ヒメセミエビ属
ヒメセミエビ属 | |||||||||||||||||||||
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分類 | |||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||
Scyllarus Fabricius, 1775 |
ヒメセミエビ(姫蝉海老)はセミエビ科ヒメセミエビ属 Scyllarus に分類されるエビの総称。熱帯・亜熱帯域の浅海に生息する底生のエビ類で、多くの種類がある。日本沿岸には9種が分布し、その中の1種 Chelarctus cultrifer (Ortmann, 1891) に「ヒメセミエビ」の和名が充てられる。
体長はどの種類も数 - 10cmほどで、セミエビ科としては小型だが、他のセミエビ科のエビ類と同様に体が扁平で、厚い甲に覆われる。セミエビに似るが体が小さいためにこの和名があるが、大きさからするとこちらの方がセミに近い。体の両縁にはセミエビ同様に棘がないが、第2触角には鋸状の歯がある点でセミエビと区別する。種類によって体の突起や第2触角の鋸歯の数、歩脚の不完全な鋏などの差異がある。
全世界の熱帯・亜熱帯域に分布し、浅海の岩礁やサンゴ礁に生息する。昼は岩やサンゴの陰に潜み、夜に海底を歩行し活動する。
日本では本州中部以南に分布する。イセエビ用の刺し網など沿岸漁業で混獲されるが小型で漁獲量も少なく、一般には食用とはしない。
分類
[編集]かつて、ヒメセミエビ亜科 Scyllarinae はヒメセミエビ属 Scyllarus のみからなる単型亜科だった。だが、2002年にヒメセミエビ属は大規模な再編を受け、多くの種が別属へ分割された[1]。GODACの資料では現在でもScyllarus 属をヒメセミエビ属としているが、実際にはヒメセミエビはこの属に属していない[2]。
以下にヒメセミエビ亜科の分類を示す。現生種として13属52種が属する[3]。和名は関口 (2009) などによる[4][5]。
- †Scyllarella Rathbun, 1935
- Bathyarctus Holthuis, 2002 シンカイヒメセミエビ属 - 6種
- Bathyarctus chani Holthuis, 2002 ジュンタツヒメセミエビ
- Bathyarctus formosanus (Chan & Yu, 1992) タイワンヒメセミエビ
- Petrarctus Holthuis, 2002 コブヒメセミエビ属 - 5種
- Petrarctus rugosus (H. Milne Edwards, 1837) コブヒメセミエビ
- Petrarctus brevicornis (Holthuis, 1946) ヨコヤヒメセミエビ(シワヒメセミエビ)
- Scammarctus Holthuis, 2002 カトウヒメセミエビ属 - 1種
- Scammarctus batei (Holthuis, 1946) カトウヒメセミエビ
- Crenarctus Holthuis, 2002 フタバヒメセミエビ属 - 2種
- Crenarctus bicuspidatus (de Man, 1905) フタバヒメセミエビ
- Chelarctus Holthuis, 2002 ツメヒメセミエビ属 - 4種
- Chelarctus cultrifer (Ortmann, 1897) ヒメセミエビ
- Galearctus Holthuis, 2002 カブトヒメセミエビ属 - 7種
- Galearctus aurora (Holthuis, 1982) オーロラヒメセミエビ(ヤマシタヒメセミエビ)
- Galearctus kitanoviriosus (Harada, 1962) キタンヒメセミエビ
- Galearctus timidus (Holthuis, 1960) イッカクヒメセミエビ
- Antarctus Holthuis, 2002 - 1種
- Remiarctus Holthuis, 2002 - 1種
- Eduarctus Holthuis, 2002 エクボヒメセミエビ属 - 8種
- Eduarctus martensii (Pfeffer, 1881) エクボヒメセミエビ
- Eduarctus aesopius (Holthuis, 1960) シボリヒメセミエビ
- Scyllarus Fabricius, 1775 (旧ヒメセミエビ属)- 9種
- Scyllarus chacei Holthuis, 1960 チェースヒメセミエビ
- Scyllarus depressus (Smith, 1881) トゲヒメセミエビ
- Acantharctus Holthuis, 2002 - 3種
- Gibbularctus Holthuis, 2002 - 1種
- Biarctus Holthuis, 2002 - 4種
- Biarctus vitiensis (Dana, 1852) ツメナガヒメセミエビ
原田英司は、日本沿岸で新種2種を含む7種の分布を確認した(1962年)。20世紀末の時点では9種、2009年には11種の生息が確認されている[4]。
系統
[編集]次のような系統樹が得られている[6]。
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参考文献
[編集]- ^ Holthuis, Lipke Bydeley. (2002), The Indo-Pacific scyllarine lobsters (Crustacea, Decapoda, Scyllaridae), Muséum national d'Histoire naturelle
- ^ “Chelarctus Holthuis, 2002 in BiSMAL”. 2015年1月30日閲覧。
- ^ "Scyllarinae Latreille, 1825". World Register of Marine Species. 2015年1月30日閲覧。
- ^ a b 関口秀夫, 木村昭一, 井上誠章 (2009). “本邦水域の初記録および希種のヒメセミエビ類4種”. タクサ: 日本動物分類学会誌 26: 1-11. NAID 110008511451.
- ^ “南半球の魚図鑑 The pictorial books->スリナム・ギアナ沖の甲殻類および軟体類”. 2015年1月30日閲覧。[リンク切れ]
- ^ Yang, Chien-Hui, et al. (2012). “Phylogenetic relationships, character evolution, and taxonomic implications within the slipper lobsters (Crustacea: Decapoda: Scyllaridae)”. Molecular phylogenetics and evolution 62 (1): 237-250. doi:10.1016/j.ympev.2011.09.019.
- 保育社「標準原色図鑑全集16 海岸動物」内海冨士夫・西村三郎・鈴木克美 1971年初版
- 保育社「原色日本大型甲殻類図鑑」I 三宅貞祥 ISBN 4-586-30062-0
- 山と渓谷社「ヤマケイポケットガイド16 海辺の生き物」小林安雅 ISBN 4-635-06226-0