トラムリンク (路面電車車両)
トラムリンク フォスロ・トラムリンク | |
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基本情報 | |
製造所 | フォスロ・キーペ→シュタッドラー・レール |
製造年 | 2011年 - |
主要諸元 | |
編成 | 5車体・7車体連接車 |
編成定員 |
5車体連接車 200 - 215人 7車体連接車 255 - 300人 |
全長 |
5車体連接車 28,000 - 35,200 mm 7車体連接車 37,800 - 47,500 mm |
全幅 | 2,300 - 2,650 mm |
備考 | 主要数値は[1][2][3][4][5]に基づく。 |
トラムリンク(Tramlink)は、スイスの鉄道車両メーカーであるシュタッドラー・レールが展開する、車内全体が低床構造となっている路面電車車両。2016年以前はドイツのフォスロ・キーペによる展開が行われており、ブランド名もフォスロ・トラムリンク(Vossloh Tramlink)であった。2020年現在、ドイツ、オーストリアを始めとした世界各地の路面電車に導入されている[1][6][7]。
概要
[編集]中間に台車が存在しないフローティング車体を挟んだ、連接式の路面電車車両。車体は欧州連合の鉄道における安全基準であるEN 15227に対応した構造となっており、前面下部にはクラッシャブルゾーンが配置されている。台車はメンテナンスの容易さや曲線走行時の安定性、強度などの利点が多い車軸付き台車が用いられ[注釈 1]、主電動機は各車軸の外側、片側の車輪の上部に1基、1つの台車につき2基搭載されている。そのため床上高さは台車の有無によって異なり、存在しない箇所は360 mm、存在する箇所は450 mmとなっているが、双方は緩やかな傾斜によって結ばれているため車内に段差は存在しない。また、車輪については直径600 mmの弾性車輪が用いられ、騒音の抑制が図られている。[1][2][8]。
車内の座席はクロスシートを基本としており、車輪が車体部分にはみ出す箇所を覆うように配置されている。この座席配置を含め、乗降扉の位置、編成(3車体、5車体、7車体)、車体寸法、更には架線レス区間への対応などトラムリンクは様々な需要に対応可能なモジュール構造を採用しているのが特徴の1つである[1][2][9]。
開発以降はフォスログループの子会社であるフォスロ・キーペによる展開が行われていたが、2016年に同社の鉄道車両製造部門がスイスのシュタッドラー・レールへ売却された事で同社の路面電車車両ブランドの1つとなっている。また、これに合わせてブランド名も「トラムリンク(Tramlink)」へと短縮されている。製造はスペイン・バレンシアにある、2016年以前はフォスロが所有していた工場で行われている[1][6][10]。
運用・導入都市
[編集]2011年に試作車が製造され、スペイン・バレンシアで試運転が実施された一方、同年には初の導入先となるドイツのロストック(ロストック市電)向けの車両の発注が実施された。これ以降、フォスロ時代はブラジルのサントスやオーストリアのグムンデン向け車両が製造され、シュタッドラーのブランドになって以降もスイス、イタリア等更に販売網を広げ続けている。2020年時点でトラムリンクが使用されている都市、および今後導入が決定している都市は以下の通りである[1][2][6][7]。
国 | 都市 | 製造企業 | 編成 | 運転台 | 両数 | 軌間 | 備考・参考 |
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ドイツ | ロストック (ロストック市電) |
フォスロ・キーペ | 5車体連接車 | 片運転台 | 13両 | 1,435mm | [11] |
エアフルト (エアフルト市電) |
シュタッドラー | 7車体連接車 | 片運転台 | 14両(予定) | 1,000mm | [12][13] | |
アウクスブルク (アウクスブルク市電) |
シュタッドラー | 7車体連接車 | 片運転台 | 11両(予定) | 1,000mm | 2024年以降営業運転開始予定[7][14][15] | |
イェーナ (イェーナ市電) |
シュタッドラー | 7車体連接車 | 両運転台 | 16両(予定) | 1,000mm | [16][17][18] | |
5車体連接車 | 17両(予定) | ||||||
ポツダム (ポツダム市電) |
シュタッドラー | 7車体連接車 | 片運転台 | 10両(予定) | 1,000mm | 2024年以降導入予定[19] | |
イタリア | ミラノ (ミラノ市電) |
シュタッドラー | 5車体連接車 | 両運転台 | 80両(予定) | 1,445mm | [6] |
オーストリア | グムンデン (グムンデン市電) |
フォスロ・キーペ | 5車体連接車 | 両運転台 | 13両 | 1,000mm | [20] |
スイス | ルガーノ (ルガーノ・ポンタ・トレサ鉄道) |
シュタッドラー | 7車体連接車 | 両運転台 | 9両(予定) | 1,000mm | [21] |
バーゼル (ヴァルデンブルク鉄道) |
シュタッドラー | 7車体連接車 | 両運転台 | 18両(予定) | 1,000mm | 自動列車運転装置(ATO)に対応[22] | |
チューリッヒ (リムマタルバーン) |
シュタッドラー | 7車体連接車 | 両運転台 | 8両(予定) | 1,000mm | [22] | |
ベルン (ベルン市電) |
シュタッドラー | 7車体連接車 | 両運転台 | 20両(予定) | 1,000mm | [23][24] | |
片運転台 | 7両(予定) | ||||||
ジュネーヴ (ジュネーヴ市電) |
シュタッドラー | 7車体連接車 | 片運転台 | 38両(予定) | 1,000mm | 2025年以降営業運転開始予定[25] | |
ローザンヌ (ローザンヌ・トラム) |
シュタッドラー | 7車体連接車 | 両運転台 | 10両(予定) | 1,435mm | 2025年以降営業運転開始予定[26][27] | |
ブラジル | サントス (バイシャーダ・サンティスタ・ライトレール) |
フォスロ・キーペ | 7車体連接車 | 両運転台 | 22両 | 1,435mm | [28] |
関連項目
[編集]- シティリンク - フォスロ・キーペが開発し、2020年現在はシュタッドラー・レールが展開する、トラムトレインやライトレール向けの電車およびバイモード車両[29][30][31]。
- バリオバーン - トラムリンクと並行してシュタッドラー・レールが展開する超低床電車[32][33]。
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ ただし台車に回転軸は存在せず、車体から独立した回転は不可能な構造となっている。
出典
[編集]- ^ a b c d e f “TRAMLINK”. Stadler Rail. 2020年12月9日閲覧。
- ^ a b c d Ryszard Piech (2011年3月15日). “Vossloh Tramlink – nowa oferta na rynku tramwajowym”. InfoTram. 2020年12月9日閲覧。
- ^ Mar Rivas 2016, p. 23.
- ^ Mar Rivas 2016, p. 24.
- ^ Mar Rivas 2016, p. 26.
- ^ a b c d Mykola Zasiadko (2019年7月12日). “Stadler supplies 80 trams to Milan”. RailTech.com. 2020年12月9日閲覧。
- ^ a b c “Stadler wins Augsburg tram order”. Metro Report International (2019年10月2日). 2020年12月9日閲覧。
- ^ Mar Rivas 2016, p. 28.
- ^ Mar Rivas 2016, p. 27.
- ^ Mar Rivas 2016, p. 2.
- ^ “TRAMLINK LOW-FLOOR LIGHT RAIL VEHICLE Rostocker Strassenbahn AG, Rostock, Germany”. Stadler Rail. 2020年12月9日閲覧。
- ^ “Kiepe Electric to supply electrical equipment for Erfurt transport authority’s new LRVs”. クノールブレムゼ (2019年1月31日). 2020年12月9日閲覧。
- ^ “EVAG Erfurt rolls out first Stadler Tramlink”. Urban Transport Magazine (2021年5月21日). 2018-◎-×閲覧。
- ^ “Stadler wins tender for eleven trams from Stadtwerke Augsburg”. Urban Transport Magazine (2019年10月3日). 2020年12月9日閲覧。
- ^ “Stadler Tramlink: The first of 11 new trams reached Augsburg last night”. Urban Transport Magazine (2023年8月3日). 2024年1月19日閲覧。
- ^ “Stadler wins Jena tram contract”. RAILWAY PRO (2020年8月26日). 2020年12月9日閲覧。
- ^ “Die Jenaer Lichtbahn”. Stadtwerke Jena. 2024年1月14日閲覧。
- ^ Erik Buch (2024年1月14日). “Jena: Another 9 Stadler TRAMLINKs to come”. Urban Transport Magazine. 2024年1月14日閲覧。
- ^ “TRAMLINKs For Potsdam”. Railvolution (2021年12月15日). 2022年4月27日閲覧。
- ^ “TRAMLINK LOW-FLOOR LIGHT RAIL VEHICLE Stern & Hafferl Verkehrsgesellschaft, Gmunden, Austria”. Stadler Rail. 2020年12月9日閲覧。
- ^ “TRAMLINK LOW-FLOOR LIGHTRAIL VEHICLE Ferrovie Luganesi SA, Lugano, Switzerland”. Stadler Rail. 2020年12月9日閲覧。
- ^ a b Keith Barrow (2018年10月23日). “Stadler to supply LRVs for Swiss light rail projects”. International Railway Journal. 2020年12月9日閲覧。
- ^ “Bern orders Stadler trams”. Railway Gazette International (2019年9月4日). 2020年12月9日閲覧。
- ^ “BACK TO INDUSTRY NEWSBERN STADLER TRAMLINK ENTER SERVICE”. mainspring (2023年10月30日). 2023年11月1日閲覧。
- ^ Libor Hinčica (2022年7月9日). “Stadler ovládl soutěž na až 63 tramvají pro Ženevu”. Československý Dopravák. 2022年7月10日閲覧。
- ^ “Tram Lausanne-Renens: les travaux démarrent”. swissinfo.ch (2021年8月24日). 2022年11月21日閲覧。
- ^ “Stadler signs tram contract with Lausanne”. RailwayPro (2021年11月21日). 2022年11月21日閲覧。
- ^ “TRAMLINK LOW-FLOOR LIGHTRAIL VEHICLE EMTU Santos, Brazil”. Stadler Rail. 2020年12月9日閲覧。
- ^ Mar Rivas 2016, p. 6.
- ^ Mar Rivas 2016, p. 15.
- ^ “CITYLINK”. Stadler Rail. 2020年12月9日閲覧。
- ^ 鹿島雅美「ドイツの路面電車全都市を巡る 2」『鉄道ファン』第46巻第1号、交友社、2006年1月1日、160-163頁。
- ^ “Variobahn”. Stadler. 2020年12月9日閲覧。
参考資料
[編集]- Mar Rivas (2016年4月5日). TramLink und CityLink Familien – die neue Generation von Strassenbahnen und Stadtbahnen (PDF) (Report). Stadler Rail. 2020年12月9日閲覧。
外部リンク
[編集]- シュタッドラー・レールの公式ページ”. 2020年12月9日閲覧。 “