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ICD-10 第5章:精神と行動の障害

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ICD-10 F章から転送)

疾病及び関連保健問題の国際統計分類』(しっぺい および かんれんほけんもんだいの こくさいとうけい ぶんるい)第10版(ICD-10)の第5章「精神及び行動の障害」(せいしん および こうどうの しょうがい)の一覧である。

派生物

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「臨床記述と診断ガイドライン」(CDDG、ブルーブック[1])がこのICD-10第5章の最初のものである[2]。「研究用診断基準」(DCR, Diagnostic critria for research、グリーンブック[1])は、その注意事項にあるように、臨床概念や合併の多い症状が記述されず、単独で使用できないため「臨床記述と診断ガイドライン」の習熟が先に必要になるが、患者群の選別のために他の障害といかなる点が類似しているといった詳細が含まれる[3]

用語集

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1994年世界保健機関(WHO)の用語集『精神医学と精神保健の用語集』(Lexicon of psychiatric and mental health terms)第2版は、ICD-10第5章で使用される用語の定義を収載している[4]。さらに、世界保健機関の『アルコールと薬物の用語集』(Lexicon of alchol and drug term)は、用語を定義し、またICD-10に対応した診断コードが載せられている[5]。これは、例としてF1x.70フラッシュバックが、幻覚剤に関したものであるといった定義がなされており[6]、定義関係の把握に重要である。

障害定義

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ICD-10の序論にある「用語上の問題点」では、「疾患(disease)」のような用語は本質的で重大な問題が生じるため、「障害(disorder)」という曖昧な用語を採用するとしている[7]。また、「障害」について、臨床的に有意な症状や行動、個人的な機能不全の両方が存在する状態と定義している[7]。社会的な逸脱や葛藤も、苦痛や個人的な機能不全がなければ精神障害と見なすべきではない[7]

なおICD-10日本語版ではMental Disorderを精神障害[7]と訳しているが、DSM日本語版ではDSM-IV以降、精神疾患[8]と訳している。

F00-F99 - 精神および行動の障害

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  • (F00) アルツハイマー病認知症
  • (F01) 血管性認知症
    • (F01.1) 多発梗塞性認知症
  • (F02) 他に分類されるその他の疾患の認知症
  • (F03) 詳細不明の認知症
  • (F04) 器質性健忘症候群,アルコールその他の精神作用物質によらないもの
  • (F05) せん妄,アルコールその他の精神作用物質によらないもの
    • (F05.0) せん妄,認知症に重ならないもの
    • (F05.1) せん妄,認知症に重なったもの
    • (F05.8) その他のせん妄
    • (F05.9) せん妄,詳細不明
  • (F06) 脳の損傷及び機能不全並びに身体疾患によるその他の精神障害
    • (F06.0) 器質性幻覚症
    • (F06.1) 器質性緊張病性障害
    • (F06.2) 器質性妄想性[統合失調症様]障害
    • (F06.3) 器質性気分[感情]障害
      • .30 器質性躁病性障害
      • .31 器質性双極性障害
      • .32 器質性うつ病性障害
      • .33 器質性混合型感情障害
    • (F06.4) 器質性不安障害
    • (F06.5) 器質性解離性障害
    • (F06.6) 器質性情緒不安定性[無力性]障害
    • (F06.7) 軽症認知障害
    • (F06.8) 脳の損傷及び機能不全並びに身体疾患によるその他の明示された精神障害
    • (F06.9) 脳の損傷及び機能不全並びに身体疾患による詳細不明の精神障害
  • (F07) 脳の疾患,損傷及び機能不全による人格及び行動の障害
    • (F07.0) 器質性人格障害
    • (F07.1) 脳炎後症候群
    • (F07.2) 脳振とう<盪>後症候群
    • (F07.8) 脳の疾患,損傷及び機能不全によるその他の器質性の人格及び行動の障害
    • (F07.9) 脳の疾患,損傷及び機能不全による器質性の人格及び行動の障害,詳細不明
  • (F09) 詳細不明の器質性又は症状性精神障害

(F10-F19) 精神作用物質使用による精神及び行動の障害

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物質 F1x.0 F1x.1 F1x.2 F1x.3 F1x.4 F1x.5 F1x.6 F1x.7
(F10) アルコール使用<飲酒>による精神及び行動の障害 急性アルコール中毒 アルコールの有害な使用 アルコール依存症 アルコール離脱症候群 振戦せん妄 アルコール幻覚症 コルサコフ症候群
(F11) アヘン類使用による精神及び行動の障害 オピオイド過剰摂取 オピオイド依存症英語版
(F12) 大麻類使用による精神及び行動の障害 大麻の急性中毒 大麻依存症英語版
(F13) 鎮静薬又は催眠薬使用による精神及び行動の障害 ベンゾジアゼピン過剰摂取英語版 ベンゾジアゼピン薬物乱用 ベンゾジアゼピン依存症 ベンゾジアゼピン離脱症候群 振戦せん妄
(F14) コカイン使用による精神及び行動の障害 コカイン中毒英語版 コカイン依存症英語版
(F15) カフェインを含むその他の精神刺激薬使用による精神及び行動の障害 カフェインによる精神及び行動の障害 アンフェタミンによる精神及び行動の障害 その他の精神刺激薬使用による精神及び行動の障害
(F16) 幻覚薬使用による精神及び行動の障害 フラッシュバック
(F17) タバコ使用<喫煙>による精神及び行動の障害 ニコチン離脱英語版
(F18) 揮発性溶剤使用による精神及び行動の障害
(F19) 多剤使用及びその他の精神作用物質使用による精神及び行動の障害

(F20-F29) 統合失調症,統合失調症型障害及び妄想性障害

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  • (F20) 統合失調症
    • (F20.0) 妄想型統合失調症
    • (F20.1) 破瓜型統合失調症
    • (F20.2) 緊張型統合失調症
    • (F20.3) 型分類困難な統合失調症
    • (F20.4) 統合失調症後抑うつ
    • (F20.5) 残遺型統合失調症
    • (F20.6) 単純型統合失調症
    • (F20.8) その他の統合失調症
体感異常型統合失調症
統合失調症様:
除外:
短期統合失調症様障害 (F23.2)
  • (F20.9) 統合失調症,詳細不明
  • (F21) 統合失調症型障害 Schizotypal disorder
  • (F22) 持続性妄想性障害
  • (F23) 急性一過性精神病性障害
    • (F23.0) 統合失調症状を伴わない急性多形性精神病性障害
    • (F23.1) 統合失調症状を伴う急性多形性精神病性障害
    • (F23.2) 急性統合失調症様精神病性障害
    • (F23.3) その他の妄想を主とする他の急性精神病性障害
    • (F23.8) その他の急性一過性精神病性障害
    • (F23.9) 急性一過性精神病性障害,詳細不明
  • (F24) 感応性妄想性障害
  • (F25) 統合失調感情障害 Schizoaffective disorders
    • (F25.0) 統合失調感情障害,躁病型
    • (F25.1) 統合失調感情障害,うつ病型
    • (F25.2) 統合失調感情障害,混合型
    • (F25.8) その他の統合失調感情障害
    • (F25.9) 統合失調感情障害,詳細不明
  • (F28) その他の非器質性精神病性障害
  • (F29) 詳細不明の非器質性精神病
  • (F30) 躁病エピソード
    • (F30.0) 軽躁病
    • (F30.1) 精神病症状を伴わない躁病
    • (F30.2) 精神病症状を伴う躁病
    • (F30.8) その他の躁病エピソード
    • (F30.9) 躁病エピソード,詳細不明
  • (F31) 双極性感情障害〈躁うつ病〉
    • (F31.0) 双極性感情障害,現在軽躁病エピソード
    • (F31.1) 双極性感情障害,現在精神病症状を伴わない躁病エピソード
    • (F31.2) 双極性感情障害,現在精神病症状を伴う躁病エピソード
    • (F31.3) 双極性感情障害,現在軽症又は中等症のうつ病エピソード
    • (F31.4) 双極性感情障害,現在精神病症状を伴わない重症うつ病エピソード
    • (F31.5) 双極性感情障害,現在精神病症状を伴う重症うつ病エピソード
    • (F31.6) 双極性感情障害,現在混合性エピソード
    • (F31.7) 双極性感情障害,現在寛解中のもの
    • (F31.8) その他の双極性感情障害
      • 双極性II型障害
      • 反復性躁病エピソード NOS
    • (F31.9) 双極性感情障害,詳細不明
  • (F32) うつ病エピソード
    • (F32.0) 軽症うつ病エピソード
    • (F32.1) 中等症うつ病エピソード
    • (F32.2) 精神病症状を伴わない重症うつ病エピソード
    • (F32.3) 精神病症状を伴う重症うつ病エピソード
    • (F32.8) その他のうつ病エピソード
    • (F32.9) うつ病エピソード,詳細不明
  • (F33) 反復性うつ病性障害
    • (F33.0) 反復性うつ病性障害,現在軽症エピソード
    • (F33.1) 反復性うつ病性障害,現在中等症エピソード
    • (F33.2) 反復性うつ病性障害,現在精神病症状を伴わない重症エピソード
    • (F33.3) 反復性うつ病性障害,現在精神病症状を伴う重症エピソード
    • (F33.4) 反復性うつ病性障害,現在寛解中のもの
    • (F33.8) その他の反復性うつ病性障害
    • (F33.9) 反復性うつ病性障害,詳細不明
  • (F34) 持続性気分[感情]障害
  • (F38) その他の気分[感情]障害
    • (F38.0) その他の単発性気分[感情]障害
    • (F38.1) その他の反復性気分[感情]障害
    • (F38.8) その他の特定の気分[感情]障害
  • (F39) 詳細不明の気分[感情]障害

(F40-F48) 神経症性障害,ストレス関連障害及び身体表現性障害

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(F50-F59) 生理的障害及び身体的要因に関連した行動症候群

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(F60-F69) 成人の人格及び行動の障害

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(F70-F79)知的障害〈精神遅滞〉

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  • (F70) 軽度知的障害〈精神遅滞〉
  • (F71) 中等度知的障害〈精神遅滞〉
  • (F72) 重度知的障害〈精神遅滞〉
  • (F73) 最重度知的障害〈精神遅滞〉
  • (F78) その他の知的障害〈精神遅滞〉
  • (F79) 詳細不明の知的障害〈精神遅滞〉

(F80-F89)心理的発達の障害

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(F90-F98)小児〈児童〉期及び青年期に通常発症する行動及び情緒の障害

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  • (F90) 多動性障害
  • (F91) 行為障害
    • (F91.0) 家庭限局性行為障害
    • (F91.1) 非社会化型〈グループ化されない〉行為障害
    • (F91.2) 社会化型〈グループ化された〉行為障害
    • (F91.3) 反抗挑戦性障害
    • (F91.8) その他の行為障害
    • (F91.9) 行為障害,詳細不明
  • (F92) 行為及び情緒の混合性障害
    • (F92.0) 抑うつ性行為障害
    • (F92.8) その他の行為及び情緒の混合性障害
    • (F92.9) 行為及び情緒の混合性障害,詳細不明
  • (F93) 小児〈児童〉期に特異的に発症する情緒障害
    • (F93.0) 小児〈児童〉期の分離不安障害
    • (F93.1) 小児〈児童〉期の恐怖症性不安障害
    • (F93.2) 小児〈児童〉期の社交不安障害
    • (F93.3) 同胞抗争障害
    • (F93.8) その他の小児〈児童〉期の情緒障害
      • 同一性障害[10]
      • 過剰不安障害[10]
    • (F93.9) 小児〈児童〉期の情緒障害,詳細不明
  • (F94) 小児〈児童〉期及び青年期に特異的に発症する社会的機能の障害
  • (F95) チック障害
  • (F98) 小児〈児童〉期及び青年期に通常発症するその他の行動及び情緒の障害
    • (F98.0) 非器質性遺尿(症)
    • (F98.1) 非器質性遺糞(症)
    • (F98.2) 乳幼児期及び小児〈児童〉期の哺育障害
    • (F98.3) 乳幼児期及び小児〈児童〉期の異食(症)
    • (F98.4) 常同運動障害
    • (F98.5) 吃音症
    • (F98.6) 早口〈乱雑〉言語症
    • (F98.8) 小児〈児童〉期及び青年期に通常発症するその他の明示された行動及び情緒の多動を伴わない注意欠損障害
    • (F98.9) 小児〈児童〉期及び青年期に通常発症する詳細不明の行動及び情緒の障害

(F99)詳細不明の精神障害

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  • (F99) 精神障害,詳細不明

脚注

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参考文献

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ICD-10第5章

その他

関連項目

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外部リンク

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