ドイツの経済
ドイツの経済 | ||
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ドイツの経済中心「フランクフルト」の写真。町には伝統的なハーフティンバー様式の建築と、現代的な超高層ビルが織り重ねていて、独特の風景になっている。 | ||
通貨 | ユーロ (EUR) | |
会計年度 | 暦年 | |
貿易機関 | EU、WTO、OECD | |
経済統計 | ||
GDP順位 | 3位(2023年) | |
GDP | 3兆6213.6億ドル(2014年、PPP換算) | |
名目GDP | 3兆8204.6億ドル(2014年、GDP換算) | |
実質GDP成長率 | 1.39%(2014年) | |
一人当り名目GDP | 47,200.96ドル(2014年) | |
一人当りGDP購買力平価説|PPP | 44,741.03ドル(2014年) | |
部門別GDP | 農業 (0.9%)、工業 (29.1%)、第三次産業 (70.0%)(2006年) | |
インフレ率 | 1.7%(2006年) | |
貧困層の人口 | 13.7%(2003年) | |
ジニ係数 | 28.3%(2000年) | |
労働人口 | 4070万人(2014年) | |
部門別労働人口 | 農業 (2.8%)、工業 (33.4%)、サービス業 (63.8%)、(2006年) | |
失業者 | - | |
失業率 | 5.98%(2011年) | |
主要製造工業部門 | 鉄、鋼鉄、石炭、セメント、化学製品、機械、自動車部品、食品、電子機器、造船、織物 | |
貿易 | ||
輸出 | 1兆4527.1億ドル (2013年) | |
主な輸出品 | 機械、自動車、化学製品、金属製品、食品、織物 | |
エリア別輸出先 | フランス 10.6%、アメリカ 9.3%、イギリス 8.4%、イタリア 7.4%、オランダ 6.2%、 オーストリア 5.3%、ベルギー 5.1%、スペイン 4.9%、スイス 4.0%(2003年) | |
輸入 | 1兆1888.8億ドル(2013年) | |
主な輸入品 | 機械、自動車、化学製品、食品、織物、金属 | |
エリア別輸入元 | フランス 9.2%、オランダ 8.4%、アメリカ 7.3%、イタリア 6.3%、イギリス 6.0%、ベルギー 4.9%、中国 4.7%、オーストリア 4.0%(2003年) | |
財政状況 | ||
国家借入金 | 1兆9300億ドル(名目GDPの66.8%)(2006年) | |
歳入 | 1兆2770億ドル(2006年) | |
歳出 | 1兆3440億ドル(2006年) | |
経済援助 | 75億ドル(GDPの0.28%)(2004年) |
ドイツの経済(ドイツのけいざい、ドイツ語: Wirtschaft Deutschlands)では、1990年再統一以降のドイツ連邦共和国の経済状況や経済データー・特徴・貿易原理などについて説明している。再統一以前の経済状況についてはドイツ経済史を参考。
百年以上にわたって欧州最大の経済体としての地位を保ち続けていて、世界でもっとも発達しているた経済体の1つである。第一次および第二次世界大戦での敗戦や東西分割をへて、アメリカや中国に次ぐ世界3番目に大きいの経済大国となっており[1][2][3]、2024年からには名目総GDP(国民生産量)が日本を超えている[4][5][6][7][8]。また、PPP(購買力平価)の観点からみると、世界5位の規模となっており、1人当たりGDPの観点からみると、2021年の時点でドイツ国民の生活水準は米ドル換算で欧州第13位、世界第15位となっている[9]。
工業力が非常に強く、人口密度も高いため、世界で5番目に大きな消費国になっており、米国・中国・日本・インドに次いでいる[10]。さまざまな分野では均衡で高度な発展を遂げており、『世界経済フォーラムの世界競争力指数』によれば、2019年には世界141か国中で第7位[11]にランクインし、『経済的自由度の指数』によれば、2021年に180か国中で9位[12]に位置している。
1990年のドイツ再統一後には、ドイツ政府がとくに人間や動物・自然などの幸福権を尊重しはじめ、ドイツ国民へ短い労働時間や優しい労働環境を提供しながら、環境保護と経済発達を両立させて経済活動に展開している[13][14][15][16]。
概要
[編集]近年のドイツ経済は成長期に入り、IMF(国際通貨基金)の『2022年世界GDPランキング』によるとドイツのGDPは4兆3088億5400万米ドルに達しており、世界第3位の日本(4兆4097億3800万米ドル)との差は2.287%となっている[17][18][19][20][21]。日本内閣府の公式サイトによれば、2023年第1四半期の日本のGDPは1兆740億4000万米ドル[22][23][24]であり、それに対してドイツは1兆767億7000万米ドル[25][26][27][28]に達しており、結果としてはドイツは日本を上回っている。
工業の強国というイメージのあるが、現代において最大の経済分野はサービス業(69%)である。それでもドイツはほかの経済大国と比べると第二次産業、つまり工業部門(24%)の割合が多く、世界トップクラスとなっている。とくに競争の激しい自動車・商用車・電気工学・機械工学・化学工業などにおいて、資金・人材・時間を投入し続けることが常態化となり、これによって大きな報酬がドイツ本土に反却している。サービス部門においては、2016年の輸出額の55%を占め、EDP・IT・通信などの産業に集中している[29]。ビジネス関連発明やソフトウェア、再保険を中心とする保険業界の分野では、アメリカに次ぐ世界第2位の市場となっている。
豊富な天然資源を有していて、特に石炭(硬炭と褐炭の両方)、カリウム塩、建築材料、石材、粘土などの所存量はすべて欧州で最大である[30][31]。ルール地方とザール地方は硬炭、ザクセン州とザクセン=アンハルト州は褐炭の主要産地になっており、これらの石炭とその生産によるコークスはドイツの製鉄業や金属加工業へ貢献し、19世紀後半の30年間でドイツは欧州最大の工業国へと急成長する要因となっていた[32][33]。また、2000年以降には風力発電や水力発電などのグリーンエネルギーを国策として重視され、汚染物質の多い化石燃料は徐々に減らしている[34][35]。例えば、2005年では発電の47%と工業生産の24%が石炭に依存していたが、現在はほぼゼロとなっており、1960年代では工業製品の60%以上は石油から作ったが、現在ではわずか3%に過ぎない[36]。
2019年のデーターに拠れば、再生可能エネルギーは電力網の76%を支えるが、冬でのエネルギーや原材料はロシアに大きく依存していて、ドイツ自身の暖房や輸送分野は割合が低かった[37][38][39]。2023年、ロシアによるウクライナ侵攻の危機[40][41][42]が発生したあと、ロシアはドイツへ輸出する原油と天然ガスを停止し、これを圧力として、EU(欧州連合)がウクライナへの支援を止めようとした[43][44]。しかし、ドイツ政府はこれを機にこれまでプーチン政権と癒着していたドイツ大企業を配慮しなく、ロシアに依存したバリューチェーンを切断した[45][46][47][48]。2020年でニーダーザクセン州で天然ガスが発見され[49]、2023年で正式的に採掘しはじめ[50]、2024年7月で「脱ロシア」の政策は成功しており[51][52]、EU独自の風力発電・水力発電・ガス生産圏を運営可能となっている[53]。
今のドイツは米中貿易戦争の隙間を狙い、米国と中国が失う、もしくは不足する貿易品をドイツ製品で意図的に補完させていて[54][55][56][57][58]、米中が世界貿易で占める割合を少しずつ侵食している[59][60][61]。ドイツの指導的経済思想である『マクロ経済理論』に基づけば、輸出をできる限り拡大させるのほうが国にとって有益とされている。輸出や輸入にかかわらず、経済の約1/3は「輸出」に依存しているドイツは輸出対象を先進国に限定している。どの時代においても精度の高い商品を製造しつつ、高価で先進国に売りつつ、その収益を自身の黒字に補充することがドイツの貿易原理である[62]。この事からドイツは「先進国の中の先進国[63][64][65][66]」と自称している。
全体経済の視点からみると、2000年代から2010年代までのドイツ経済は一時的に停滞の気味があった[67][68]。旧東ドイツ地域への莫大な資金援助が続けられたため、全体の経済成長が抑えられたがドイツ政府はその東西の経済差を放置せず、30年の期間をかけて解消に努めてきていた[69]。2020年代以降、ドイツは旧東部の重荷から解放されて「全国多極化経済」の構造へ展開しはじめ、「首都一極集中」の渦潮に巻き込まれている日本やフランスとは対照的であり、ドイツは首都圏と地方圏のバランスが保たれており、経済の均衡を維持している[70][71][72]。
最後、ドイツは世界でもっとも多くの見本市が開催される国であり、多くの見本市がドイツでしか行われている[73]。ほかの国々と異なり、ドイツは単なる大自然や建築物だけでなく、国際会議や展示会・博物館・民俗文化祭りなどのイベント系のモノも観光名所になることができ、これの御かげで豊富な観光資産を形成している[74]。これらの観光産業や国際貿易を促進するために、または欧州の中心に位置することを活かすために、ドイツは自国の通貨を「ユーロ」に統一した。現在の独仏両国は、ヨーロッパの経済統合において「相互補完の二本の足」の関係になっており、欧州中央銀行の本部をフランクフルトに拉致させてユーロを全欧州の通貨とする政策を推進している。
産業
[編集]同族企業が多いために企業の社会的責任が唱えられた。2012年、ドイツ独占委員会は同族所有比率が1/4を超える19のメーカーを特定した。国民が創業し、または所有するメーカーが29社である。先の19社は29社を分母にすると六割を超える。同族会社には無限責任がつきまとう。しかしドイツの会社法は無限責任を軽減するために、合資会社に株式または財団を組み合わせた4形態を認めている。
農業・林業
[編集]2003年には農業・林業・鉱業の生産高は国内総生産(GDP)のわずか1.1%に過ぎず、労働人口も1991年には4%だったものが現在は2.2%にまで減少している。産業人口の減少は農業従事者の人口が東西ドイツが統合してから75%も下がった東ドイツの従事者が主である。しかし、農業は非常に生産的で、食料自給率はカロリーベースで84%とヨーロッパの中でも非常に高い(2020)。生産高もヨーロッパの中ではフランス、イタリアに次ぐ第3位である。主要な農産物はジャガイモ、小麦、大麦、テンサイ、果物、キャベツなどである。
ドイツは工業国でありながら、その面積の3分の1は森林に覆われている。林業は木や木製品の国内需要のおよそ3分の2を供給しており、残りは輸入に頼っている。
鉱業
[編集]石炭は、ドイツで最も多い資源である。生産量では世界第9位を誇っており、世界有数の石炭生産国であるが、1989年以降環境政策や能率の悪い旧東ドイツの鉱山の閉鎖によって生産高は年々減少している。ドイツで生産される主な石炭の種類は無煙炭と亜炭(褐炭)である。2004年1月現在、天然ガスの備蓄高はヨーロッパで3番目に高い10兆8,000億立方フィートだが、2002年にはドイツの国内需要の75%にあたる2兆4,000億立方フィートの天然ガスを輸入している。ドイツで生産される天然ガスは主にニーダーザクセン州で、全体のおよそ90%に当たる。主な輸入相手はロシアで40.8%、次いでノルウェーの31.5%、オランダの22.3%となっている。
エネルギー
[編集]2021年時点、ドイツは世界で7番目に高いエネルギー消費国である。その量は石油に換算して約300万トン(約1600万円)。その3分の2は輸入に頼っており、1990年から固定価格買い取り制度を採用している。また、ドイツはヨーロッパ一の電力消費国で一時間につき5129億キロワットを消費している。EUは加盟国に対しエネルギー市場の自由化をすすめており、ドイツは1998年に電力自由化を行い当時の八大電力会社が四つに集約された。デュッセルドルフのE.ON、エッセンのRWEはヨーロッパや世界各地の電力会社・ガス会社を買収する世界有数のエネルギー企業となったが、一方でドイツに対する他国企業の参入も激しく、ハンブルクのHEWはスウェーデンの公営電力会社バッテンフォールの、カールスルーエのEnBWはフランスの電力会社EDFの傘下となっている。
現在、ドイツのエネルギー保護政策を積極的に行っており、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス(バイオ燃料)などの再生可能エネルギーの普及を推し進めている。その結果エネルギー効率は1970年以降徐々に良くなっている。ドイツ政府は、2035年にはドイツ国内の電力供給をほぼ完全に再生可能エネルギーによって賄うという目標を示した。
2000年、ドイツ政府は原子力発電を2021年までに段階的に撤廃していくことを決定した。2000年時点で再生可能エネルギーが占める発電割合は6.6%でしたが、2020年時点、エネルギー発電の種類別の内訳は石油 (0.8%)、石炭 (9.4%)、褐炭(18%)天然ガス (15%)、原子力 (11%)、再生可能エネルギー(44%)、その他 (4%)となっている。
工業
[編集]工業と建設業は2003年現在、国内総生産の29%、労働人口の26.4%を占めている。ドイツでは自動車をはじめ工作機械や化学製品などが盛んで、特に自動車産業は世界第6位の生産国である(2021)。しかし、近年は急速に経済成長する中国に3番手の座を取って代わられようとしている。2004年、ドイツは工作機械で世界シェア19.3%という最も大きな市場占有率を誇った。ダイムラー、BMW、ロバート・ボッシュ (企業)、BASF, バイエル、シーメンスなどドイツに拠点を置く世界的な大企業は数多いが、それには下請けの中堅製造会社も不可欠である。それらの会社は主に前述の大企業などの子会社であることが多い。
第三次産業
[編集]第三次産業は2003年現在、国内総生産の70%、労働人口の71.3%を占める。その内訳は金融業、賃貸業などが30.5%、商業、ホテルやレストランなどや、輸送業が18%、その他のサービス業が21.7%である。
観光業
[編集]国内総生産の8%、280万の仕事をもたらしている。サービス業の中では商業に次いで2番目に大きな業務である。2004年、海外からの一晩あたりの宿泊者数が前年より4%多い4,500万人という極めて高い数字を出した。主な見本市の3分の2はドイツで行われており、それは毎年900万人から1000万人の旅行者を引き寄せている。その2割は外国人である。主な見本市はハノーファー、フランクフルト、ケルン、デュッセルドルフで行われる。また、ドイツが2006年にFIFAワールドカップの開催国になったことは観光業に非常にいい影響を与えた。
金融業
[編集]ドイツは伝統的に市場向けの資本よりも個人向けの銀行業などが盛んである。理由として、銀行からの投資業務の分割をこれまで行わなかったことが挙げられる。その代わりに、ドイツの銀行は一般的な銀行業務として知られるシステムの下で、貸し出しから保険、証券取引など幅広いサービスを行っている。
2000年末、2,931の金融機関のうち、356の商業銀行、1798の信用組合、561の貯蓄銀行を含む2,713件(92.6%)は総合銀行だった。残りの非総合銀行は抵当業務や投資などを専門としている。
ドイツで最も大きな6つの銀行は銀行構造や所有権の多様性を例示している。総資産による6つの銀行のランク付けのうち、4つは民間の企業で、5番目は国営、6番目は協同組合になっている。
金融業における銀行業の中心的な役割にもかかわらず、株式市場は勢力を争っている。民間会社のドイツ取引所は、ドイツで最も規模の大きいフランクフルト証券取引所を運営し、世界でも4番目である。フランクフルト証券取引所はドイツのすべての証券取引の90%を取り扱っている。フランクフルト証券取引所の主要な株価指数はDAXで、シーメンス、SAP、バイエルなど30の銘柄からなる。ほかの証券取引所は、ベルリン(2か所)、デュッセルドルフ、ハンブルク、ハノーファー、ミュンヘン、シュトゥットガルトにある。2004年末現在、ドイツの上場株式の時価総額は国内総生産の45%にあたるおよそ1兆1,000億ドルである。
貿易
[編集]2003年、ドイツの貿易高の半分を当時のEU諸国(15か国)との貿易が占めていた。残りは多い順に各開発途上国、東ヨーロッパ諸国(後にEUに加盟したポーランドなども含む)、アメリカ、カナダ、非EUのヨーロッパ諸国(スイス、ノルウェー、リヒテンシュタイン、アイスランドの4か国)、日本などである。ドイツは高度に経済成長をしている国々に積極的に投資しており、近年ではロシアや中国などとの貿易を重要視している。ちなみに、ドイツはロシアの一番の貿易相手国である。2002年には中国が日本を追い越し、ドイツのアジアにおける一番の貿易相手国となった。ドイツの会社は、外国貿易から収益の3分の1を得ている。
アメリカは、フランスに次ぐ2番目の貿易相手である。2000年、アメリカとドイツの貿易高は合計で880億ドルとなった。内訳として、ドイツからの輸出が587億ドル、ドイツへの輸入が292億ドルとなっている。ドイツから輸出品は主に自動車、機械類、化学製品、大型の電気機器などである。逆に輸入品は飛行機、電気機器、電気通信技術、データ処理器具、モーター部品などである。
輸出入
[編集]主要な輸入品は、自動車(644億ドル)、化学製品(632億ドル)、機械類(418億ドル)、石油類(399億ドル)、コンピュータ(305億ドル)などである。主な輸入相手はフランス (9.0%)、オランダ (7.8%)、アメリカ (7.3%)、イタリア (6.1%)、イギリス (6.1%)、ベルギー (4.9%)、中国 (3.8%)、オーストラリア (3.8%) である。
輸出品で主要なものは、自動車(1455億ドル)、機械類(1030億ドル)、化学製品(929億ドル)、電気機器(362億ドル)、電気通信技術(351億ドル)となっている。主な輸出相手はフランス (10.6%)、アメリカ (9.3%)、イギリス (8.4%)、イタリア (7.4%)、オランダ (6.2%)、オーストリア (5.3%)、ベルギー (5.0%)、スペイン(4.9%)である。
CIAワールドファクトブックによると、ドイツの主要な輸出品は機械類、自動車、化学製品、金属及び金属製品、食品、家電製品、織物、ビール、輸入品は、機械類、自動車、化学製品、食品、織物、金属となっている[75]。
国際収支と公共負債
[編集]国際収支と経常収支の総計は国内総生産の2.2%にあたる549億ドル、公債はおよそ1兆5000億ドルで、これは国内総生産の60.8%にあたる。
現在、ドイツの通貨はユーロである。そのため、金融政策を実施しドイツマルクの安定化を図ったドイツ連邦銀行にかわり、欧州中央銀行が影響力を握っている。
2003年、海外直接投資は110億ドルに到達している。
対外投資
[編集]ドイツは、対外投資では自由主義の政策に従っている。1998年から1999年の間、フランスがドイツの主な直接投資国で、イギリス、アメリカと続いていた。1995年から1999年まで、アメリカからドイツへの直接投資額の一年当たりの平均が210億ドルに達する間、アメリカに対するドイツの直接投資額の平均は34億ドルだった。
しかし取得原価主義に換算して1999年、ドイツへのアメリカの投資が500億ドル未満と推定される間、アメリカへのドイツの投資は1,110億ドルと見積もられた。これは、1995年の2倍に達する勢いである。またその後も12%ほど成長している。
労働市場や政府規制の柔軟性のなさが続いているにもかかわらず、非常に熟達した労働者のために、経済は堅調で国際的な競争力を維持したままである。生産コストこそ高いが、それでもドイツは輸出が精力的である。また現在、ドイツ政府は税、社会保障、財政など国の経済的な構造問題における非常に重要なものの改革を進めようとしている。さらに、急速な経済成長を遂げている中部ヨーロッパ諸国を経済的な戦略拠点においている。将来、成長や雇用創出を促進するために経済の根底となる基本的な、また広範にわたる経済調整に直面するといわれている。
労働
[編集]ドイツの労働者人口は3,887万人である。2004年、労働者は第一次産業2.2%、第二次産業26.4%、第三次産業71.3%のように分布された。それの分布は、各々の相対的な生産高と非常に相似している。平均年間労働時間はOECD諸国にて最小グループのひとつである[76]。
2005年3月の季節調整後の失業率は、12%、失業者はおよそ520万人だった。これは共に第二次世界大戦後最悪の記録である。特に、旧東ドイツの諸州は失業率は20%近くまで達した。しかし2005年9月には失業率は11.2%、失業者も465万人にまで改善し、2012年以降は欧州圏において最小失業率グループに位置し続けている[76]。
ドイツの失業者の定義はILO定義よりも広範囲であり、週15時間未満労働のパートタイマーの労働者を含んでいるため、日本や米英の失業の定義と異なり部分的にしか比較できない。ドイツでは正規労働やあるいは週15時間以上のパートタイムの仕事を求めている(週15時間未満の)労働者は失業保険がもらえ、失業者として登録される。ドイツの失業者の約4分の1が不完全雇用のパートタイマーである。
統計
[編集]- ジニ係数:28.3(2000年)
- 工業生産成長率:2.2%(2004年)
電気(2003年)
- 生産:560 TWh
- 消費:519.5 TWh
- 輸出:53.8 TWh
- 輸入:45.8 TWh
電力発電源(2001年)
- 水力:4.2%
- 火力:61.8%
- 原子力:29.9%
- その他:4.1%
石油(2003年)
- 生産:74,100バレル/日
- 消費:289万1,000バレル/日
- 輸出:12,990バレル/日
- 輸入:213万5,000バレル/日
- 推定埋蔵量:3億9,580万バレル(2004年1月1日)
天然ガス(2003年)
- 生産:210億 m³
- 消費:995億5,000万 m³
- 輸出:77億3,100万 m³
- 輸入:850億2,000万 m³
- 推定埋蔵量:2,930億 m³(2004年1月1日)
- 金融資産:4兆700億ユーロ(2004年)
- ODA額:56億ドル(1998年)
為替相場
- 2005年7月 : 1ユーロ = 1.20USドル
- 2000年1月 : 1ユーロ = 0.99USドル
- 1999年 : 1ユーロ = 0.94 USドル
- 1999年1月 : 1USドル = 1.69ドイツマルク
- 1998年 : 1USドル = 1.76ドイツマルク
- 1997年 : 1USドル = 1.73ドイツマルク
- 1996年 : 1USドル = 1.50ドイツマルク
- 1995年 : 1USドル = 1.43ドイツマルク
出典
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関連項目
[編集]外部リンク
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- OECD's Germany country Web site
- OECD Economic Survey of Germany
- Federal Statistical Office Germany at the Wayback Machine (archived 2007-06-09)
- MySME Information for foreign SMEs in Germany (In English)
- German Embassy (Washington, D.C.), Economic Trends
- Germany and the Future of the Transatlantic Economy, Policy Bulletin by the Atlantic Council of the U.S.
- Germany’s growth performance in the 1990’s