (2022年7月9日). “Stadler ovládl soutěž na až 63 tramvají pro Ženevu”. Československý Dopravák. 2022年7月10日閲覧。
  14. ^ Tram Lausanne-Renens: les travaux démarrent”. swissinfo.ch (2021年8月24日). 2022年11月21日閲覧。
  15. ^ Stadler signs tram contract with Lausanne”. RailwayPro (2021年11月21日). 2022年11月21日閲覧。
  16. ^ Mar Rivas 2016, p. 6.
  17. ^ Mar Rivas 2016, p. 15.
  18. ^ 鹿島雅美「ドイツの路面電車全都市を巡る 2」『鉄道ファン』第46巻第1号、交友社、2006年1月1日、160-163頁。 
  19. ^ Variobahn”. Stadler. 2020年12月9日閲覧。

参考資料

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  • Mar Rivas (2016年4月5日). TramLink und CityLink Familien – die neue Generation von Strassenbahnen und Stadtbahnen (PDF) (Report). Stadler Rail. 2020年12月9日閲覧

外部リンク

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