ハエトリシメジ
ハエトリシメジ | |||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
分類 | |||||||||||||||||||||
| |||||||||||||||||||||
学名 | |||||||||||||||||||||
Tricholoma muscarium Kawamura | |||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||
ハエトリシメジ |
ハエトリシメジ(蠅取占地、学名:Tricholoma muscarium)は、ハラタケ目キシメジ科キシメジ属の日本特産のキノコである。
特徴
[編集]このキノコを火にあぶり水に浸したものにハエに対する誘引性と殺虫性があるので、ハエ取りに利用していたことからこの名前がある。種名のmuscariumも「ハエに関する」に由来する。
名前から毒キノコのようにも思えるが、ハエにとっては有毒であっても、ヒトにとってはうま味成分のトリコロミン酸[1]を含み食用になる。ただし、ハエトリシメジには類縁体のイボテン酸[2]も含まれる。このイボテン酸もうま味成分であるが、テングタケやベニテングタケにも含まれる毒成分であるため、ハエトリシメジを大量に食べるべきではない。食べ過ぎると悪酔い状態(精神高揚あるいは精神抑制、錯乱、幻覚、震え、痙攣など)になることがある。
テングタケも、同様にハエに対する誘引性と殺虫性があることから一部地域では「ハエトリダケ」と呼ばれる。
生態
[編集]秋に主にコナラなどの広葉樹林内の地表に群生または単生する。傘は直径5cmほどで、淡黄色の地に暗緑色の繊維紋があり、中央がとがる。肉は白くもろい。胞子は白色楕円形で大きさは約6×4μm。ひだは白色から淡黄色で密。柄は白色で細長く7cmほどになる。
同属のミネシメジ(T. saponaceum)と似ているが、ミネシメジには独特の臭気があること、ハエトリシメジは傘の中央が突出することなどから区別できる。
トリコロミン酸
[編集]トリコロミン酸は、1964年に竹本常松らによってハエトリシメジから単離され、その属名 Tricholoma に因んで命名された物質[1]。しかし、完全に無毒であることが確認されていないため、旨み物質としては利用されていない。
出典
[編集]- 寺崎衛, 藤田栄一郎, 和田正三 ほか, 「トリコロミン酸, イボテン酸の呈味性に関する研究 (第1報)」『栄養と食糧』 18巻 3号 1965年 p.172-175, doi:10.4327/jsnfs1949.18.172, 日本栄養・食糧学会
脚注
[編集]- ^ a b 竹本常松, 中島正, 「邦産キノコの成分研究 (第1報) ハエトリシメジより殺蠅成分の分離」『藥學雜誌』 84巻 12号 1964年 p.1183-1186, doi:10.1248/yakushi1947.84.12_1183, 日本薬学会
- ^ 竹本常松, 横部哲朗, 中島正, 「邦産キノコの成分研究 (第2報) イボテングタケより殺蠅成分の分離」『藥學雜誌』 84巻 12号 1964年 p.1186-1188, doi:10.1248/yakushi1947.84.12_1186, 日本薬学会
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- 大矢富二郎、「ハエトリシメジの殺虫成分について I. 殺虫成分抽出試験および遊離アミノ酸について」『日本応用動物昆虫学会誌』 3巻 1号 1959年 p.41-43, doi:10.1303/jjaez.3.41
- 大矢富二郎、「ハエトリシメジの殺虫成分について(第2報) ペーパークロマトグラフィーによる殺虫成分の分離(その1)」『日本農芸化学会誌』 1961年 35巻 8号 p.761-763, doi:10.1271/nogeikagaku1924.35.8_761
- ハエトリシメジ
- ハエトリシメジ