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マルバスミレ

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ヒゲケマルバスミレから転送)
マルバスミレ
マルバスミレ、伊吹山、岐阜県揖斐郡揖斐川町にて、2019年5月2日撮影
マルバスミレ、伊吹山岐阜県揖斐郡揖斐川町にて
2019年5月撮影
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
: キントラノオ目 Malpighiales
: スミレ科 Violaceae
: スミレ属 Viola
: マルバスミレ V. keiskei
学名
Viola keiskei Miq.[1]
シノニム

Viola keiskei Miq. var. glabra (Makino) W.Becker[2]

和名
マルバスミレ
品種
  • Viola keiskei Miq. f. barbata Hiyama ex F.Maek. ヒゲケマルバスミレ[3]

マルバスミレ(丸葉菫、学名Viola keiskei Miq.[1])は、スミレ科スミレ属分類される多年草の1[4][5]の形状に丸みがり、純白のをつける[5]。種小名(keiskei)は、伊藤圭介への献名[6]シノニムViola keiskei Miq. var. glabra (Makino) W.Becker[2]で、この変種名(glabra)は「無毛の」を意味し、ケマルバスミレの変種として扱われることもある[7]。別名がケマルバスミレ[5]

特徴

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花期の草丈は5-10 cm[5]、花後の草丈は約25 cm[7]地下茎は短い[4]。ふつう葉や葉柄に粗い毛があり[5]、葉は柔らかく、円心形、円頭、鈍鋸歯があり、基部は深い心形、長さ2-4 cm、柄の長さは2-10 cm[4]。葉の表面は緑色、裏面は淡緑色[5]。果期には葉はさらに大きくなり、柄も長くなる[4]。花は丸みがあり直径約2 cm、白色で時に淡紅紫色を帯び[5]花柄は長さ5-10 cmで[4]まばらに開出毛が生える[8]。花期は4月上旬-5月上旬[5]片は緑色-褐色で[5]、長楕円状披針形で耳に歯牙がある[4]花弁は長さ10-14 mm、側弁は無毛または少し毛があり、唇弁には紫条が入る[4]は長さ6-7 mm[4]花柱の上部は張り出してカマキリの頭形[5]。丸い果実は熟すと3つに分かれ、舟型の果皮が乾燥すると、中の種子を両側からはさみ、その圧力で弾き飛ばす[9]。種子の一部に小さな白い部分があり、これがアリが好むエライオソームで、アリが種子を運ぶ[9]

分布と生育環境

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山地の林下で柔らかくて崩れ易い場所に群生するマルバスミレ

シベリア中国朝鮮半島日本[5]の暖帯に分布する[7]。日本以外での個体数は少ないと見られている[5]

日本では、本州四国九州に分布する[4]。北限が青森県、南限が屋久島[5]太平洋側の内陸部に多く、西日本では一部を除いてあまり多くない[5]

山地丘陵地[4]や道端などの日当たりの良い場所から[7]半日陰の土手や落葉樹林下に生育数する[5]。特に柔らかくて崩れ易い場所に群生することが多い[10]

分類

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従来マルバスミレはケマルバスミレの無毛品として扱われていたが[4][11]、無毛品は極めてまれであることから両方を含めてマルバスミレとして扱われている[10]。 側弁の基部に毛がある品種として、ヒゲケマルバスミレ(髭毛丸葉菫、学名:Viola keiskei Miq. f. barbata Hiyama ex F.Maek.[3])が知られている[5]エイザンスミレとの交雑種として、ワカミヤスミレ(若宮菫、学名:Viola eizanensis (Makino) Makino x V. keiskei Miq.[12])が知られている。

種の保全状況評価

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日本では国レベルの環境省によるレッドリストの指定はないが[13]、以下の都道府県でレッドリストの指定を受けている。

脚注

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  1. ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “マルバスミレ”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2020年4月22日閲覧。
  2. ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “マルバスミレ”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2020年4月22日閲覧。
  3. ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “ヒゲケマルバスミレ”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2020年4月22日閲覧。
  4. ^ a b c d e f g h i j k 佐竹 (1982)、247頁
  5. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p いがり (2015)、150頁
  6. ^ 名古屋大学付属図書館 (2013)、20頁
  7. ^ a b c d 牧野 (1982)、348頁
  8. ^ 門田裕一 (2016)「スミレ科」『改訂新版 日本の野生植物 3』p.218
  9. ^ a b 菱山 (2010)、20頁
  10. ^ a b いがり (2015)、151頁
  11. ^ ふくいミュージアムNo.18”. 福井県立歴史博物館. p. 5. 2022年4月20日閲覧。
  12. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “ワカミヤスミレ”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2020年4月22日閲覧。
  13. ^ 環境省レッドリスト2019の公表について”. 環境省. 2020年4月22日閲覧。
  14. ^ 山形県第2次レッドリスト(植物編)について(2013年度改訂版)” (PDF). 山形県. pp. 3. 2020年4月22日閲覧。
  15. ^ 改訂版 福井県の絶滅のおそれのある野生動植物” (PDF). 福井県. pp. 334. 2020年4月22日閲覧。
  16. ^ マルバスミレ”. 京都府 . 2020年4月22日閲覧。
  17. ^ 富山県の絶滅のおそれのある野生生物-レッドデータブックとやま2012-”. 富山県. 2020年4月22日閲覧。
  18. ^ レッドデータブック改訂版” (PDF). 鳥取県. pp. 281. 2020年4月22日閲覧。
  19. ^ 長崎県レッドリスト(2011)中間見直し、維管束植物” (PDF). 長崎県. pp. 6. 2020年4月22日閲覧。
  20. ^ 植物準絶滅危惧(784種)(平成27年度改訂)”. 鹿児島県 . 2020年4月22日閲覧。
  21. ^ 新潟県第2次レッドリスト 植物(維管束植物及びコケ植物)編について” (PDF). 新潟県. pp. 10. 2020年4月22日閲覧。

参考文献

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  • いがりまさし『増補改訂日本のスミレ』山と溪谷社〈山溪ハンディー図鑑〉、2015年1月15日。ISBN 9784635070065 
  • 大橋広好・門田裕一・木原浩他編『改訂新版 日本の野生植物 3』、2016年、平凡社
  • 名古屋大学付属図書館錦窠図譜の世界 -幕末・明治の博物誌-』名古屋大学付属図書館、2003年10月15日https://www.nul.nagoya-u.ac.jp/event/tenji/2003ito/kinka.pdf 
  • 佐竹義輔大井次三郎北村四郎、亘理俊次、冨成忠夫 編『日本の野生植物 草本II離弁花類』平凡社、1982年3月17日。ISBN 458253502X 
  • 菱山忠三郎『里山・山地の身近な山野草―季節ごとの姿・形・色がこれ一冊でわかる画期的な図鑑』主婦の友社、2010年9月10日。ISBN 978-4072741283 
  • 牧野富太郎、本田正次『原色牧野植物大図鑑北隆館、1982年7月。ASIN B000J6X3ZENCID BN00811290全国書誌番号:85032603https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001728467-00 

関連項目

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外部リンク

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