ヒメコウゾ
ヒメコウゾ | |||||||||||||||||||||
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若枝の上部が雌花序、下部が雄花序
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分類(APG) | |||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||
Broussonetia monoica Hance (1882)[1] | |||||||||||||||||||||
シノニム | |||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||
ヒメコウゾ(姫楮) |
ヒメコウゾ(姫楮[5]、学名: Broussonetia kazinoki)はクワ科コウゾ属の落葉低木。雌雄同株で山地に生える。別名、ナンゴクコウゾともよばれる[1]。中国名は、楮[1]。学名に関しては、長らくBroussonetia kazinokiとされてきたが、近年の研究で命名者であるシーボルトが持ち帰ったBroussonetia kazinokiとされた原資料を調査した結果、それらの資料にヒメコウゾはないことからBroussonetia kazinoki =ヒメコウゾ説は否定され、ヒメコウゾの学名としてはBroussonetia monoicaとすることが提唱された[6]。
和紙の原料としても使われているコウゾ(楮、学名: B. kazinoki × B. papyrifera)は、本種とカジノキ(学名:B. papyrifera)の雑種で、葉もより大型である[5]。
特徴
[編集]樹高は2 - 5メートル (m) ほどになる。枝はややつる性となるが、茎は直立する。樹皮は灰褐色で縦筋があり、やや網目状になる[7]。一年枝は暗褐色で、無毛かやや毛が残る[7]。葉は枝に互生し[5]、長さ0.5 - 1センチメートル (cm) ほどの葉柄を持ち軟毛が生える。葉の形はゆがんだ卵形から広卵形で、ときにクワの葉のように2 - 3片に深裂する[5]。葉身の長さ4 - 10 cm、幅2 - 5 cm、基部はゆがんだ円形または鋭形で、先は尾状に長く尖る。葉の縁は鈍鋸歯があり、表面には短毛があり、裏面の葉脈には粗い毛がある。葉柄は短い[5]。秋になると、比較的鮮やかな黄色に紅葉する[5]。
花期は4 - 5月、雌雄同株で[7]、新枝の下部の葉腋に雄花序、上部の葉腋に雌花序をつける。雄花序は径1 cmほどの球状、雌花序は径4ミリメートル (mm) ほどの球状で、雌花序には赤紫色の長さ5 mmほどの糸状の花柱を多数つける。果期は7 - 8月で、径1.5 cmほどの赤熟した球状の集合果をつける。果実は食べられる[7]。
冬芽は互生し、丸みのある円錐形で2枚の芽鱗に包まれている[7]。冬芽と葉痕との間には托葉痕がある[7]。枝先につく仮頂芽は小さく、枝先は枯れることが多い[7]。葉痕は円形や楕円形で、維管束痕は多数が輪状に並ぶ[7]。
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葉と果実
分布と生育環境
[編集]日本では、本州の岩手県以南、四国、九州(奄美大島まで)に[7]、東アジアでは朝鮮半島、中国中南部に分布する。低地や低山地の林縁に自生する[5]。コウゾ類は和紙の原料として栽培されたので、人里周辺に多い[5]。
脚注
[編集]- ^ a b c 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Broussonetia monoica Hance ヒメコウゾ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年5月13日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Broussonetia kazinoki auct. non Siebold ヒメコウゾ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年5月13日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Broussonetia kazinoki Siebold f. tsusimensis Sugim. ヒメコウゾ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年5月13日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Broussonetia kaempferi Siebold var. australis T.Suzuki ヒメコウゾ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年5月13日閲覧。
- ^ a b c d e f g h 林将之 2008, p. 23.
- ^ 大場秀章,秋山忍 (6 2014). “日本のカジノキ属植物(クワ科)と学名”. 植物研究雑誌 89 (3): 123-128.
- ^ a b c d e f g h i 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 2014, p. 189
参考文献
[編集]- 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文『樹皮と冬芽:四季を通じて樹木を観察する 431種』誠文堂新光社〈ネイチャーウォチングガイドブック〉、2014年10月10日、189頁。ISBN 978-4-416-61438-9。
- 林将之『紅葉ハンドブック』文一総合出版、2008年9月27日。ISBN 978-4-8299-0187-8。
- 佐竹義輔ほか 編『日本の野生植物 木本Ⅰ』平凡社、1989年2月。ISBN 4-582-53504-6。