ナイジェリアの鉄道
ナイジェリアの鉄道では、ナイジェリアにおける鉄道について記す。
ナイジェリアでは、イギリスによる植民地統治下時代から引き継がれたケープゲージの鉄道約3,500kmの区間と、近年になって標準軌で構築途上の鉄道網約670kmが敷設されている。これらの鉄道はナイジェリア鉄道公社によって運営されている。
また都市鉄道として、アブジャではライトレール、カラバルではモノレールが運用されており、ラゴスではラピッド・トランジットが建設中(2023年開業予定)[1][2]である。
鉄道史
[編集]ナイジェリアの鉄道建設は1896年3月、イギリス帝国による植民地統治下の英領ナイジェリアのラゴス植民地からイバダンまでの間で開始された[3]。この鉄道はラゴス政府鉄道(Lagos Government Railway)として1901年3月に運行を開始し、1911年にはミンナまで延長され、1907年から1911年にかけてイギリス帝国の統治下の北部ナイジェリア保護領政府が建設したバロ・カノ鉄道駅(Baro-Kano Railway Station)と接続した[4]。
2つの路線は1912年に合併され、ナイジェリア鉄道公社(Nigerian Railway Corporation)の前身である政府鉄道局となった。鉄道は1930年に北東部の終点ングルまで延長した[5]。
エヌグ州ウディで石炭が発見されると、1913年から1916年にかけてポートハーコートまで東部鉄道が建設された[6]。この鉄道は1927年にカファンチャンを経由してカドゥナまで延長され、東部鉄道はラゴス・カノ鉄道に接続された[7]。1958年から1964年にかけて、東部鉄道は北東部の終点であるマイドゥグリまで延長された[5]。
その後、旅客・貨物事業ともに1960年代、1980年代に興隆を迎え、機関車と路線ともに設備が陳腐化し輸送量は1990年までに激減[8]。2013年までにはナイジェリア国内で稼働している鉄道輸送はラゴス - カノ間に絞られるようになった。旅客輸送も平均時速45km/hの走行で2都市間を31時間で走行していた[9][10]。
2009年から、ナイジェリアの鉄道復旧プロジェクトが開始されている。ポートハーコートからマイドゥグリまでの東部路線は、リンゴ・ナイジェリア、イーザー・ウエスト・アフリカ(Eser West Africa)、中国葛洲壩集団によって4億2700万米ドルをかけて復旧された[11]。
2014年、中華人民共和国の中国土木工程集団がナイジェリアの沿岸鉄道(総延長1,385キロ)の建設を受注した。受注額は131億2,200万ドル[12]。
鉄道の劣悪な状態、効率性、収益性を改善するため、政府はナイジェリア鉄道公社の民営化も目指している。 民営化計画では、鉄道は3つの地区に分割され、それぞれ25-30年の期間で民間移行される予定である[13]。
2006年に中華人民共和国の中国土木工程集団が受注したラゴス・カノ標準軌鉄道[14]は、予算不足のため工事開始が大幅に遅れ、部分区間ごとの着工を余儀なくされた。何度かの遅延の後、2016年7月26日にアブジャ-カドゥナの間で標準軌の鉄道が開通した[15]。ラゴス-イバダン区間は2017年3月に着工し、2021年6月10日に開通した[14][16]。第3区間はカノとポートハーコート、ラゴスを結ぶ区間の予定である[14]。
2019年時点でケープゲージの鉄道は15両の機関車しか稼働していなかった[17]。アブジャ-カドゥナの187kmの標準軌区間での収入はケープゲージ全区間3,505kmの収入と同等レベルだった[18]。
事業者
[編集]路線
[編集]狭軌
[編集]3フィート6インチ軌間の主要な2路線
標準軌
[編集]都市鉄道
[編集]- アブジャ・ライトレール - アブジャ都市鉄道。
- ラゴス・レール・マス・トランジット - ラゴス市内交通。2023年開業予定。
- カラバル・モノレール - カラバルで2016年より営業中[19]。
- リバーステート・モノレール - ポートハーコートでの計画。2021年に検討中止[20]。
隣接国との鉄道接続状況
[編集]関連項目
[編集]脚注
[編集]- ^ “Lagos gets a new elevated rail network”. Quartz. (6 January 2023) 10 January 2023閲覧。
- ^ Ologunagbe, Olamide (23 December 2022). “What you need to know about Lagos Blue Line Rail”. Businessday NG 10 January 2023閲覧。
- ^ Francis, Jaekel (1997). History of Nigerian Railway: Opening the Nation to sea air and road transportation. Spectrum Books
- ^ Carland, John (1985). The Colonial Office and Nigeria, 1898-1914. Hoover Press. pp. 135–183. ISBN 9780817981433
- ^ a b Yakubu, ed (2005). Northern Nigeria: A Century of Transformation, 1903-2003. Kaduna, Nigeria: Arewa House, Ahmadu Bello University. p. 352. ISBN 9789781351426
- ^ Francis, Jaekel (1997). The History of Nigerian Railways: Network and Infrastructures. Spectrum Books
- ^ Chuku, Gloria (2015). Igbo Women and Economic Transformation in Southeastern Nigeria, 1900-1960. p. 156. ISBN 9781135469405
- ^ Komolafe, Oladayo (17 February 2015). “Overseeing the resurrection of Nigerian railways | NAN”. News Agency of Nigeria. オリジナルの26 July 2016時点におけるアーカイブ。
- ^ Ross, Will (13 February 2013). “Can Nigeria's renovated railway unite north and south?”. BBC
- ^ “A slow but steady new chug”. The Economist. (9 February 2013)
- ^ Oirere, Shem (1 October 2014). “Insurgents threaten reopening of Nigerian line”. International Railway Journal
- ^ “ナイジェリアの沿岸鉄道建設、中国企業が受注=総額1兆3千億円―中国メディア”. サーチナ (サーチナ). (2014年5月8日) 2014年5月13日閲覧。
- ^ Smith, Kevin (16 February 2015). “Privatisation bill for Nigerian railways approved”
- ^ a b c “Getting Nigeria's railways back on track with China's help”. BBC News. BBC News. (7 December 2017) 7 December 2017閲覧。
- ^ “President inaugurates Abuja – Kaduna railway”. Railway Gazette
- ^ Adewole, Segun (2021年6月10日). “Buhari inaugurates Lagos-Ibadan Railway project”. Punch (Nigeria)
- ^ Ugbomeh, Fidelis (7 April 2019). “Rail Development Will Boost Economic Growth – Okhiria”. Leadership Newspaper
- ^ “NRC generated N3bn from train services in 2019 - MD” (英語). Pulse Nigeria. (7 August 2020)
- ^ “Ayade's 1yr in office: Buhari to commission Calabar Monorail” (英語). Vanguard News (2016年5月24日). 2022年1月9日閲覧。
- ^ “Wike disowns NGF’s agreement with JUSUN”. 13 June 2021閲覧。