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ナシカトク

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ナシカトク
Nasi katok
マレーシア、コタキナバルで提供されている古典的なナシカトク
発祥地 ブルネイの旗 ブルネイ
提供時温度 温製
主な材料 アヤムゴレン(揚げ鶏)に米飯とサンバルを添えるのが一般的だが、異なるバリエーションもある。
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ナシカトク(nasi katok)はブルネイ発祥の料理[1]。伝統的なナシカトクは米飯アヤムゴレン(揚げ鶏)、辛いサンバル(ディップソース)からなる。多くは一人前をクラフト紙か箱で包装して提供される[2]。基本の構成要素はあまり変わらないが、肉とサンバルの種類や調理法は提供する店によってバリエーションが広い[2][3]

普及

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路上露天商から格式の高いレストランやコンビニエンスストアまで、ブルネイのどこでも食べることができる[2]。2000年代後半にはナシカトクを扱う飲食チェーンや24時間営業の店が登場し、ブームとなった。これによりブルネイ固有のファストフードとしての地位を固めた[4][5][6]。今日のブルネイでは複数のチェーンがさまざまなタイプのナシカトクを提供している。提供店の例にはナシカトク・カカ、ナシカトク・ママ、ナシカトク・リリー、ナシカトク・ナイリスがある[4]

ブルネイと社会・経済的なつながりの強い東マレーシアにも伝わっており、ミリ、リンバン、ラワス、ラブアン、シピタン、パパール、コタキナバルのような都市で見ることができる[7]

歴史

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この料理の名はブルネイ・マレー語の「米」(ナシ)と「ノックする」(カトク)から取られている[3]。24時間営業のファーストフード店が存在しなかった時代、夜中に飲食店の窓をノックして店主を起こし、手近な材料で食事を作ってもらったことから名付けられたという話が伝わっている[1][5]。通説では、1980年代に中国系の家族がマボハイ地区のロウ・サン・フラットで開いた小さな飲食店ナシカトクとナシカトク専門店のルーツだと考えられている。ナシプス(アンチョビとサンバルで味付けした米料理)を提供する店だったが、地元で人気が高まり夜遅くまで店を開けるようになった[4]呼び鈴が一般的ではなかった時代でもあり、その店を訪問した客はドアをノックして料理を注文していた[2]。この店は「ナシカトク・マボハイ」として現在でも営業している[8]

特徴

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ナシカトクの揚げ鶏にはさまざまな作成法があり、それぞれ食味が異なる。鶏肉に小麦粉をまぶしてから揚げることで表面をパリッとさせたり、ターメリックで色と香りを良くしたり、数種のスパイスを合わせて鶏肉を漬けておくなどがある[2]。近年ではナシカトクのバリエーションが数多く生み出され、ソースや具材の選択肢が増えている。消費者は伝統的な唐辛子ベースの辛いサンバルから、クリーミーで酸味のあるバターミルクソースやマイルドなトマト系ソースまで選ぶことができる[2]。具材には牛肉のルンダン子羊のグリル、ムール貝、ロブスターのほか、揚げ豆腐やテンペのようなベジタリアン向けもある[2][6]

廉価性

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新型コロナウイルスの流行などによる原料費の高騰にもかかわらず、ブルネイなどにおいてナシカトクは安価で満腹になる食事の選択肢であり続けている[2]

脚注

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関連項目

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