ビーグル B.206 バセット
ビーグル B.206 バセット
- 用途:連絡機・旅客機
- 設計者:ビーグル・エアクラフト
- 製造者:ビーグル・エアクラフト
- 初飛行:1961年8月15日
- 生産数:79機
- 生産開始:1964年
- 退役:1974年5月
- 運用状況:退役
ビーグル B.206 バセット(Beagle B.206 Basset)は、ビーグル・エアクラフト社が開発した小型輸送機。イギリス空軍でも連絡機として利用された。
開発と設計
[編集]1960年、ブリストル・エアクラフト社の計画(ブリストル220)としてツインエンジンの小型輸送機計画が始まった。しかし同社の合併が決まったため、社員は計画をビーグル社へ持って行った。1961年8月、最初の試作機(G-ARRM)の初飛行がウェスト・サセックス州のショアハム空港にて行われた[1]。この機体は座席数が5で全金属製の低翼機で、コンチネンタル社製のエンジンを2機積んでいた。この試作機は1990年にサリー州ウェイブリッジにあるブルックランズ博物館が取得し、ブリストル航空コレクションに貸し出されていた。また、2011年から17年まではハンプシャー州ファーンボローにあるファーンボロー航空科学基金博物館(FAST博物館)で展示されていた。その後、貸出契約が終了した2017年8月にブルックランズへ戻った。
2機目の試作機(G-ARXM)は1機目よりも少し大きく、座席も7席設置された。さらに航空省の試験のために2機が製造され、その後イギリス空軍から20機の注文が来た。空軍ではバセットCC.1という名称が与えられ、レスターシャー州のリーズビー飛行場内にある工場で生産された[1][2]。
最初の生産機にはロールス・ロイス社製のエンジンが使用され、1964年7月に初飛行した。第2シリーズにはコンチネンタル社製のターボチャージャー付きエンジンが使用され、65年7月に初飛行した[1]。またこの第2シリーズから大きな貨物扉が取り付けられた。この機体は主にエアタクシー業者に人気であり、オーストラリアのフライングドクター用にも3機が製造された[3]。
第3シリーズでは座席数を10席に増やしたが、飛行したのは2機だけだった。そのうち1機は風洞実験で使用された後に第2シリーズに転用され[4]、もう1機は生産中に設計変更がなされたのちブラジルへ売却された[5]。もう1機が製造途中であったが、模型だけにとどまり実際の飛行はなかった[6]。その後B.121 パップの製造ラインを開けるため、バセットの生産は79機で中止となった[7]。
軍用機として
[編集]B.206はイギリス空軍で連絡機として使用された。1963年3月にアブロ アンソンの後継機を決めるコンペが行われ、デ・ハビランド DH.104 ダブとの競争に勝利したB.206が20機の受注を獲得した。そして、1965年3月に連絡航空隊用の機体が引き渡された。この機体はロールス・ロイス/コンチネンタル社製のエンジンが2機取り付けられ、最高速度時速220マイル、航続距離1,645マイルを獲得した。また当該機には8名まで乗ることができた。
機体はワトフォードのボヴィンドン基地の南部連絡飛行中隊(SCS)に配備され、その後1969年2月にSCSが第207飛行中隊に変更された際にノースホールトへ移転した。その後1974年5月に退役し、民間機に転用された。
運用
[編集]軍事運用
[編集]民間運用
[編集]性能諸元
[編集]出典: British Civil Aircraft since 1919: Volume I [8]
諸元
- 乗員: 1
- 定員: 6
- 全長: 10.26m (33 ft 8 in)
- 全高: 3.45 m (11 ft 4 in)
- 翼幅: 13.957 m(45 ft 9+1⁄2 in)
- 空虚重量: 2,177 kg (4,800 lb)
- 最大離陸重量: 3,401 kg (7,499 lb)
- 動力: ロールスロイス/コンチネンタルGTSIO-520-C 空冷水平対向6気筒エンジン、250 kW (340 hp) × 2機
性能
- 最大速度: 415 km/h (258 mph) 224 kn
- 巡航速度: 351 km/h (218 mph) 189 kn
- 航続距離: 1,620 km (1,010 mi) 870 nmi
- 実用上昇限度: 8,300 m (27,100 ft)
- 上昇率: 6.8 m/s (1,340 ft/min)
脚注
[編集]- ^ a b c Jackson 1974, p.198.
- ^ “The Beagle B-206”. Airliners.net. 13 February 2007時点のオリジナルよりアーカイブ。2007年3月11日閲覧。
- ^ Jackson 1974, p.199.
- ^ Wenham 2015, p.182
- ^ Wenham 2015, pp.182-183
- ^ Wenham 2015, p.181
- ^ Wenham 2015, p.422
- ^ Jackson 1974, p.200.
出典
[編集]- Donald, David (Editor) (1997). The Encyclopedia of World Aircraft. Leicester, UK: Blitz Editions. ISBN 1-85605-375-X
- Halley, James (2001). Royal Air Force Aircraft XA100 to XZ999. Air-Britain. ISBN 0-85130-311-0
- The Illustrated Encyclopedia of Aircraft (Part Work 1982–1985). Orbis Publishing
- Jackson, A.J. (1974). British Civil Aircraft since 1919 Volume 1. London: Putnam. ISBN 0-370-10006-9
- Wenham, Tom (2015). False Dawn - The Beagle Aircraft Story. Air-Britain. ISBN 978-0-85130-479-3