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ハグロソウ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ハグロソウ
福島県浜通り地方 2020年9月中旬
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : キク上類 Superasterids
階級なし : キク類 Asterids
階級なし : シソ類 Lamiids
: シソ目 Lamiales
: キツネノマゴ科 Acanthaceae
: ハグロソウ属 Peristrophe
: ハグロソウ P. japonica
学名
Peristrophe japonica (Thumb.) Bremek.[1][2][3]
シノニム
  • Dicliptera japonica (Thunb.) Makino var. subrotunda Matsuda[4]
  • Dicliptera japonica (Thunb.) Makino[5]
和名
ハグロソウ(葉黒草)[2][6]

ハグロソウ(葉黒草、学名: Peristrophe japonica)は、キツネノマゴ科ハグロソウ属多年草[1][2][6][7]

特徴

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には鈍い稜があって直立し、高さは20-50cmになり、上部でをまばらに分け、節間は基部がややふくらみ、短毛が散生する。は対生し、葉身は狭卵形、卵状長楕円形または広披針形で、長さ2-10cm、幅1-2.5cm、先端は鈍頭、縁は全縁、基部は鋭形で長さ2-10mmの葉柄になる。葉の表面は暗緑色、両面の葉脈上に短毛が生えるか無毛。両面に小さな線状の鍾乳体がある[1][2][6][7]

花期は9-10月。は淡紅紫色。枝先および上部の葉腋に長さ5-15mmになる花枝をだし、花が2-3個入った葉状の総苞がつき、ふつうそのうち1個の花が発達する。2枚の苞のうち、大きい1枚は卵形で、長さ1.3-2cm、幅0.7-1.3cm、小さい1枚は卵状長楕円形で、長さ1-1.5cm、幅4-8mm、縁と裏面脈上に短毛が生える。総苞内にある小苞は2枚あり、ごく小さく、長さ1mmになり、披針形でとがる。は長さ4-5mmあり、ふぞろいに5中裂し、裂片は線状披針形で細くとがる。花冠には細い筒部があり、長さ2cmになり、180度ねじれて反転して上下が逆となり、うち筒部は長さ14mmになって、先は2裂する。上唇はやや細く、先は3浅裂し、反り返り、下唇は楕円形で上唇より幅が広く、前に垂れ、上唇、下唇ともに外側に軟毛が散生する。雄蕊は2個あり、花糸は糸状になる。花柱は1個で糸状、細長く花外にでて、先はわずかに2裂する。果実は蒴果で長さ9-12mm、やや密に短毛が生える。種子は長さ3mmで、やや円形で多数の点状の突起がある。染色体数は2n=48[1][2][6][7]

分布と生育環境

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日本では、本州の宮城県以南、四国、九州に分布し[1]、山地の林内、林縁などの日陰、木陰に生育する[1][2][6][7]。やや薄暗い林内でもふつうに生える[6]。世界では、朝鮮半島南部、台湾中国大陸(中部)に分布する[1]

名前の由来

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和名ハグロソウは、「葉黒草」の意で、暗緑色の葉によるもの[2]で、牧野富太郎 (1940) は、「和名ハ蓋シ(けだし)其暗緑色葉ニ基キテノ葉黒草ノ意ナラン乎」と述べている[8]。また、お歯黒に見立てた説、出羽三山の羽黒山から葉黒草になった説などがある。

種小名(種形容語)japonica は、「日本の」の意味[9]

分類

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本種は、古くは、Dicliptera japonica (Thunb.) Makino (1903)[5]のように、Dicliptera Juss. ヤンバルハグロソウ属 に含められていたが、蒴果の裂開の仕方や種子の飛び出し方の違いなどがある[10]ことから、Bremekamp (1943) の指摘[11]と記載によって、Peristrophe Ness ハグロソウ属の所属に改められ、学名が、Peristrophe japonica (Thumb.) Bremek.[1][2][3]に組み替えられた。

また、村田源・寺尾博 (1981) は、D. japonica のときも、九州および中国大陸に分布する、苞葉の縁に長い毛があるものを D. japonica var. japonica フチゲハグロソウと、苞葉の縁に長い毛がないものを D. japonica (Thunb.) Makino var. subrotunda Matsuda[4] ハグロソウと区別していたことから、同様に苞葉の縁に長い毛がないものを Peristrophe japonica (Thunb.) Bremek. var. subrotunda (Matsuda) Murata et Terao[7][12]とした[7][11]。変種名 subrotunda は、「やや円形の」の意味[13]。なお、邑田仁 (2017)『改訂新版 日本の野生植物 5』および『新分類 牧野日本植物図鑑』(2017)では変種として区分しないで、広義 P. japonica として扱っている[1][2]

ギャラリー

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下位分類

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  • シロバナハグロソウ Peristrophe japonica (Thunb.) Bremek. f. albiflora (Hiyama) Yonek.[14] - 白花品種

脚注

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  1. ^ a b c d e f g h i 邑田仁 (2017)『改訂新版 日本の野生植物 5』p.170
  2. ^ a b c d e f g h i 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.1050
  3. ^ a b ハグロソウ(広義)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  4. ^ a b ハグロソウ(シノニム) 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  5. ^ a b ハグロソウ(シノニム) 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  6. ^ a b c d e f 『山溪ハンディ図鑑2 山に咲く花(増補改訂新版)』p.414
  7. ^ a b c d e f 『原色日本植物図鑑・草本編I(改訂59刷)』p.118
  8. ^ はぐろさう、「牧野日本植物図鑑」(初版・増補版)、インターネット版
  9. ^ 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.1498
  10. ^ 邑田仁 (2017)『改訂新版 日本の野生植物 5』「キツネノマゴ科」p.167
  11. ^ a b 村田源・寺尾博、「ハグロソウの学名」、『植物分類・地理』、Acta Phytotaxonomica et Geobotanica, Vol.32, p.82, 1981.
  12. ^ ハグロソウ(標準) 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  13. ^ 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.1515
  14. ^ シロバナハグロソウ 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)

参考文献

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