ヒメスミレサイシン
ヒメスミレサイシン | ||||||||||||||||||||||||||||||
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山梨県南都留郡 2021年5月上旬
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分類(APG IV) | ||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Viola yazawana Makino (1902)[1] | ||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
ヒメスミレサイシン(姫菫細辛)[2] |
ヒメスミレサイシン(姫菫細辛、学名:Viola yazawana)はスミレ科スミレ属の多年草[2][3][4]。
花は白く、紫色の条があり、開花時には葉は十分に展開しない[3]。スミレサイシン節 Sect. Vaginatae に属する[5]。
特徴
[編集]地下茎は肥厚し、長く横たわり、古い葉柄が残る。地下茎は、近縁のスミレサイシン V. vaginata ほどは太くはならない。地下匐枝はない。無茎の種で、高さは4-8cmになる。葉は開花時には内側に巻き、開花後に完全に展開する。葉柄は長さ3-8cm、果時には長さ15cmに達する。葉身は長さ1.5-4cm、長卵形で、先端は鋭くとがり、基部は深い心形になり、縁には上方に向かう鋭い鋸歯がまばらにある。葉質は薄く、表面は緑色で、両面に短毛が生える。托葉はほぼ離生し、長さ3-4cmの披針形になる[2][3][4]。
花期は4-6月。葉の間から長さ7-8cmになる花柄が伸び、白色で紫色の条がある径約1.5cmの花をつける。花柄途中には狭小な2個の小苞葉がある。花弁は長さ8-13mm、唇弁に紫色の条があり、側弁の基部に毛は生えない。唇弁の距は短く、長さは2.5-3mmになり、嚢状になる。萼片は狭卵状披針形で、長さ-8mmで、先端は外側に少し反り返り、反対側の付属体の縁は全縁になる。雄蕊は5個あり、花柱はカマキリの頭形になり、花柱上部の両翼は左右に短く張り出し、柱頭が突き出る。果実は卵形の蒴果で、長さ7-8mmになり、先がとがり、紫色の斑点があ。染色体数は2n=20[2][3][4]。
分布と生育環境
[編集]本州の中部地方東部の長野県戸隠山から本州を横断し、関東地方の秩父山地などに分布し、ブナ帯や亜寒帯針葉樹林の林床、林縁に生育する。フォッサマグナに沿った分布をするフォッサマグナ要素の植物[2][3][4]。日本以外では、朝鮮半島中部にも分布するという[3]。
名前の由来
[編集]和名のヒメスミレサイシンは「姫菫細辛」の意[2]。スミレサイシンと近縁で花が小型であることから、牧野富太郎がつけた[4]。
種小名(種形容語)yazawana は、長野県の教育者、博物学者で、高山植物研究者の矢澤米三郎への献名。Viola yazawana は、牧野 (1902) による命名である[6][7]
ギャラリー
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唇弁に紫色の条があり、側弁の基部に毛は生えない。花柱はカマキリの頭形になり、花柱上部の両翼は左右に短く張り出す。
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唇弁の距は短く、嚢状になる。萼片は狭卵状披針形で、先端は外側に少し反り返り、反対側の付属体の縁は全縁になる。
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花茎をつけていない葉。展開前は内側に巻く。
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なかば展開した葉。縁には上方に向かう鋭い鋸歯がまばらにある。
分類
[編集]スミレサイシン節 Sect. Vaginatae には、本種の他、シコクスミレ V. shikokiana、アケボノスミレ V. rossii、スミレサイシン V. vaginata、ナガバノスミレサイシン V. bissetii が属する[5]。同節のなかでは、花の色が白いのは、本種とシコクスミレである。また、シコクスミレを除いて、開花後に葉が完全に展開する共通点は一緒である[5]。
日本に分布する白花系のスミレ属のうち、亜高山帯に分布するものに、本種のほか、ウスバスミレ Viola blandiformis Nakai (1925)[8] がある。同種は、亜高山帯のいくらか湿った場所に生育する[9]が、本種は同種より乾いた場所に生育する傾向がある[3]。
関連項目
[編集]脚注
[編集]- ^ ヒメスミレサイシン「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
- ^ a b c d e f 『スミレハンドブック』p.92
- ^ a b c d e f g 門田裕一 (2016)「スミレ科」『改訂新版 日本の野生植物 3』p.214
- ^ a b c d e 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.717
- ^ a b c 門田裕一 (2016)「スミレ科」『改訂新版 日本の野生植物 3』p.210
- ^ 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.1520
- ^ T.Makino, ”Observations on the Flora of Japan.”, Botanical magazine, Tokyo『植物学雑誌』,Vol.16, No.186, p.158, 1902
- ^ ウスバスミレ「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
- ^ 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.718
参考文献
[編集]- 山田隆彦著『スミレハンドブック』、2010年、文一総合出版
- 大橋広好・門田裕一・木原浩他編『改訂新版 日本の野生植物 3』、2016年、平凡社
- 牧野富太郎原著、邑田仁・米倉浩司編集『新分類 牧野日本植物図鑑』、2017年、北隆館
- 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList)
- T.Makino, ”Observations on the Flora of Japan.”, Botanical magazine, Tokyo『植物学雑誌』,Vol.16, No.186, p.158, 1902