ヒヨクソウ
ヒヨクソウ | |||||||||||||||||||||||||||
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分類(APG IV) | |||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||
Veronica laxa Benth. (1835)[1] | |||||||||||||||||||||||||||
シノニム | |||||||||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||||||||
ヒヨクソウ(比翼草)[3] |
ヒヨクソウ(比翼草、学名:Veronica laxa)は、オオバコ科クワガタソウ属の多年草[3][4][5][6]。
従来の分類体系である新エングラー体系、クロンキスト体系では、クワガタソウ属はゴマノハグサ科に含められていた[1]。
特徴
[編集]地下茎は短く這う。茎は数本が直立または斜上し、細く、高さは25-70cmになり、軟毛がやや密に生える。葉は対生し、葉柄は短いかまたはほとんど無く、葉身は卵形で長さ2-4.5cm、幅1-3cm、先端はとがり、縁は粗く不規則な重鋸歯があり、基部は円い。葉の両面に軟毛が密に生える。茎の上部の葉は大きく、下部のものは小さくなる[3][4][5][6][7]。
花期は6-7月。茎の上部の葉腋から長さ5-20cmになる細い総状花序を出し、上部が開いたU字型に対生して、多くの花をつける。花柄は長さ2-3mmになり、軟毛が密に生える。花柄の下に苞葉があり、線状披針形で花柄と同じ長さか、少し長い。萼は長さ3-6mmで深く4裂し、萼裂片は狭卵形でややとがる。花冠は径6-8mmで皿形になり、深く4裂し、淡紅紫色または淡青紫色になる。雄蕊は2個あり花冠と同じ長さ。雌蕊は1個あり、花柱は長さ2-3mmにる。果実は蒴果となり、倒心形で平たく、長さ約3mm、幅4mmで、先端はへこみ、縁に毛が生える。果実は萼片より少し短い[3][4][5][6][7]。
分布と生育環境
[編集]日本では、北海道西南部、本州、四国に分布し、山地の日当たりの良い草地に生育する[3][5][6]。世界では、中国大陸、パキスタン、インド、ヒマラヤに分布する[5]。
名前の由来
[編集]和名ヒヨクソウは「比翼草」の意で、細長い花序が対になって出ているようすによる[5][6]。古くからある名前で、1856年(安政3年)に出版された飯沼慾斎の『草木図説』前編20巻中第1巻の「ヒヨクサウ」には、「其葉腋枝ヲ出シ。両々相對乄(して)長クヒロガルヲ以テ。ヒヨクサウノ名ヲ得」とある[8]。
種小名(種形容語)laxa は、「まばらな」「開いた」「怠惰な」の意味[9]。
種の保全状況評価
[編集]国(環境省)のレッドデータブック、レッドリストの選定はない。都道府県のレッドデータ、レッドリストの選定状況は次の通り[10]。
岩手県-Cランク、宮城県-準絶滅危惧(NT)、秋田県-絶滅危惧種Ⅱ類(VU)、山形県-絶滅危惧IA類(CR)、栃木県-絶滅危惧Ⅱ類(Bランク)、新潟県-絶滅危惧種Ⅱ類(VU)、石川県-準絶滅危惧(NT)、福井県-要注目、長野県-準絶滅危惧(NT)、静岡県-要注目種:現状不明(N-I)、愛知県-絶滅危惧IB類(EN)、京都府-準絶滅危惧種、兵庫県- Cランク、奈良県-希少種、岡山県-情報不足
ギャラリー
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茎の上部の葉腋から細い総状花序を出し、上部が開いたU字型に対生して、多くの花をつける。
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花冠は皿形になり、深く4裂し、淡紅紫色になる。
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茎は細く、軟毛がやや密に生える。葉は対生し、葉柄は短いかまたはほとんど無い。葉の両面に軟毛が密に生える。
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果実は蒴果となり、倒心形で平たく、先端はへこみ、縁に毛が生え、萼片より少し短い。
カラフトヒヨクソウ
[編集]類似の種に、ユーラシア大陸(ヨーロッパからシベリア、サハリン)原産の帰化植物であるカラフトヒヨクソウ Veronica chamaedrys L. (1753)[11]がある。日本では、1976年に三重県四日市港で見いだされ、北海道にも帰化している。世界では北アメリカ、オーストラリアなどにも帰化している。しばしば観賞用に栽培される[12][13]。
荒れ地に生える多年草で、茎は地を這って広がり、高さは15-30cmになる。茎は細く、2列に並んだ上向きの軟毛が生える。葉は対生し、葉身は卵形から三角形で長さ1.5-3cm、幅1-2cmになり、先端は鈍いかややとがり、縁に粗い鋸歯があり、基部は切形となってやや茎を抱く。葉の表面は無毛で、裏面の葉脈上と縁に毛が生える。花期は6-8月。茎の上部の葉腋から長さ5-15cmになる総状花序を伸ばして、まばらに花をつける。萼は基部まで深く4裂し、萼裂片は線形でややとがり、長さ3-5mm、軟毛が生える。花冠は径約10mmで皿形になり、深く4裂し、淡青紫色になる。果実は蒴果となり、倒心形で平たく、長さ約4mm、幅約5mmで、萼片に包まれる。種子は多数あり、ほぼ球形になる[12][13]。
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ドイツ、ベルリン 2012年5月下旬
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茎の上部の葉腋から総状花序を伸ばして、まばらに花をつける。
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花冠は皿形になり、深く4裂し、淡青紫色になる。
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茎は細く、2列に並んだ上向きの軟毛が生える。
関連項目
[編集]脚注
[編集]- ^ a b ヒヨクソウ 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
- ^ ヒヨクソウ(シノニム) 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
- ^ a b c d e 『山溪ハンディ図鑑2 山に咲く花(増補改訂新版)』p.457
- ^ a b c 『新北海道の花』p.303
- ^ a b c d e f 大橋広好 (2017)「オオバコ科」『改訂新版 日本の野生植物 5』p.85
- ^ a b c d e 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.1042
- ^ a b 『原色日本植物図鑑・草本編I(改訂59刷)』p.144
- ^ 飯沼慾斎 草木図説前編20巻(1)、ヒヨウサウ、コマ番号47/67、国立国会図書館デジタルコレクション-2021年12月13日閲覧
- ^ 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.1499
- ^ ヒヨクソウ、日本のレッドデータ検索システム、2021年12月13日閲覧
- ^ カラフトヒヨクソウ 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
- ^ a b 山崎敬 (2003)「ゴマノハグサ科」『日本の帰化植物』p.190
- ^ a b 『増補改訂 日本帰化植物写真図鑑 第2巻』p.232
参考文献
[編集]- 北村四郎・村田源・堀勝著『原色日本植物図鑑・草本編I(改訂59刷)』、1983年、保育社
- 清水建美編『日本の帰化植物』、2003年、平凡社
- 梅沢俊著『新北海道の花』、2007年、北海道大学出版会
- 門田裕一監修、永田芳男写真、畔上能力編『山溪ハンディ図鑑2 山に咲く花(増補改訂新版)』、2013年、山と溪谷社
- 植村修二・勝山輝男・清水矩宏他編著『増補改訂 日本帰化植物写真図鑑 第2巻』、2015年、全国農村教育協会
- 牧野富太郎原著、邑田仁・米倉浩司編集『新分類 牧野日本植物図鑑』、2017年、北隆館
- 大橋広好・門田裕一・木原浩他編『改訂新版 日本の野生植物 5』、2017年、平凡社
- 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
- 日本のレッドデータ検索システム
- 飯沼慾斎 草木図説前編20巻(1)、ヒヨクサウ、コマ番号47/67、国立国会図書館デジタルコレクション-2021年12月13日閲覧