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ノッキング・ラウンド・ザ・ズー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
「ノッキング・ラウンド・ザ・ズー」
ジェームス・テイラーシングル
初出アルバム『ジェームス・テイラー
B面 サムシング・ラング
リリース
録音 1968年
ジャンル フォークロック
時間
レーベル アップル (APF 506)
作詞・作曲 ジェームス・テイラー
プロデュース ピーター・アッシャー
ジェームス・テイラー シングル 年表
思い出のキャロライナ
1969年
ノッキング・ラウンド・ザ・ズー
1969年
スウィート・ベイビー・ジェイムス英語版
1970年
テンプレートを表示

ノッキング・ラウンド・ザ・ズー」("Knocking 'Round the Zoo"、旧邦題:精神病院)はジェームス・テイラーが1968年にアップル・レコードからリリースしたデビュー・アルバムに収録した自作曲。テイラーは1966年に自身のバンド、フライング・マシーンでもこの曲を録音していたが、その時の録音は1971年の『ジェームス・テイラー・アンド・ザ・オリジナル・フライング・マシーン英語版』までリリースされなかった。この曲はアップルからフランスでもB面の「サムシング・ラング」とともにシングル(APF 506)としてリリースされた。「ノッキング・ランド・ザ・ズー」と「彼女の言葉のやさしい響き」はテイラーがプロデューサーのピーター・アッシャーにアップルがテイラーと契約するように納得させるために送ったデモテープに含まれていた[1]

オールミュージックの評論家リンゼイ・プラナーは「ノッキング・ラウンド・ザ・ズー」を疑似ブルースと説明した[2]。歌詞はテイラー自身のマクリーン病院英語版精神科への入院経験から導かれている[3][4]。曲の第1ヴァースで、テイラーは "There's bars on all the windows and they're countin' up the spoons"(すべての窓に鉄格子があり、彼らはスプーンの数を数え上げる)と歌っている[5]。実際には、マクリーン病院の窓には鉄格子の代わりに2000ポンド(約900kg)に耐える窓ガラスを使用しているが、食後には特別な道具ですべての金属食器の数を確認している[5][6]。ヴァースはさらに「私がエッジの効いたと感じている場合、私の奴隷になるために支払われたひよこがいる/そして、私が不正行為をしようとしていると彼女が思った場合、彼女は私を針で打つだろう」と述べている[7]。第2ヴァースでは、テイラーはさらにマクリーンの職員に対する怒りを歌っている[5]。第3ヴァースでテイラーは自分がいかに疎外されていると感じたのかを「今、友達全部会いに来ている/彼らは私を指さし笑うだろう」と歌っている[3][8]タイム誌の編集者によると、テイラーはこの詩に「冷酷な狂人の響きを加える」とのことである[8]ローリング・ストーン誌のティモシー・クロースはこの曲のドラムのビートは「不吉」で、ギター演奏は「神経質」であり、これはマクリーンでのテイラーが感じていた「怒りと焦り」を反映していると述べている[5]

ローリング・ストーン・アルバム・ガイド英語版』の評論家、マーク・コールマンは「ノッキング・ラウンド・ザ・ズー」を『ジェームス・テイラー』の「ハイライト」と考えており、この曲を「格好よく」て、テイラーが将来のレコーディングで辿る道筋を予見していると述べている[9]タイム誌はこの曲の「ウィットに富みリフの多い音楽的アイロニー」を称賛している[8]。ローリング・ストーン誌の評論家、ジョン・ランドーは「落ち着いたユーモアのセンスと、より自然主義を兼ね備えている」と述べている[6]。テイラーの伝記作家、ティモシー・ホワイトはアレンジャーのリチャード・ヒューソンがアルバム『ジェームス・テイラー』でのこの曲の冒頭につけた弦楽器による「圧倒的な」前奏を批判している[4]ローリング・ストーン誌のライター、ジュールズ・シーゲルはこの曲が「サドマゾ的幻想」のようなサウンドだと批判している[10]。シーゲルはテイラーが精神病院に入院しているにもかかわらず、「彼の奴隷になるために支払った女性の付き添い」ととに貴族的で支配的であると示唆している。[10]。シーゲルはまた、付添人が彼を針で打つことについての部分も批判している[10]。著述家のイアン・ヘルパリンは『ジェームス・テイラー・アンド・ザ・フライング・マシーン』のCD版での楽器演奏について批判している[3]

脚注

[編集]
  1. ^ Browne, D. (2012). Fire and Rain: The Beatles, Simon and Garfunkel, James Taylor, CSNY, and the Bittersweet Story Of 1970. Da Capo Press. ISBN 9780306822131 
  2. ^ Planer, L.. “James Taylor”. Allmusic. 2014年7月3日閲覧。
  3. ^ a b c Halperin, I. (2003). Fire and Rain. Citadel Press. pp. 48-49, 126. ISBN 0806523484 
  4. ^ a b White, T. (2009). Long Ago And Far Away: James Taylor - His Life And Music. Omnibus Press. pp. 118, 229, 138. ISBN 9780857120069 
  5. ^ a b c d Crouse, T. (February 18, 1971). “The First Family of the New Rock”. Rolling Stone: pp. 34-37 
  6. ^ a b Landau, J. (April 19, 1969). “James Taylor”. Rolling Stone. 2014年7月3日閲覧。
  7. ^ McCarthy Bartlett, M. (2011). Loving the Tasmanian Devil: Reflections on Marriage and Asperger Syndrome. AAPC Publishing. pp. 293-294. ISBN 9781934575819 
  8. ^ a b c “James Taylor: One Man's Family of Rock”. Time: pp. 45-53. (March 1, 1971) 
  9. ^ Coleman, M. (1992). DeCurtis, A.; Henke, J.; George-Warren, H.. eds. The Rolling Stone Album Guide (3rd ed.). Straight Arrow Publishers. p. 293. ISBN 0679737294 
  10. ^ a b c Thompson, D. (2012). Hearts of Darkness: James Taylor, Jackson Browne, Cat Stevens, and the Unlikely Rise of the Singer-Songwriter. Backbeat Books. ISBN 9781458471390