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ネブラスカ (アルバム)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
『ネブラスカ』
ブルース・スプリングスティーンスタジオ・アルバム
リリース
録音 1982年 ニュージャージー州
ジャンル ロックフォーク
時間
レーベル コロムビア・レコード
プロデュース ブルース・スプリングスティーン
専門評論家によるレビュー
チャート最高順位
  • 2位(スウェーデン[3]
  • 3位(アメリカ[4]、イギリス[5]、ニュージーランド[6]、ノルウェー[7]
  • 7位(オランダ[8]
  • 10位(日本[9]
  • 37位(ドイツ[10]
  • ブルース・スプリングスティーン アルバム 年表
    ザ・リバー
    (1980年)
    ネブラスカ
    (1982年)
    ボーン・イン・ザ・U.S.A.
    (1984年)
    テンプレートを表示

    ネブラスカ』(Nebraska)は、ブルース・スプリングスティーン1982年に発表した6作目のスタジオ・アルバム。デモ・テープとして録音された音源を収録しており、Eストリート・バンドや、その他の外部プレイヤーは参加していない。

    作詞

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    タイトル曲の歌詞は、スプリー・キラーチャールズ・スタークウェザーの一人称視点で書かれている[11]。「アトランティック・シティ」はニュージャージー州南部の都市アトランティックシティについての歌で、スプリングスティーン自身の説明によれば、ギャンブルの合法化による1980年代初期のサウス・ジャージーのゴールド・ラッシュを題材としている[12]

    スプリングスティーン自身は後年、本作の制作前よりフラナリー・オコナーの小説に傾倒したと語っている[13]。また、本作の歌詞は、歴史家ハワード・ジンの著作からも部分的にインスパイアされたとされている[14]

    レコーディング

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    大部分の曲は、1982年1月3日にスプリングスティーンの自宅の寝室で録音され、ティアック社の4トラックのマルチトラック・レコーダーが使用された[1]。基本的にはアコースティック・ギターの弾き語りだが、多少のオーバー・ダビングも行われた[1]。スプリングスティーンはハーモニカオルガンも演奏し、また、「オープン・オール・ナイト」ではエレクトリックギターも弾いている[15]。ただし、「僕の父の家」と「ビッグ・ペイバック」(シングル「オープン・オール・ナイト」のB面[16])は、後日レコーディングされたものである[1]

    本作には、デモ音源をミキシングしたものがそのまま収録された。長年スプリングスティーンと仕事をしてきたレコーディング・エンジニアのトビー・スコットによれば、デモ・テープのミキシング終了後、スプリングスティーンが「このテープにはなかなか惹きつけられる雰囲気がある。これをそのままマスター・テープにできないか?」と提案したという[17]。ただし、同じセッションで録音された「ボーン・イン・ザ・U.S.A.」「ピンク・キャデラック」「ダウンバウンド・トレイン」「ワーキング・オン・ザ・ハイウェイ」(デモ録音時のタイトルは「チャイルド・ブライド」)は、後にバンドを従えて正式にレコーディングされた[1]

    反響

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    母国アメリカではBillboard 200で3位に達し、前作『ザ・リバー』(1980年)に続く1位獲得は果たせなかったが、自身4作目の全米トップ10アルバムとなる[4]。1982年12月にはRIAAによってゴールドディスクに認定され、その後も売り上げを伸ばして1989年7月にはプラチナディスクに認定された[18]。また、アメリカでは本作からのシングルは発売されなかったが、ラジオ局では盛んにエア・プレイされ、『ビルボード』のメインストリーム・ロック・チャートでは「アトランティック・シティ」が10位、「オープン・オール・ナイト」が22位、「ジョニー・99」が50位を記録した[4]

    スウェーデンのアルバム・チャートでは、前作『ザ・リバー』と同じく2位を記録し、5回(10週)にわたりトップ50入りした後、1985年にも再浮上して2回(4週)トップ50入りしている[3]全英アルバムチャートでは3位を記録して、自身2作目の全英トップ10アルバムとなった[5]。日本のオリコンLPチャートでは自身初のトップ10入りを果たしている[9]

    評価

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    William Ruhlmannはオールミュージックにおいて5点満点を付け「メジャーなスターがメジャー・レーベルから発表した、最も挑戦的なアルバムの一つ」と評している[11]。また、スティーヴ・ポンドは『ローリング・ストーン』誌1982年10月28日号のレビューで5点満点中4.5点を付け「『ネブラスカ』は、スプリングスティーンが彼の芸術の核となる部分をさらけ出した、アコースティックの偉業にして根源的なフォーク・アルバムである。『闇に吠える街』と同様に悲痛な作品だが、より熟慮されている」と評している[19]

    『ローリング・ストーン』誌は本作を「オールタイム・グレイテスト・アルバム500」で150位[20]、「1980年代のベスト・アルバム100」で43位に挙げている[21]。また、ピッチフォーク・メディアのスタッフが2002年に選出した「1980年代のトップ100アルバム」では60位[22]

    影響

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    カントリー・ミュージシャンのジョニー・キャッシュは、1983年のアルバム『Johnny 99』において、本作から「ジョニー・99」と「ハイウェイ・パトロールマン」の2曲をカヴァーした[23]

    ショーン・ペンが監督および脚本執筆を務めた映画『インディアン・ランナー』(1991年公開)は、本作収録曲「ハイウェイ・パトロールマン」に基づいて作られた[24]

    2000年にはクリッシー・ハインドロス・ロボスアーニー・ディフランコベン・ハーパーエイミー・マン等が本作の全曲をカヴァーしたトリビュート・アルバム『Badlands: A Tribute to Bruce Springsteen's Nebraska』がリリースされ[25]、『ビルボード』のインディペンデント・アルバム・チャートで24位を記録している[26]

    2006年1月に開催されたNew York Guitar Festivalでは、ザ・ナショナルマーサ・ウェインライトローラ・カントレル英語版マーク・アイツェル英語版ヴァーノン・リード等のアーティストが本作の再現ライヴを行った[27]。なお、リードは本作について「スプリングスティーンがアメリカン・ドリームの裏側を見ようとした試み」「あのレコードの題材は、正に我々が否定しようとしているアメリカだ」とコメントしている[28]。また、ザ・ナショナルによる「マンション・オン・ザ・ヒル」のライヴ音源は、同年にシングル「Apartment Story」のカップリング曲として発表された[29]

    収録曲

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    全曲ともブルース・スプリングスティーン作。

    1. ネブラスカ - Nebraska - 4:25
    2. アトランティック・シティ - Atlantic City - 3:50
    3. マンション・オン・ザ・ヒル - Mansion on the Hill - 4:00
    4. ジョニー・99 - Johnny 99 - 3:40
    5. ハイウェイ・パトロールマン - Highway Patrolman - 5:40
    6. ステイト・トルーパー - State Trooper - 3:09
    7. ユーズド・カー - Used Cars - 3:04
    8. オープン・オール・ナイト - Open All Night - 2:51
    9. 僕の父の家 - My Father's House - 5:35
    10. 生きる理由 - Reason to Believe - 4:05

    脚注

    [編集]
    1. ^ a b c d e 32 Years Ago: Bruce Springsteen Records 'Nebraska' - ultimateclassicrock.com - article by Dave Lifton - 2014年11月20日閲覧
    2. ^ Nebraska - The Official Bruce Springsteen Website - 2014年11月20日閲覧
    3. ^ a b swedishcharts.com - Bruce Springsteen - Nebraska
    4. ^ a b c Bruce Springsteen - Awards : AllMusic
    5. ^ a b BRUCE SPRINGSTEEN | Artist | Official Charts - 「Albums」をクリックすれば表示される
    6. ^ charts.org.nz - Bruce Springsteen - Nebraska
    7. ^ norwegiancharts.com - Bruce Springsteen - Nebraska
    8. ^ dutchcharts.nl - Bruce Springsteen - Nebraska
    9. ^ a b 『オリコンチャート・ブックLP編(昭和45年‐平成1年)』(オリジナルコンフィデンス/1990年/ISBN 4-87131-025-6)p.262
    10. ^ officialcharts.de
    11. ^ a b Nebraska - Bruce Springsteen | AllMusic - Review by William Ruhlmann
    12. ^ CD『グレイテスト・ヒッツ』(SRCS 7631)ライナーノーツ(ブルース・スプリングスティーン/訳:中村美夏)
    13. ^ DoubleTake 12: Will Percy Interviews Bruce Springsteen - 2014年11月20日閲覧
    14. ^ Howard Zinn, Historian, Dies at 87 - Obituary (Obit) - NYTimes.com - article by Howard Powell - 2014年11月20日閲覧
    15. ^ 31 Years Ago: Bruce Springsteen's 'Nebraska' Album Released - ultimateclassicrock.com - article by Michael Gallucci - 2014年11月20日閲覧
    16. ^ Bruce Springsteen - Open All Night (Vinyl) at Discogs
    17. ^ News :: Bruce Springsteen's "Nebraska" - A PortaStudio, two SM57's, and Inspiration | TASCAM - article by Daniel Keller - 2014年11月20日閲覧
    18. ^ RIAA公式サイト内SEARCHABLE DATABASE - "NEBRASKA"と入力して検索すれば表示される
    19. ^ Bruce Springsteen Nebraska Album Review | Rolling Stone - Review by Steve Pond - 2014年11月20日閲覧
    20. ^ The 500 Greatest Albums of All Time” (英語). Rolling Stone (2020年9月22日). 2021年12月28日閲覧。
    21. ^ Bruce Springsteen, 'Nebraska' - 100 Best Albums of the Eighties | Rolling Stone - 2014年11月20日閲覧
    22. ^ Staff Lists: Top 100 Albums of the 1980s | Feature | Pitchfork - 2014年11月20日閲覧
    23. ^ Springsteen, Dylan Pay Tribute To Johnny Cash | Billboard - 2014年11月20日閲覧
    24. ^ The-Indian-Runner - Trailer - Cast - Showtimes - NYTimes.com - Review by Janet Maslin - 2014年11月20日閲覧
    25. ^ Badlands: A Tribute to Bruce Springsteen's Nebraska - Various Artists | AllMusic - Review by Richie Unterburger
    26. ^ Badlands: A Tribute to Bruce Springsteen's Nebraska - Various Artists | Awards | AllMusic
    27. ^ The National Unite with Springsteen | SPIN | Music News - 2014年11月20日閲覧
    28. ^ A Guitar Festival Begins With a Trip to 'Nebraska' - New York Times - article by Jesse Fox Mayshark - 2014年11月20日閲覧
    29. ^ National, The - Apartment Story (Vinyl) at Discogs