ニッソール
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N-メチル-N-(1-ナフチル)-モノフルオール酢酸アミド N-Methyl-N-(1-naphthyl)-2-fluoroacetamide[1] | |
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別称 N-メチル-N-(1-ナフチル)-モノフルオロアセトアミド ニッソール(商品名) MNFA | |
識別情報 | |
CAS登録番号 | 5903-13-9 |
特性 | |
化学式 | C13H12FNO |
モル質量 | 217.24 g mol−1 |
外観 | 無色の固体 |
匂い | 無臭 |
融点 |
86~88℃ |
水への溶解度 | 337mg/L (25℃) |
危険性 | |
半数致死量 LD50 | 67mg/kg(ラット、経口) |
関連する物質 | |
関連物質 | モノフルオロ酢酸アミド ナフタレン |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
ニッソールは、かつて使われた有機フッ素系殺虫剤の一種である。有効成分はN-メチル-N-(1-ナフチル)-モノフルオール酢酸アミド。日本の毒物及び劇物取締法では劇物に該当する[1]。
歴史
[編集]日本曹達が開発した農薬で、1965年2月27日に農薬登録を受けた。果樹のハダニ、アブラムシ、カイガラムシに適用され、登録期間中の累計生産量は乳剤で1768キロリットル、年間生産量はピーク時の1968農薬年度に307キロリットルであった。1975年9月17日に登録失効した[2]。
中毒事故
[編集]1967年7月14日。和歌山県海草郡下津町のミカン農園で5時間にわたりニッソールを散布していた17歳の高校生が、痙攣を起こし意識不明になった。解毒剤の投与などの治療が行われたが、16日に死亡。高校生の両親は、メーカーと製品を認可した国を相手取り、和歌山地方裁判所に民事訴訟を起こした。1985年6月、メーカーが賠償金を支払うことで和解が成立した。農薬メーカーが公式に賠償金を支払うのは、日本では初めてのことであったが、国の責任は問われなかった[3]。
脚注
[編集]- ^ a b “N-メチル-N-(1-ナフチル)-モノフルオール酢酸アミド”. 厚生労働省職場のあんぜんサイト (2008年10月1日). 2018年8月8日閲覧。
- ^ (植村 2002, p. 298)
- ^ “農薬裁判に関すること”. 京都大学農薬ゼミ. 2018年8月8日閲覧。
参考文献
[編集]- 植村振作・河村宏・辻万千子・冨田重行・前田静夫著『農薬毒性の事典 改訂版』三省堂、2002年。ISBN 978-4385356044。