バルビツール酸系過量服薬

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バルビツール酸系過量服薬
概要
診療科 救急医学
分類および外部参照情報
ICD-10 F13.0, T42.3
ICD-9-CM 969
eMedicine article/813155

バルビツール酸系過量服薬(バルビツールさんけいかりょうふくやく、Barbiturate overdose)は、バルビツール酸系薬を、所定の用量を超えて服用した場合に生じる。過量服薬の症状は、一般的に脱力、運動失調、思考の困難、会話の遅さ、間違った判断、眠気、浅い呼吸、ふらつきなどである。重篤な症例では昏睡あるいは死亡する結果となる。[1]バルビツール酸系の致死量は、耐性があるために、一個人と他者では、大きくばらつきがある[2]。過量服薬についての一般的な解説はオーバードースを参照のこと。

バルビツール酸系過量服薬とほかの中枢神経系抑制剤、たとえばアルコールオピエートベンゾジアゼピンとの併用は、相乗した中枢神経系と呼吸器官の抑制作用に起因して、危険性はさらに高くなる。ベンゾジアゼピンの例では、バルビツール酸はベンゾジアゼピン結合部位の結合親和性を増加させ、したがって、過剰なベンゾジアゼピンの作用につながる[3]

バルビツール酸系の中毒あるいは過量服薬の治療は、一般に対症的である。必要なサポートの量は、患者の症状によって決まる。患者が眠そうだが、覚醒し、嚥下し呼吸しているなら容易で、治療は、患者を綿密にモニタするくらい簡単である。

患者の呼吸がない場合、薬が減衰するまで人工呼吸器を必要とする[4]

補助的治療は、よく以下のようなものである:

  • 経鼻胃管を通して活性炭を投与する[4]
  • フェノバルビタールでは排出速度を高めるため、尿をアルカリ化する[4]重炭酸ナトリウム(NaHCO3)などを用いる。
  • 生理食塩水、ナロキソンチアミン、そして/あるいはグルコースの静脈内投与。
  • 数時間の救急診療の観察あるいは、症状が重篤な場合は数日の入院。
  • 薬物の誤用について患者に助言するか、精神科への相談を勧める。

出典[編集]

  1. ^ Barbiturate intoxication and overdose”. MedLine Plus. 2008年7月15日閲覧。
  2. ^ Keltner, Norman."Psychiatric Nursing 4th Edition" Evolve Press,2003.
  3. ^ Miller LG, Deutsch SI, Greenblatt DJ, Paul SM, Shader RI (1988). “Acute barbiturate administration increases benzodiazepine receptor binding in vivo”. Psychopharmacology (Berl.) 96 (3): 385–90. doi:10.1007/BF00216067. PMID 2906155. 
  4. ^ a b c 臨床中毒学 2009.

参考文献[編集]

  • 上條吉人 著「バルビツール酸」、相馬一亥(監修) 編『臨床中毒学』医学書院、2009年10月、100-108頁。ISBN 978-4260008822 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]