バーラト・ベンツ
業種 | 輸送用機器 |
---|---|
設立 | 2011年 |
本社 | 、 |
主要人物 | Marc Llistosella(社長兼CEO) |
製品 | 商用車(トラック) |
従業員数 | 1,200人 |
親会社 | ダイムラートラックAG (100%) |
ウェブサイト | http://www.bharatbenz.com |
バーラト・ベンツ (BharatBenz) はダイムラートラックAGのインド100%子会社であるダイムラー・インディア・コマーシャル・ビークルズ (Daimler India Commercial Vehicles, DICV) によって製造・販売が行われるインド市場専用のトラックブランドである。ダイムラー・トラックス第五のブランドとなる。「バーラト」とはインド諸言語で「インド」を意味する[1][2]。海外向けにはFUSOブランドで輸出を行っている。
なお、DICVは現在およそ1,200人の従業員を擁する[3]。
沿革
[編集]2008年、ダイムラーAGはヒーロー・グループと中型および大型商用車を製造を行う合弁事業でインド市場への参入を計画していた[4]。合弁会社は2008年7月の覚書に基いてダイムラーAGが60%、ヒーロー・グループが40%の出資比率で設立され、ダイムラー・ヒーロー・コマーシャル・ビークルズ (Daimler Hero Commercial Vehicles, DHCV) と名付けられた。Marc LlistosellaがCEOに、Amit Chaturvediが副CEOにそれぞれ任命された[5]。
しかしながら、ダイムラーAGとヒーロー・グループは2009年4月15日、インド経済の低迷を理由に合弁解消を発表した[6][7]。ヒーロー・グループは本業への注力を決断し、40%のDHCV株をダイムラーAGに譲渡した[8]。ダイムラーAGの100%子会社となり、DHCVはダイムラー・インディア・コマーシャル・ビークルズ (DICV) と改称した。
バーラト・ベンツブランドの発足は2011年2月17日にチェンナイでダイムラーAG会長ディーター・ツェッチェによって発表され[1]、最初のバーラト・ベンツトラックは2012年1月4日にニューデリーオートエクスポにてお披露目された[3][9]。同年3月2日、ハイデラバードにてバーラト・ベンツの9~49トンの中型および大型トラックの発表会が行われた。2014年までに全17種のラインナップが出揃う予定である。また、ディーラー網は当初70店舗からスタートし、2014年までに100店舗にまで拡大する予定である[10][11]。
2012年6月21日、大型トラックの製造が開始され[12]、9月26日から発売を開始。3ヶ月で1,098台を販売した[13]。大型トラックに続いて、2012年10月には中型トラックの生産も開始され[14]、2013年2月20日から販売が開始された[15]。
2013年7月10日、5000台目のトラックがラインオフした[16]。
2014年1月31日、DICVは新たにバーラト・ベンツ4車種(トラクター・トレイラーの4023、4028、4928、および鉱工業向けの3128)を発表した。また、同ブランドのトラックの販売台数が累計7,500台に達したことも併せて発表された[17][18]。
生産拠点
[編集]DICVは7億ユーロ(440億ルピー)以上を投じてタミル・ナードゥ州チェンナイ近郊のオラガダムにトラックの製造工場を建設し、2012年4月18日にその開所記念式典が行われた[19][20]。工場の組立エリアは160ヘクタールあり、そのうち19ヘクタールは2つの異なるテストコース(それぞれ3レーン全長1.55km、2レーン全長1.16km)に充てられている[21]。2012年当初の生産能力は36,000台であり、2013年始までにさらに35億ルピーを投じて年70,000台に拡大する予定である[22][19][20]。
DICVは450以上の現地サプライヤーと協業している[3]。これによって現地調達率は操業開始時点で85%前後となり、これを90%以上に引き上げることを目標としている。サプライヤーの41%はタミル・ナードゥ州を拠点としており、44%がインドの他の地域を拠点としている[22]。
また、DICVは初期投資120億ルピーでオラガダム工場にR&Dセンターも設立している[23]。
2012年9月5日にはメルセデス・ベンツ・アクトロストラックの製造がプネー近郊チャカンのメルセデス・ベンツの工場からオラガダムに移管された[23][24]。
2014年3月6日、DICVのオラガダム工場にてバス製造工場の定礎式が行われた。42億5000万ルピーを投じて、面積27.91エーカー(11万3千平方メートル)の規模で建設され、2015年第2四半期に完工の予定となっている。当初の製造能力は1,500台/年で、4,000台/年まで増産が可能となる。また、ダイムラーとフロントエンジン車の分野で協力関係にある北アイルランドのバス車体架装メーカー、ライトバスによる車体製造設備も併設される。
この新工場では9トン、16トン、16トン超のカテゴリーのバスを製造し、メルセデス・ベンツ及びバーラト・ベンツの両ブランドにて販売される。バーラト・ベンツのバスはフロントエンジンとなり、スクールバスや都市間バスのカテゴリーをターゲットとする。一方、メルセデス・ベンツのバスはリアエンジンの高級都市間バスとなる予定である。いずれもインド、あるいは輸出先となるアジア・アフリカの地域事情に特化した車種となる[25][26]。
車種一覧
[編集]中型トラック(GVW 9~12トン)は三菱ふそうのキャンター(キャブ)とファイター(足回り)をベースに開発され、4D34型3907cc 4気筒ディーゼルエンジンを搭載する。大型トラック(GVW 25~49トン)はメルセデス・ベンツ・アクサーのプラットフォームをベースに開発され、6373cc 6気筒ディーゼルを搭載する[10][20]。全車種がBSⅢ排ガス規制(EUROⅢ相当)に準拠する[3]。
- 中型トラック
- 914(GVW 9トン)
- 1214(GVW 12トン)
- 大型トラック
- 2523(GVW 25トン)
- 3123(GVW 31トン)
- ダンプカー
- 1217(GVW 12トン)
- 2523(GVW 25トン)
- 2528(GVW 25トン)
- 3128(GVW 31トン)
- トラクター
- 4928(GVW 49トン)
海外輸出
[編集]2013年5月23日、三菱ふそうトラック・バスがアジア・アフリカ地域向け大型・中型トラックを発表した。バーラト・ベンツ車をベースとするが、「FUSO」ブランドにて販売が行われる。2013年4月からDICVのオラガダム工場で生産が開始されており、6月のスリランカを皮切りに、2013年内にバングラデシュ、ザンビア、ケニア、ブルネイへ順次輸出されている。今後は、他のアジア・アフリカ諸国にも展開していく予定である[27]。
将来の計画
[編集]脚注
[編集]- ^ a b “Daimler Unveils BharatBenz – An Exclusive Brand for Its Trucks in India”. ダイムラー (2011年2月17日). 2013年7月31日閲覧。
- ^ “BharatBenz trucks from Daimler by mid-2012”. The Hindu (2012年1月4日). 2013年7月31日閲覧。
- ^ a b c d “Daimler Reveals Its First Truck "Made in India"”. ダイムラー (2012年1月4日). 2013年7月31日閲覧。
- ^ “Daimler-Hero JV to start in 2010, make 70,000 trucks”. The Economic Times (2008年7月7日). 2013年7月31日閲覧。
- ^ “The Indo-German joint venture Daimler Hero Commercial Vehicles (DHCV)”. ダイムラー (2008年7月7日). 2013年7月31日閲覧。
- ^ “Money Control News- Hero pulls out of Rs 4400cr Daimler JV”. Moneycontrol.com (2009年4月16日). 2013年7月31日閲覧。
- ^ “Repositioning of the Daimler Hero Commercial Vehicles Ltd. joint venture in India”. ダイムラー (2009年4月15日). 2013年7月31日閲覧。
- ^ “Hero exits truck J-V with Daimler, citing slowdown”. Hindustan Times (2009年4月15日). 2013年7月31日閲覧。
- ^ “BharatBenz reveals 'Made in India' truck”. ZigWheels (2012年1月4日). 2013年7月31日閲覧。
- ^ a b “Product Debut in Hyderabad: Daimler Unveils the New Trucks for India by the BharatBenz Brand”. ダイムラー (2012年5月2日). 2013年7月31日閲覧。
- ^ “三菱ふそう インド向け車両開発をサポート ~4月より現地生産を開始~”. 三菱ふそうトラック・バス (2012年3月2日). 2013年7月31日閲覧。
- ^ “Right on schedule: First series-produced BharatBenz truck rolls off the assembly line”. ダイムラー (2012年6月21日). 2013年7月31日閲覧。
- ^ “A Big Hit: Over 1,000 BharatBenz heavy-duty trucks sold in India after only 3 months”. ダイムラー (2013年2月15日). 2013年7月31日閲覧。
- ^ “Daimler expands its Truck Family in India: Start of Production for New BharatBenz Models”. ダイムラー (2012年10月5日). 2013年7月31日閲覧。
- ^ “Starting signal: Effective immediately Daimler also starts sales of medium-duty BharatBenz trucks in India”. ダイムラー (2013年2月20日). 2013年7月31日閲覧。
- ^ “Daimler rolls out 5000th truck from Chennai plant”. The Economic Times (2013年7月10日). 2013年7月31日閲覧。
- ^ Karthik H (2014年1月31日). “IAB Report – Four new BharatBenz models launched”. Indian Autos blog. 2014年1月31日閲覧。
- ^ Pearl Daniels (2014年1月31日). “Daimler unveils four new BharatBenz trucks for India”. Rush Lane. 2014年1月31日閲覧。
- ^ a b “Daimler Opens New Production Plant in Chennai for Indian BharatBenz Trucks”. ダイムラー (2012年4月18日). 2013年7月31日閲覧。
- ^ a b c “ダイムラー 印チェンナイの工場を開設、記念式典を実施~三菱ふそう小・中型車をベースにした車両を生産~”. 三菱ふそうトラック・バス (2012年4月19日). 2013年7月31日閲覧。
- ^ “Daimler Trucks Unveils Truck Test Track in Oragadam, near Chennai, India”. ダイムラー (2010年3月19日). 2013年7月31日閲覧。
- ^ a b c “DICV to roll out BharatBenz trucks by Q3 2012”. The Indian Express (2012年1月4日). 2013年7月31日閲覧。
- ^ a b “Daimler India working on new range of buses to take on Tata Motors, Ashok Leyland”. The Hindu Business Line (2012年1月4日). 2013年7月31日閲覧。
- ^ “Mercedes-Benz Actros trucks roll out from Chennai facility”. The Hindu Business Line (2012年9月5日). 2013年7月31日閲覧。
- ^ Karthik H (2014年3月6日). “IAB Report – Daimler lays foundation stone for bus manufacturing plant, announces BharatBenz bus brand”. Indian Autos blog. 2014年3月6日閲覧。
- ^ “【インド―生産】ダイムラーがインドにバス工場を新設、15年稼働へ”. 国際自動車ニュース (2014年3月7日). 2014年3月7日閲覧。
- ^ “三菱ふそう 「FUSO」ブランド アジア・アフリカ向け戦略車を発表”. 三菱ふそうトラック・バス (2013年5月23日). 2013年7月31日閲覧。
- ^ “Daimler India Commercial Vehicle integrates Mercedes Benz Bus Division”. The Economic Times (2013年4月1日). 2013年7月31日閲覧。