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ヒナノキンチャク

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ヒナノキンチャク
ヒナノキンチャク、伊吹山(岐阜県揖斐郡揖斐川町)、2016年8月17日撮影
ヒナノキンチャク、伊吹山岐阜県揖斐郡揖斐川町)にて
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 core eudicots
階級なし : バラ類 rosids
階級なし : マメ類 fabids
: マメ目 Fabales
: ヒメハギ科 Polygalaceae
: ヒメハギ属 Polygala
: ヒナノキンチャク P. tatarinowii
学名
Polygala tatarinowii Regel[1]
和名
ヒナノキンチャク

ヒナノキンチャク(雛の巾着、小扁豆[2]、学名:Polygala tatarinowii Regel[1])は、マメ目ヒメハギ科ヒメハギ属分類される一年草の1[3][4]

和名は、小さくて可愛らしい果実の形態を巾着に見立てたことに由来する[3][5]

特徴

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は基部から分岐し隆起線があり[5]、高さは7-15 cmで無[3]、全草でほとんど無毛[5]は薄く、1-2対の側脈があり[4]、長さ1-3 cmで縁に鋸歯はなく、毛がある[3][5]。卵円形または楕円形で、先が尖るものから丸いまのまであり、基部は急に細まり、葉柄は長さ2-8 mm[5]総状花序[3]、多数のが茎およびに頂生し、花軸とともに長さ8 cm[5]。花は黄色がかった薄紫色で長さ約2 mm[5]。側萼片は楕円形で花弁状、花弁は3個、下方の1個は先が房状[5]。花期は7-10月[5]蒴果は片側につき、直径約3 mmの楕円形で翼はない[5]種子は黒色、長さ約1mmの楕円形、表面に微毛があり[5]、先端に小型の仮種皮が付きアリにより散布される[6]

分布と生育環境

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日当たりのよい山上の草地に生育するヒナノキンチャク

東アジア中国朝鮮半島、日本)、東南アジアインドヒマラヤシベリア東部[5]暖帯から熱帯の地域に分布する[3]

日本では本州四国九州に分布する[3]福島県田村市滝根町のあぶくま洞では、2014年9月に総計1,000-2,000個体の大規模な個体群が確認されている[6]


山地の麓などの草地に生育する[3]花崗岩の地質でも生育が確認されているが、土壌が乏しい石灰岩地で安定した個体群が維持され易いと考えられている[7]

種の保全状況評価

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日本では、環境省による第4次レッドリスト(絶滅のおそれのある野生生物の種のリスト)で、絶滅危惧IB類(EN)の指定を受けている[8]

絶滅危惧IB類 (EN)環境省レッドリスト

[8]以下の多数の都道府県でレッドリストの指定を受けていて、絶滅が危惧されている種である。国立公園国定公園の特別地域の指定種に選定されていて、その区域での採集が禁止されている[9][10]

脚注

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  1. ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “ヒナノキンチャク”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2017年10月13日閲覧。
  2. ^ 『牧野日本植物圖鑑』北隆館 
  3. ^ a b c d e f g h 牧野 (1982)、278頁
  4. ^ a b 佐竹 (1982)、233頁
  5. ^ a b c d e f g h i j k l 佐竹 (1982)、234頁
  6. ^ a b c 加藤 (2016)、211頁
  7. ^ 加藤 (2016)、215頁
  8. ^ a b 環境省レッドリスト2017の公表について、別添資料6-1 環境省レッドリスト2015からの新旧対照表(五十音順)” (PDF). 環境省. pp. 96 (2017年3月31日). 2017年10月13日閲覧。
  9. ^ 絶滅危惧種の法令規制状況一覧” (PDF). 環境省. pp. 31. 2017年10月13日閲覧。
  10. ^ 室生赤目青山国定公園特別地域内で許可を受けずに採取又は損傷してはいけない植物”. 三重県. 2017年10月14日閲覧。
  11. ^ レッドデータブックとちぎ、「ヒナノキンチャク」”. 栃木県. 2017年10月13日閲覧。
  12. ^ 群馬県の絶滅のおそれのある野生生物 植物編(2012年改訂版)植物レッドリスト(2012年改訂版)” (PDF). 群馬県. pp. 1 (2012年4月13日). 2017年10月13日閲覧。
  13. ^ 東京都の保護上重要な野生生物種(本土部)2010年版、植物” (PDF). 東京都. pp. 29 (2013年5月21日). 2017年10月13日閲覧。
  14. ^ 三重県データブック2015、維管束植物” (PDF). 三重県. pp. 422. 2017年10月13日閲覧。
  15. ^ 茨城県版レッドデータブック<植物編>2012年改訂版、絶滅危惧ⅠA類(PDF1)” (PDF). 茨城県. pp. 58 (2016年7月15日). 2017年10月13日閲覧。
  16. ^ 埼玉県レッドデータブック2011 植物編、維管束植物” (PDF). 埼玉県. pp. 122 (2016年12月13日). 2017年10月13日閲覧。
  17. ^ 神奈川県レッドデータブック2006 WEB版(自然環境保全センターホームページ)、ヒナノキンチャク”. 神奈川県. 2017年10月13日閲覧。
  18. ^ 山梨県 レッドデータブック (平成17年6月公開)”. 山梨県. 2017年10月13日閲覧。
  19. ^ 長野県版レッドリスト(植物編)2014年、維管束植物” (PDF). 長野県. pp. 3 (2017年6月27日). 2017年10月13日閲覧。
  20. ^ 徳島県版レッドデータブック維管束植物<改訂:平成26年>” (PDF). 徳島県. pp. 12 (2014年). 2017年10月13日閲覧。
  21. ^ <カテゴリー別>高知県レッドリスト(植物編)2010改訂版” (PDF). 高知県. pp. 19. 2017年10月13日閲覧。
  22. ^ 福岡県の希少野生生物 福岡県レッドデータブック2011、ヒナノキンチャク”. 福岡県. 2017年10月13日閲覧。
  23. ^ 宮崎県版レッドリスト及びレッドデータブックについて”. 宮崎県 (2016年4月14日). 2017年10月13日閲覧。
  24. ^ いわてレーッドデータブック2014年版(岩手の希少な野生生物web版)、ヒナノキンチャク”. 岩手県. 2017年10月13日閲覧。
  25. ^ 千葉県レッドリスト−植物・菌類編(2017年改訂版)” (PDF). 千葉県. pp. 14. 2017年10月13日閲覧。
  26. ^ いしかわレッドデータブック植物編2010、ヒナノキンチャク” (PDF). 石川県. pp. 106 (2014年3月12日). 2017年10月13日閲覧。
  27. ^ 岐阜県レッドデータブック(植物編)改訂版一覧”. 岐阜県. 2017年10月13日閲覧。
  28. ^ 岡山県版レッドデータブック2009 絶滅のおそれのある野生生物” (PDF). 岡山県. pp. 133. 2017年10月13日閲覧。
  29. ^ 絶滅のおそれのある野生生物(「レッドデータブックひろしま2011」)レッドデータブックについて” (PDF). 広島県. pp. 1 (2013年3月18日). 2017年10月13日閲覧。
  30. ^ 「滋賀県で大切にすべき野生生物(滋賀県版レッドデータブック)2010年版」選定種リスト”. 滋賀県 (2017年5月25日). 2017年10月14日閲覧。
  31. ^ 静岡県版レッドリスト2017、植物” (PDF). 静岡県. pp. 3. 2017年10月13日閲覧。
  32. ^ レッドデータブックやまぐち、ヒナノキンチャク”. 山口県. 2017年10月13日閲覧。
  33. ^ 愛媛県レッドデータブック2014、ヒナノキンチャク”. 愛媛県. 2017年10月13日閲覧。
  34. ^ 植物情報不足(126種)(平成27年度改訂)”. 鹿児島県 (2016年8月16日). 2017年10月13日閲覧。

参考文献

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  • 加藤沙織、藤井伸二、山下由美、根本秀一、葛西英明、黒沢高秀福島県あぶくま洞におけるヒナノキンチャク(ヒメハギ科)の大規模個体群」『分類』第5巻第2号、日本植物分類学会、2016年、NAID 130005292295 
  • 佐竹義輔大井次三郎北村四郎、亘理俊次、冨成忠夫 編『日本の野生植物 草本II離弁花類』平凡社、1982年3月17日。ISBN 458253502X 
  • 牧野富太郎、本田正次『原色牧野植物大図鑑北隆館、1982年7月。ASIN B000J6X3ZENCID BN00811290全国書誌番号:85032603https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001728467-00 

関連項目

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外部リンク

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