ネタンス (エトルリア神話)

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ネタンス英語: Nethuns)は、エトルリア神話において、当初は井戸であったが、後にも含む全般を司るとされたケルト神話ネクタンペルシャ神話およびヴェーダ神話で同表記されているアパム・ナパトと共通の語源を有すると考えられており、大元はインド・ヨーロッパ祖語の"甥"や"孫"を意味する「*népōts」であると言われている。この説を踏まえると、エトルリアはウンブリア語の水の神である「*Nehtuns」(ローマ神話ネプトゥーヌス)からとった可能性がある[1]

エトルリアで実施されていた腸卜に用いる銅製器具、ピアチェンツァの肝臓Liver of Piacenza)にも、略称であるNeθと表記されている[2]。また、ドデカポリスの一つであるヴェトルニアの守護神として、イルカ三叉槍と共にケートスをモチーフとした被り物を冠した横顔が紀元前215年から211年に造幣されたコインに描かれている[3]

他にも、バチカン美術館が所蔵する銅鏡に「NETHUNS」と刻印されている[4]

脚注[編集]

  1. ^ Helmut Rix, "Etruscan," in The Ancient Languages of Europe (Cambridge University Press, 2008), p. 163.
  2. ^ L.B. van der Meer, The Bronze Liver of Piacenza: Analysis of a Polytheistic Structure (1987).
  3. ^ An illustrated example.
  4. ^ Noted by George Dennis, The Cities and Cemeteries of Etruria (London) 1848, a time when Nethuns and Neptune were not yet securely linked. (On-line text)

参考文献[編集]

  • Lexicon Iconographicum Mythologiae Classicum, VII (Zurich and Munich:Artemis) 1994. The basic professional reference.